26日0時、19世紀ドイツの大作曲家ブラームスの「子守歌」(原題Wiegenlied)をGUMIでカバーし、投稿しました。
GUMIちゃんで初投稿してから6年間。
さまざまなオリジナル曲、カバー曲、トーク作品を作ってきた中で、やってみたいんだけど出来なかったことの一つが、彼女にドイツ語で歌わせることでした。
クラシック音楽、中でもドイツ・ロマン派(シューマン、ブラームス、メンデルスゾーンなど)の歌曲が大好きな自分にとって、GUMIでこれをカバーすることは長年の夢でした。
VOCALOID2の時代、こうしたケースは日本語の発音を工夫して擬似的に発声させており、界隈では「どいちゅ語」と言われています。自分も当時いろいろ試したのですが、どうしても納得する歌声になりません。
やむを得ず元の歌詞をリズムに合うよう和訳して、歌わせたものが下記になります。全力を尽くしての投稿でしたが、後で聴くとやはり色々粗も目立ちます。ピアノ伴奏も改善して、いつか必ず原語歌唱をさせようとの思いが、消えることはありませんでした。
ドイツ語に限らず、日本語DBに外国語を歌わせる上で大きな壁になるのは、母音を伴わない無声音の表現です。「This is a pen.」の「s」のところですね。
ここだけGUMI-Englishに切り替える手もありますが、メーカーの説明では「日本語ライブラリと同じ声質を保持している」と言うものの、実際に聴いてみるとやはり微妙な違いがあって、混用は厳しいと判断せざるを得ませんでした。
しかし、そこに救世主が。ある日たまたま、DTM界隈では有名な藤本健さんのサイトで、VOCALOID3で「ささやき声」を出す非公式コマンドの記事を発見しました。これ、よく読むと「無声音」の表現に応用できそう!
早速手元のVOCALOID4エディタで、V4GUMIちゃんを使って数小節打ち込み、無声音となるノートに「_0」を入れてみました。すると、結構うまい具合に無声化したんですね。Mac版のピアプロスタジオでも使えることを確認しました。これで行ける!
となれば、早速リベンジ計画です。時期的にGUMI誕生祭が迫っており、投稿日時は6月26日0時と即座に決定。この時間は自分自身が生放送の最中であり、GUMIちゃんも眠くなっているという連想から、これまた自分の大好きなブラームスの「子守歌」を選びました。
この曲はピアノ伴奏が素直で、ストレートな癒しの歌ですが、それだけに一切ごまかしは効かない真剣勝負。往年の名歌手ヘルマン・プライ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウらの演奏を聴き込んで、譜面には指示がない強弱や速度の揺らぎを、出来る限り表現しようと努めました。
また日本語DBのもう一つの難点「ヴ」の発音は、「ぶ」の非常に短い有声音ノートを一瞬置いた後すぐに母音のノートに繋げ、「ぶいー」「ぶえー」などと言わせるようにしました。バ行でやるのとは全然違う結果が得られます。ここも、もしかすると日本語で正式にヴ行を発音する方法があるのかもしれませんが、今後の課題です。
イラストについては、今回も志希さんの作品を使わせていただきました。
本来この動画のために制作された絵ではありませんが、子守歌の世界にとても合う感じがして、特別にお許しをいただいたものです。原画はスケッチブックへ直接描いた色鉛筆画で、スキャナで取り込んで加工しました。
まだまだ拙い表現ではありますが、我が家のGUMIちゃんは立ちはだかる壁を一つずつ越え、出来ることが確実に増えています。こうした成長を見守っていくのも、ボカロPの醍醐味ではないでしょうか。
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