吹く風６

友人と彼女との付き合いは
その後二ヶ月ほどで終った。
別れは彼女から切り出した、
と聞いてぼくの心は晴れた。
やはりそうだったか彼女は
彼を好きではなかったんだ。
だけど再び心は暗くなった。
別れる際に彼女は「三年間
誰とも付き合いません」と
彼に約束したと聞いたのだ。

高校時代の三年間は彼女と
知り合う運を持っていたが
付き合う運を持たなかった。
ぼくはもちろん彼女の方も
何かを感じとっていながら
お互い何をすることもなく
熱い気持ちを懸命に押さえ
冷やかな時の経過を待った。

ところで彼はなんであの時
とくに親しくもないぼくに
彼女の事を聞いてきたのか。
それがいまもって解らない。
もしかしたら友人の目には
ふたりが感じている何かが
見えていたのかもしれない。
そのため断りを入れてきた。
そう考えるのが自然だろう。