古くは学生時代。中間や期末といった定期考査の時は、ほとんど『ぶっつけ本番』をやっていた。
しかし、授業をまともに聞いてないし、「予習復習はもってのほか」と思っていたぼくにとって、この『ぶっつけ本番』はちと荷が重かった。元々基礎がないものだから、つぶしがきかない。
ということで、この『ぶっつけ本番』は、いつも玉砕に終わった。
2,
卒業してからの『ぶっつけ本番』といえば、就職活動をしていた時の面接があった。
最初は「おれのすべてをぶっつけてやる!」などと意気込んでいったため、ここでもあえなく玉砕。
3,
しかし、幾度も実践で鍛えていくうちに、面接の要領を得ることになる。20歳の頃の面接成功率が10%に満たなかったのに対し、22歳の頃の面接成功率はほぼ100%であった。
前に勤めていた会社の面接の時は、髪の毛が長いという理由から、危うく落とされそうになった。「やばい!」とは思ったが、そこは面接の『ぶっつけ本番』慣れしている身。
ぼくはとっさに話題をかえ、そちらのほうに相手の関心を持っていかせた。その話題とは、それまでのアルバイト遍歴である。それをとうとうと述べ、合格に結びつけた。
4,
30代半ばに転職したのだが、その時の就職活動も、すべて『ぶっつけ本番』だった。その頃になると、面接などというものはもう余裕であった。
履歴書にそれまでのキャリアを詳しく書いていたので、それを説明するだけですんだ。あとは企業がそのキャリアを好むかどうかの問題である。
5,
『ぶっつけ本番』といえば、ぼくはよくライブの夢を見る。内容はいつも同じで、これからステージ本番という時に、歌詞やギターコードを忘れてしまって、焦る夢である。
「えーい、なるようになれ!」と開き直っている。で、幕が開くところで目が覚める。けっこうリアルな夢なので、目が覚めたあとも、しばらく興奮していることが多い。
6,
その焦りというのは、人の結婚式に行って、係員から「突然で申し訳ありませんが、新郎が『ぜひ、しんたさんに歌ってもらいたい』と言っておりますので、ここで歌ってもらえませんでしょうか」と言われた時の焦りである。
こちらは歌うつもりで言ってないので、何も準備してない。周りを見回すと、100人以上のお客である。昼間なので、当然昼酒を飲んでいるため気分も悪い。
しかし、新郎の頼みなら、無碍に断ることも出来ない。そこで、「えーい、なるようになれ」と開き直るのである。
歌ったあともしばらくは興奮しているが、おそらく前述のライブの夢は、その経験を再現したものだろう。
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