病院内薬局日誌

500床程度の病院(精神科、内科)内の薬局日誌です。

日常業務(疑義照会等)

2005-01-05 23:32:17 | Weblog
①ペントシリン注(ペニシリン系)とセフロニック注(セフェム系)が同時併用で処方されていた。←同じβラクタム系抗生物質なので、同時併用は考えにくい。βラクタム系とβラクタマーゼ産生阻害作用を有するリンコシン(ミドシン)の併用は有効。セフロニックカットに処方変更。
②爪白癬に使用する液剤は?←表在性抗真菌薬アスタット(ラノコナゾール)、ニゾラール(ケトコナゾール)、内服薬ではラミシール(テルビナフィン)
③ビソルボン細粒4mg3xで処方されていた。←通常ビソルボンは一回4mgで一日三回のDOSEのため、疑義にかける。12mg3xに処方変更。
④カロナール(アセトアミノフェン)の服用方法について?←成人は一日0.9g~1.5gの3xなので、2T(400mg)3xで適量。
⑤点眼薬の開封後の有効期限はどれくらいか?←通常目安として開封後1ヶ月。エコリシンなど用時溶解のものは溶解後一週間。

植物油が身体によくない理由

2004-12-25 23:46:29 | Weblog
非経口栄養剤には脂肪酸が含まれている。通常、我々の日常生活でも脂肪酸の摂取は必須であり、実際毎日口にしている。脂肪酸は、飽和脂肪酸、リノール酸(n-6系不飽和脂肪酸)、αリノレン酸(n-3系不飽和脂肪酸)の三種に分類される。このうち、αリノレン酸はEPA、DHAに代謝され、リノール酸はアラキドン酸に代謝される。アラキドン酸からはPG、TXA2、LTなどの起炎物質が放出される。また、TXA2には強い血小板凝集能があり、血栓の形成を促進する。EPA、DHAはその逆で、血栓性低下作用、血液粘度の減少作用が認められている。従って、脂肪酸の摂取については植物油やマヨネーズ(リノール酸)よりも、海草や根菜、魚介類(αリノレン酸)が推奨されている。厚労省の不飽和脂肪酸推奨比はn-6/n-3が4.0であるが、専門家の間ではもっと推奨比を低くすべきだという意見が多い。

なお、飽和脂肪酸(牛肉、ご飯、チョコ等)はホルモン様物質を放出しないので、比較的安全といえるが、肥満を促進するので、糖尿病などのリスクは高める。

高カロリー輸液投与法(実践編)

2004-12-25 02:27:56 | Weblog
PPNでは1日量1000~1200cal程度まで輸液の投与ができるので、アミノフリード(200cal程度)のようなアミノ酸製剤なら問題なく末梢から入れられる。但し、オーツカMVのような総合ビタミン剤を同時に投与する場合はMV自体に投与方法の縛りがあるため、PPNではなく、TPNのルートをとらねばならない。

うちの病院では通常アミノフリードにMVがでることはまれであるが、一緒にでるときは注意しなければならない。

なお、アミノトリパのような高カロリー輸液セット(糖・電解質・アミノ酸セット)にはVB1欠乏によるアシドーシスを回避するため、MVがよく併用されるが、このときもTPNのルートがとられる。

高カロリー輸液投与法(理論編)

2004-12-23 23:20:26 | Weblog
静脈から経管で高カロリー輸液を投与する方法としては、PPN(Peripheral Parenteral Nutrition=末梢栄養静脈法)とTPN(Total Parenteral Nutrition=中心静脈栄養法)がある。その昔はTPNが中心に使われていたようだが、現在はPPNのほうがよく使われる。PPNの最大の利点はカテーテル刺入部から静脈炎を容易に観察できることで、これによってカテーテル感染による血流感染を予防できる。一方、PPNはTPNに比べ、血栓形成、血管内炎症を発生しやすく、これを防止するためにヘパリンの投与がよく行われる。

なお、平成14年度に厚労省が出したガイドラインでは、①高カロリー輸液は経腸栄養法ができない場合に行う。②高カロリー輸液への薬剤の混合、投与は薬剤師が責任をもって行うべき。とうたわれている。

次回は輸液に関して、実際に病棟と薬局のやりとりがどういうカタチで行われているか、その現状を報告したい。

輸液について

2004-12-22 22:48:40 | Weblog
現在の薬学教育では看護師さんが行う病棟業務(特に薬局と関係の深い注射業務)について学習する場が殆どないため、実際病院勤務してみると困る場合がある。例えば、ある程度の療養型病院なら大抵IVH(Intravenous Hyperalimentation=高カロリー輸液)を行っているが、この輸液の種類や投与方法、あるいは組み合わせの是非についてのトレーニングが決定的に欠落しているため、現場での対処で不手際を生じやすい。

明日はお休みなので、この点について実際問題を挙げ、考えてみたい。