吹く風ネット

事上磨錬

 夢の話です。

──夜、気がつくとぼくは、なぜか真っ裸で藪の中にいた。その藪の周りにはたくさんの飲み屋があり、そこに多くの人たちがたむろしている。
 ぼくは彼らに見つからないように息を潜め、飲み客が帰ったら脱出しようと思っている。だが、お客はなかなか帰ろうとしない。だんだん寒くなってきたし、早く家に帰りたい。

「さてどうしようか?・・・」
 いい策を思いつかず途方に暮れる。
「とにかく何か身に着けないと」
 と周りを見渡し、新聞紙やビニール袋や木の葉など身に着けられるものがないか、その辺りを探し始める。が、見つからない。

 もしこのまま藪の外に出たりすると、大騒ぎになり、確実に捕まってしまうだろう。だから必死そのものだ。
 もうその時点で、ぼくは犯罪者の心理になっている。決して裸であることをバレてはならない。

 あれこれ考えているうちに夜は更ける、体は冷える、気分は焦る、心は震える、もうどうしていいのかわからない。──

 というところで目が覚めた。
 もちろん、そんなこと一度も経験したことはない。しかし、もしそういう状況に陥ることがあったとしたら、きっと同じ心の動きをするはずだ。
 陽明学に事上磨錬という修練方法がある。実践を通して心を磨いていくことだが、それが夢にせよ、実践さながらの心の動きをしたのだから、これも実践同様に心が磨かれたわけだ。─ということにしておこう。

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