◎「有頂天家族」

真ん中がタヌキの下鴨矢三郎(cv櫻井孝宏)、右上が人間だけど天狗の能力も使える弁天(cv能登麻美子)、左上が天狗の赤玉先生(cv梅津秀行)。
能登さんが、大人っぽく妖艶で、でも少女っぽく、いい味出しています。
○ P.A.WORKSの制作ということで絵は綺麗で良かったですが、話は全体として退屈でした。単に、私がこういう雰囲気に馴染める気分ではなかった、ということだけではない気はしますので、好みの問題と言うことでしょう。
そもそも、タヌキが人間に化けて人間と同じような生活をするのは、人間への憧れなのでしょうか。
一時的に人間に化けて人間をからかったり人間の生活をしてみるというのなら分かるのですが、化けている時間の方が多いどころかタヌキの時間はほとんどないですし、化けて花火大会を見たり人間と同じタイプの家で人間のように衣食住の生活をしている時間が長いなんて、タヌキよりは人間の形でいたいからのようで、タヌキによるタヌキの否定、タヌキによるタヌキの存在そのものの否定です。
(人間界で商売をしているタヌキを除けば、どうやって生活費を稼いでいるのか分かりませんし。タヌキだけに、葉っぱを紙幣だと人間に思わせてモノを買っているのかも知れませんが。)
あるいは、都合良く、どちらの生活も選べるということでしょうか。それは人間なら、金持ちなら暑い夏は避暑地に長期滞在できますし、未開の地の探検のようなこともお金を払えば出来ますし、働かないこともできますし、いずれもそれなりに金のある人だから出来ることです。
以上のような趣旨だとしたら、そもそも人間に化けているタヌキであるという設定の必要性が弱く、少し興味を引くためのものでしかないですし。
○ 一方、タヌキ社会に昭和のようなつながりのある家族像を投影して懐かしんでいるのだとしたら、懐かしむのは勝手ですが、懐かしむだけにしてもらいたいです。
アジア・太平洋戦争後の昭和というのは、(実写映画の「ALLWAYS 3丁目の夕日」もそうですが、)物もお金も「実質的自由(※)」も何もかもが不十分だったからこそ、右肩上がりの経済成長を続けていたからこそ(出発点の経済レベルが低かったから結果として急成長となったのであり、現在のように出発点の経済レベルが高ければ低成長になる。プラスして人口増の利益があった。)、明日は今日より良くなる、将来に何かがある、と思えた時代であり、家族や近所と助け合わざるを得なかったから関係が深くならざるを得なかった時代です。
(※お金がないと、大学や高校に行く自由が制限される、本を買う自由も制限される、旅行して日本や世界を体験する自由も引っ越す自由も制限される、映画や演劇を見る自由も制限される。ネットもないので入手できる情報にも限りがあるので、仕事を選ぶ自由も制限される、親の仕事を継ぐことへの圧力が強まる、など。経済発展などで、それらが段々改善されてきたのが昭和。それらを経て、現在は、何でも選べるようになったから、又、何も選ばなくても既に何でも用意されているから、逆に何を選んだら良いのか分からなくなっている人が多い。)
一部はやり方によっては現代でも復活できるのかも知れませんが、社会の変化と共に、戻れない、復活できないことの方が多いので。あるいは、何かを復活させたら、何かを失わざるを得ないことも多いので。
社会全体を昭和に戻すのは非現実的ですし、もう戻せませんし、戻す必要もないですし。
良い意味でも悪い意味でも、自由を手に入れた人間は自由を手放したくなくなるものであり、その結果として世の中は良くも悪くも変わっていくのであり、多くは実質的に不可逆的です。
今更、多くの人が明日食べるものにも困っていた戦中戦後の生活に戻るようなことは嫌ですし。
○ まあ、タヌキを通してあくせくした人間社会を見つつ、少しはタヌキを見習おうよ、ということ自体は悪いことではないと思いますが、このアニメの人間はそんなにあくせくしていないので、そのメッセージがこのアニメにあるような気はしません。
また、タヌキ界も人間界と同様に悪いタヌキや権力争いはあるようで、タヌキにもなれる人間という設定の方が話に幅が出るだろうなということ以外、ますます、何故にタヌキの話なのかは分かりません。
更に、新しいタヌキのリーダーを決めるのも人間の格好で料亭でだなんて(最終13話とか。)、タヌキの格好で山の中ですれば良いものを・・・
タヌキを捨てて、都合が良いときにタヌキに戻るという、逃げ道を用意した上での良いとこ取りでしかありません。
○ そう言えば、話が始まった時点で主人公のタヌキ達が尊敬している父タヌキは人間にタヌキ鍋にして食べられていましたが、タヌキ鍋は食べたこと無いなあ。どこで食べられるのだろう?
取り敢えず、タヌキうどんでも食べてきますか。
◎「八犬伝 ―東方八犬異聞―」

これは女子向けで2期ですが、1期よりバトルが増えるのかと思いきや、日常の話が長くて少し冗長な感じ。
最後は派手なバトルで、ようやく動いたかという感じで、バトルもので好きなアニメが少ない私にしては珍しく、ほんの少しだけ楽しみましたが。
多分、本格的なバトルはもっと後か、バトルを楽しむアニメではないと言うことなのでしょう。まだまだ話の区切りがついていませんし。まあ、バトルもので好きなアニメは少ないので、それ自体は構わないのですが・・・(略)
【shin】