早朝賦

白々と夜が明けていく。
午前五時を過ぎたか。
もう朝なんだな。
九州でこの明るさだから
北海道ではきっと
日が差していることだろう。

前の公園ではすでに
野鳥が鳴き出している。
昼間は雀や鴉や鳩といった
街のチンピラ的存在の
声ばかり聞こえてくるが
朝の、この澄んだ時間帯には
ちゃんと野鳥も鳴いているんだ。
ちゃんとそこに住んでいるんだ。

いろいろな鳴き声があるんだな。
ウグイスとかホトトギスとかの
鳴き声しか知らないぼくには
どの声も新鮮に聞こえる。
幾種類の鳥の鳴き声がしているが
全体に調和が取れて
ひとつの音楽になっている。
これこそが究極の音楽なんだろう。

昔の邦楽はこういう自然の音楽を
再現をしていると聞いたことがある。
しかしいい音色だ。
癖になってしまいそうだ。
凝り性のぼくのことだから
来年の今頃には、もしかしたら
レコーダーなんかを買い込んで
野鳥の生録に励んでいるかもしれない。