目覚まし時計が鳴り止んだ。いつもの様に十分後にまた鳴るようになっている。
コーイチは布団の脇に落ちていたテレビのリモコンを取り上げていつもの様に操作した。
いつもの様に何度目かでやっと画面がついた。
コーイチはリモコンを目の前に持ち上げてしげしげと見た。何度やっても一度でついたためしがないなぁ。ひょっとしてリモコンに舐められているのかな……
テレビはいつもの様に朝のワイドショウ番組「お目覚めテレビ」を映していた。
メイン司会の高垣まやアナウンサーとコーイチ御ひいきの野中小那美アナウンサーとが微笑みながら喋っていた。
番組は芸能コーナーのようで、画面には「ジョンソン事務所の人気アイドルデュオKinKira Bondz(キンキラ ボンズ)解散! 今後は各々ソロ活動へ!」とテロップが大きく映し出されていた。
KinKira Bondz解散か…… 清水さん、大ファンだったから、がっかりするだろうな。コーイチは聞かなければ呪われると清水に脅されて、無理矢理何度も聞かされたKinKira Bondzの多くの曲を思い出していた。
清水さん……
「あっ!」
コーイチは立ち上がった。
いつもの様な朝を迎えたせいで、見ていた夢をすっかり忘れていたのが、清水の目だけ笑っていない笑顔を思い浮かべた途端に、全てを思い出したのだ。
そうだ、昨日は間違えて会社に行こうとし、気がついて戻ってきて、カバンの中身をぶちまけると……
コーイチはおそるおそる玄関の方へ視線を送った。
ノートが、あった。
ノートは、真ん中あたりを少し開いたり閉じたりをゆっくりと繰り返していた。また、それに合わせるように、表紙の中ほどから鼻提灯らしき半透明の泡玉が出ていて膨らんだり縮んだりを繰り返している。
どうやら眠っているようだった。
「ひえぇぇぇぇぇ……」
コーイチはノートを起こしてはマズいとばかりに口を押さえ、声を押し殺しながら悲鳴を上げていた。
つづく
コーイチは布団の脇に落ちていたテレビのリモコンを取り上げていつもの様に操作した。
いつもの様に何度目かでやっと画面がついた。
コーイチはリモコンを目の前に持ち上げてしげしげと見た。何度やっても一度でついたためしがないなぁ。ひょっとしてリモコンに舐められているのかな……
テレビはいつもの様に朝のワイドショウ番組「お目覚めテレビ」を映していた。
メイン司会の高垣まやアナウンサーとコーイチ御ひいきの野中小那美アナウンサーとが微笑みながら喋っていた。
番組は芸能コーナーのようで、画面には「ジョンソン事務所の人気アイドルデュオKinKira Bondz(キンキラ ボンズ)解散! 今後は各々ソロ活動へ!」とテロップが大きく映し出されていた。
KinKira Bondz解散か…… 清水さん、大ファンだったから、がっかりするだろうな。コーイチは聞かなければ呪われると清水に脅されて、無理矢理何度も聞かされたKinKira Bondzの多くの曲を思い出していた。
清水さん……
「あっ!」
コーイチは立ち上がった。
いつもの様な朝を迎えたせいで、見ていた夢をすっかり忘れていたのが、清水の目だけ笑っていない笑顔を思い浮かべた途端に、全てを思い出したのだ。
そうだ、昨日は間違えて会社に行こうとし、気がついて戻ってきて、カバンの中身をぶちまけると……
コーイチはおそるおそる玄関の方へ視線を送った。
ノートが、あった。
ノートは、真ん中あたりを少し開いたり閉じたりをゆっくりと繰り返していた。また、それに合わせるように、表紙の中ほどから鼻提灯らしき半透明の泡玉が出ていて膨らんだり縮んだりを繰り返している。
どうやら眠っているようだった。
「ひえぇぇぇぇぇ……」
コーイチはノートを起こしてはマズいとばかりに口を押さえ、声を押し殺しながら悲鳴を上げていた。
つづく
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