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思い付きブログ

観察映画「精神」感想。佳作。精神科の患者の日常を是非見て感じてください。Are you sane?

 Are you sane?

◎ 観察映画「精神」(MENTAL)

 「こころの傷に特効薬、ありますか?

 そんなものは無いに決まっているでしょ。
 (特効薬はないと分かっていて使っているのでしょうけれど、このコピーが気に入りません。「健常者」から見ても「患者」から見ても、幻想と誤解に満ちています。無いものは無いのですから、共存のためには「健常者」も「患者」も現実&それぞれの類似点・相違点を見つめることが必要ですし、無いものは無いのですから、「患者」はそうそう「治る」わけではないことを自覚して病気と付き合わないと、少し良くなったり悪くなったりで一喜一憂して感情の振れ幅が無駄に大きくなるだけです。多くの場合、精神病とは一生の付き合いなのですから(「治った」としても、「健常者」より再発しやすい場合が多いという意味も含めて。)。
 「あなたは正気ですか?」とか「正気とは?狂気とは?」で良い気はしますが、上のコピーの方が世間受けが良いことは理解できます。)


○ さて、ネットって便利ですね。見つけたので買いました。
 でも、ネットって困りものですね。お金と置き場所がいくらあって足りません。

 2009年6月13日に日本公開(2008年制作)、想田和弘監督、135分(+DVD特典映像84分)、日本/アメリカ制作。

 この映画は、少数の映画館での公開でしたが(最初は単館だったかも。)、当時はかなり話題になりました。
 東京の映画館はどの上映回も満員で、暑い中、30分だか1時間前に行ってギリギリで入れた記憶があります。
 (↓HPへのリンク。大きくはないですが、会話音が出るので御注意を。)


 因みに、右下の「Are you sane?」というのは、「あなたは正気ですか?」という意味です。

 Are you sane?


 DVDの裏。


 DVD附属の新聞風解説リーフレットの表。



 想田監督のブログ。
「観察映画の周辺 Blog by Kazuhiro Soda
 MAKING "OBSERVATIONAL" DOCUMENTARY FILMS」



○ 精神科に通院する複数の「患者」(入院経験者も含む。)が顔を隠さずに登場し、ありのままの日常を見つめたドキュメンタリー映画。想田監督お得意の観察映画第2弾です。

 HP掲載のコメントから、上手く内容を表していると思うものを2つ。
 「病気を見る映画ではない。クリニックの内部を見る映画でもない。人間を見る映画である。── 香山リカ(精神科医)」

 「100%狂気の精神障害者も100%正気の健常者もいない。障害者の苦悩と強さを知るには、真実を観るしかないのをわからせてくれる。── 和田秀樹(精神科医)」


 起きたり何かをするのが辛そうな人、普通と変わらずに元気そうな人、普通と変わらず(むしろ普通の人以上)に論理的に物事を考えられる人、いかにも病人っぽい人、まるで普通で病人っぽくない人などの様々な人と、医師や看護師が登場します。
 なお、「患者」は病気に伴って現在や将来への悩みや不安もかかえており、死にたいという思いから逃れられない人もおり、画面から感じる以上に抱えているものは深く大きいとは想像できます。


 「普通」「正常」「正気」「健常」とは何か。「発症」していない人が「普通」で「正常」で「正気」で「健常」あるなら、「発症」とは何か。
 時々挿入される「普通」や「正常」や「正気」や「健常」とされている道行く人の映像との対比も含めて、「普通」や「正常」や「正気」や「健常」とされている人の方が「普通」でも「正常」でも「正気」でも「健常」でもないのかも知れない、とか、「普通」や「正常」や「正気」や「健常」なんて無いのではないか、とか、そんなことも感じる映画です。



 解説も音楽もない観察映画なので落ち着いた視点と画面であり、かつ、目立った主張はありませんから、見た人が何を感じるか、ということになります。
 解説もないので、躁うつ病、統合失調症(統合失調症は幻聴、幻覚、妄想が伴うことが多い。妄想もあり得るので「患者」の言っていることの全てがいわゆる「事実」とは限らないが、「患者」はそのように「事実」を認識したことを受け止めることが必要。)の基礎知識(ネット情報程度でも。)がないと「患者」が話していることが分かりにくいかも知れませんが、その場合は「病気を見る映画ではない。クリニックの内部を見る映画でもない。人間を見る映画である。」という香山さんの言葉を思い出しましょう。


 なお、特典映像は、想田監督と出演した山本医師との対談、想田監督と出演した「患者」との座談会など。本編の補足としても役立ちます。


 さて、大学等で臨床心理学を学んだものの臨床心理士には向いていないなと思ったり、精神科病棟に知人のお見舞に行ったこともありますが、精神科でも、入院患者、特に集団部屋に馴染めない/入れない人の1人部屋の入院患者はこの映画のように落ち着いたものではありません

 生きているのか分からないくらい反応が乏しい人、何かと他人に暴力をふるう人、何かとモノや自分自身に暴力をふるう人、何かと大声を出す人、眠らずに動き回る人、やたらとハイテンションな状態がやたらと続く人、勿論、「普通」に見える人など、イロイロいるわけで。


 という観点から映画を見ると、精神病をたいしたことないと誤解させるかも知れない「患者」ばかりだなと思いました(如何にも「患者」な人もいましたが。自宅から通院できる人ばかり、しかも撮影をOKした人を見つめた映画ですし、この映画はある程度「普通」に話せる「患者」が撮影OKしたのでしょうから、直接の比較はできませんけれど。)。
 また、出演した「患者」にも一見「健常者」と区別が付かない人もいましたが良く見れば区別が付く人も一目で区別が付く人もいました。
 一方、現実には精神科にかかったことのあるほとんどの人が他人に害を及ぼさないですし、一般的には、精神科に通院している人の日常を上手く見つめた佳作と言って良い映画だと思います。

 更に、上記のことから私にはそれはありませんでしたが、人によってはものの見方が少し変わるかも知れません。当時の新聞広告での著名人の感想では、そんな感想が多かったです


◎ 是非、一度、御覧になって感じてみて下さい。

 Are you sane?


【shin】

コメント一覧

shin{流れ星}
http://yaplog.jp/shin99shin/
>ざっくさん
 プロレスのノアですね(笑)。プロレスは久しく見ていませんが。

 いえいえ。映画のノア約束の方舟は見ようとは少しも思いませんでした(笑)。
ざっく
http://yaplog.jp/rockgamer/
今日はノアを観に行きました。
........ぜんぜん寝なかったんだからねっ!
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