病院内薬局日誌

500床程度の病院(精神科、内科)内の薬局日誌です。

経管栄養の是非

2005-03-21 22:41:08 | Weblog
カンタンに経口栄養法からCVに変更してしまうケースが多いため、入院してから急激に体力が低下してしまう患者が少なくない。十分なカロリー補給を念頭におかずにCVを指示するDRもいる。(500cal/day以下で経管栄養するケースも多い。)
また、抗生剤を多用するので、より一層の体力の低下をもたらしている。
人間の抵抗力を高め、体力を増進させるためというより、薬剤で抑えつけることを目的とした処置が目に付くのは残念なことである。

疑義照会

2005-02-27 22:54:09 | Weblog
①ガスモチン(50mg)3T3xが定時で出ている患者に追加で更にガスモチン3T3xの処方が出る。←ガスモチンはMAX量3T/dayなので疑義にかけ、追加分CUT。

②ダーゼン3T3x粉砕指示の処方あり。←ダーゼンは消炎酵素で胃酸に侵されないよう製剤設計されているので、つぶしてしまうと胃酸によって失活してしまう旨連絡。処方CUT。

インフルエンザ流行

2005-02-21 21:15:18 | Weblog
インフルエンザに処する薬剤でタミフルがよくでる。これはまだウィルスが大きく増殖するまえに飲むと効果のある薬なので、なるべく早くに飲むように服薬指導する。また基本的に5日飲みきりで完全にたたくことが必要なので、体調が回復しても飲みきるように指導する。(予防の場合は別)
成人及び体重37.5kg以上の小児の場合は1回75mgを1日2回、5日間の飲みきりとする。軽体重の小児の場合は1回2mg/kgで体重換算した用量を1日2回、5日間分を処方する。

なお、今年流行しているB型はA型に比べ回復にかかる時間が長くかかるので、注意を要する。

疑義照会&news

2005-02-02 23:00:25 | Weblog
クリアミン(エルゴタミン)とゾーミッグ(ゾルミトリプタン)が同時に処方されていた。←同じ偏頭痛薬で血管収縮作用があるので、併用禁忌。なお、クリアミンは最大処方量が10T/weekと限定されている。

パントテン酸(VB5)はムスカリン受容体に作用して腸の蠕動運動を促進するので、下剤様効果を期待して処方される。特に向精神薬服用時の便秘などに使われる。

疑義照会

2005-01-29 00:21:20 | Weblog
シプロキサン(ニューキノロン系抗菌剤)注をアミノフリード(アミノ酸製剤)とともに落としたら結晶が析出した←シプロキサン注は配合禁忌が多く注意を要する。まず、原液での投与は不可。アミノ酸製剤とのmixも不可。抗菌剤一般及び、ラシックス、強ミノ、ハイドロコートン等との混注も不可。高カロリー輸液やビタミン剤との混注はOK。生食100mlで希釈して側管から入れる方法が最も安全で確実なので、薬局としてはこの方法を推奨する。

オメプラールをKN3B補液とmixすると着色した←オメプラールは生食か5%ブドウ糖に混ぜて使う。これ以外の補液は使わない。なお、オメプラールを7日以上使うのは不可。

疑義照会&news

2005-01-25 21:49:37 | Weblog
シプロキサン(シプロフロキサシン)注をアミノフリードとともに点滴静注したとき、結晶が析出した。→シプロキサン注は基本的に生食に溶かして希釈してからIVHとは別ルートでおとす。IVHとともに流すときはアミノトリパなど高カロリー輸液はOK。アミノフリードなどアミノ酸製剤は不可。また、強ミノやラシックス、ネオフィリンなどとの混合も不可。シプロキサン注を希釈せずに入れると血管痛や炎症を引き起こす恐れがあるので単独での投与は禁忌。

関節炎の治療薬で使われるCOX2インヒビターは心臓発作のリスクを高める。COX2sのモービックがウチの病院では使われているので、心臓が弱い患者に使われる場合は注意を促さねばならない。

ソースBBCニュース

Vioxx, (rofecoxib) was removed from the market by Merck in September last year after research found an increased risk of heart attack and stroke.

The drug belongs to a class of drugs called Cox-2 inhibitors which are non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs).




