私の両手の先はいつも紅く紅く染め上げられている。
物心ついた時からやってたもんで、習性は取れなくて、少しでも剥げてきたら、
馬鹿のような時間をかけて塗りなおす。
小さい頃から私の回りにいた女達の爪や唇は、紅やら紫に彩られたものばかりで
きつく香る香水の中で私はメキメキと成長し、大きくなった今あの日と同じような世界に
入り込んでしまっている自分がいた。
夜という環境の中で育った私だから、
私の中で、女を色に表すと常に「紅」と言う色になるのだ。
赤ではない。少し黒の混じった「紅」
それはこの世界に生きる女の腹の中の色にも似てる気がする。
けして綺麗事だけでは生きられない。咲くか散るかの中で生きる女の内心は
次第に紅く燃え上がり、時が経つにつれ、その中に「偽り」という
黒さが滲んでくる。
紅い爪は少しでも剥げると女らしさを失ってしまう。
生活感が滲み、何とも情けない爪になってしまうのだ。
だから少しでも欠けてしまったらすぐに全部の爪を塗り直す。
繰り返されるその行為すらも又、あの日見た女達と同じ場所に立てたという
優越感に浸らせる。
昔から唇を彩られるのが「紅」のように私の爪を彩るものも「紅」と決まっている。
まだ紅い口紅は似合わないからね。それだけ私は子供なのだろう。
いつの日にも女は紅を付け綺麗を纏う。
女としての執念なのか、女としての象徴なのかはよく分からないけれど
どれだけ年老いても「紅」という色の似合う女でありたいと私は思う。
物心ついた時からやってたもんで、習性は取れなくて、少しでも剥げてきたら、
馬鹿のような時間をかけて塗りなおす。
小さい頃から私の回りにいた女達の爪や唇は、紅やら紫に彩られたものばかりで
きつく香る香水の中で私はメキメキと成長し、大きくなった今あの日と同じような世界に
入り込んでしまっている自分がいた。
夜という環境の中で育った私だから、
私の中で、女を色に表すと常に「紅」と言う色になるのだ。
赤ではない。少し黒の混じった「紅」
それはこの世界に生きる女の腹の中の色にも似てる気がする。
けして綺麗事だけでは生きられない。咲くか散るかの中で生きる女の内心は
次第に紅く燃え上がり、時が経つにつれ、その中に「偽り」という
黒さが滲んでくる。
紅い爪は少しでも剥げると女らしさを失ってしまう。
生活感が滲み、何とも情けない爪になってしまうのだ。
だから少しでも欠けてしまったらすぐに全部の爪を塗り直す。
繰り返されるその行為すらも又、あの日見た女達と同じ場所に立てたという
優越感に浸らせる。
昔から唇を彩られるのが「紅」のように私の爪を彩るものも「紅」と決まっている。
まだ紅い口紅は似合わないからね。それだけ私は子供なのだろう。
いつの日にも女は紅を付け綺麗を纏う。
女としての執念なのか、女としての象徴なのかはよく分からないけれど
どれだけ年老いても「紅」という色の似合う女でありたいと私は思う。