OT(作業療法)について

2005-01-20 00:18:44 | Weblog
OT(作業療法士)の人たちと近くの公民館でそれぞれ持ち寄った食材で鍋料理をつくって食した。なかなかおいしかったが、参加人数の割りに食材の量が多すぎたのかゼンゼン食べきれずに、三分の一くらいは余ってしまって捨てることとなった。もったいない。

OTの所属長は入職4年目の若い女の子だが、うちの薬局よりもフロンティアを広げているように見える。薬局は単純な日常業務に追われるばかりで新しい領域に踏み込むことはマンパワー的にも不可能に近いが(それだけ人員が絞られている)、OTは日常業務のなかでも創意工夫をいかせやすい職能なので、フロンティアを広げやすいのではないか。また、逆に言うと日常的に創意工夫を生かせなければやっていけない職能なので当事者としては苦しいところもあるだろう。

うちの病院のOTでは(お年寄りの)患者さんに絵を描かせたり、歌わせたり、ゲームをさせたりして、QOLを上げると同時に身体機能の改善も視野に入れた活動をしている。こういった「パンとサーカス」でいう「サーカス」の部分の評価はエビデンスがとりにくいこともあり、十全に評価されない傾向がある。今後の病院のあり方、保険点数の見直し等を検討する上での大きな課題であろう。

閑話休題 書評-ユリウス カエサルー

2005-01-17 23:57:13 | Weblog
塩野七生 ローマ人の物語8~13巻(文庫本版)読了。

 塩野の描くローマ史モノは、例えば鴎外の史伝や吉村昭の歴史モノに比べ、考証学的な質は落ちるものの、登場人物の魅力という点では他を圧している。学究的な考証と戯画的な人物の魅力という二つのバランスのとり方は司馬遼太郎と似ているが、塩野の方がやや時代考証に対して意識的という印象を受ける。

 さて、塩野の「カエサル史」が優れているのはその(ルビコン以降の)主軸をカエサル(政治家)対アントニウス(軍人)でもカエサル(革新派)対ポンペイウス(保守派)でもなく、カエサル(帝政)対キケロ(寡頭共和制)においたところにある。主要登場人物にそれぞれ統治システムを象徴させることによって、古いシステムが覆され、新しいシステムにとって変わる歴史的潮目を魅力的に描き出すことに成功している。システムの入れ替わりの歴史的必然とそれぞれのシステムの旗手である人物の資質(先見性、創造性、それを生み出す人間性、これらの資質全てがカエサルには備わっており、キケロには前2者が欠けていたとする。)がうまくかみ合って物語りが紡がれる。

 現在の欧米の学校教育ではキケロ(共和主義者=民主主義者)、カエサル(帝政創始者=独裁者)といった語られ方をする。しかし、塩野の考証では実際は少し様相が違っている。カエサルは元老院(貴族院)が持っていた超法規的民衆弾圧法を廃案にし、名門ローマ市民にしか門戸を開いていなかった元老院を辺境の市民にも開放した。それがキケロら元老院派の反発を買い、暗殺につながったのだが、この事実を見るだけでもキケロ=民主主義者、カエサル=独裁者の括りは正確ではないことが理解できる。

 なお、評論家の福田和也によれば、この「ローマ人の物語」は日本のパワーラインの愛読書ナンバーワンであるらしい。

感染委員会&疑義照会

2005-01-15 21:43:08 | Weblog
院内感染委員会ではノロウィルスへの注意喚起のために文書を作成することになり、昨年度作成した資料に手直しを加えたものを病棟に配布する段取りになった。出来上がったものは、主に厚生労働省のHPにある資料から引っ張ってきたもので、目新しいものではない。とにかく、流水、石鹸での手洗いを頻繁にすること(アルコール消毒無効)、患者さんに直接接触するときは手袋着用のこと、器具は次亜塩素酸で消毒、この3点を抑えていればOK。

疑義照会
・タケプロン(15)3xで出ていた処方。←添付文書上は1日1回だが、15mgの場合は2xでもOK。1日量MAXが30mgなので、15mg3xはNG。処方変更。

ノロウィルスの同定について

2005-01-12 21:48:49 | Weblog
現在、巷で話題になっているノロウィルスによる感染だが、当院では平成15年の冬に発生し、職員、患者とも数名の感染者を出した。その時のDRの実感を聞くところによれば、下痢による同定は信頼性が薄いが、嘔吐の様子からノロウィルスによる感染の疑いを判断できる、とのこと。(特に日に二回以上の嘔吐は要注意)
ナマ便の培養によるウィルスの同定には一件当たり2万円かかるので、コスト的な面からもノロウィルスの同定にはDRのスクリーニング能力が重要になると思われる。
院内の感染対策会議等で注意を喚起すべきだろう。