自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『野ばら』小川未明 南の国へ帰る老人と、北へ帰るさっちん

2012-10-23 06:16:57 | ひとり言
小川未明は、日本のアンデルセンと呼ばれた児童文学者。


『赤い蝋燭と人魚』が有名ですが、ボクが大好きなのは、『野ばら』


二つの国の国境を守る、老人兵士と隣国の青年兵士の話。


国境に咲く一輪の野ばらとそこに集まるミツバチを見ながら、平和な日々を過ごしている二人。


時折、将棋を打ち老人と青年の平和な日々が過ぎていく。


ある時、二つの国が戦争になり、老人は言う。


「老いぼれても少佐の自分の首を取って国へ帰れば出世できるぞ」と。


青年は、どうしてあなたと私が敵同士になれるでしょう、と北へ行って戦争に参加する。


やがて、青年の小さな国は負け兵士は皆殺しにあった事を老人は聞く。


あの青年も死んでしまったのか、と老人が気にかけながらうとうとすると、りっぱな馬に乗った青年兵士が野ばらの前で目礼をして立ち去っていく。


やがて、老人は南の国へ帰っていく。


悲しみの中にも、穏やかな時間が流れるこの話。


今月末で、出身地である南相馬に帰るさっちんも、この話が好きだという。


3.11で、東京にいたさっちんは、実家と連絡が取れない日々を不安の中で過ごした。


ようやく連絡が取れ、家族全員が無事であることが確認できたのもつかの間、彼女の家は流されていた。


ちょうど、高齢者施設の現場でのセッションリードデビューの直前。


それどころではなかったさっちんの心を支えた、洋子先生。


「今できることをやる」ことをさっちんの心に寄り添いながら支え続けた。


彼女は、立ち上がり、見事にデビューし、事情を知った施設のみなさんから大きな励ましの拍手をもらった。



以来、防護服に身を包み地元を訪れたり、仮設に暮らす家族たちを見舞いながら地元でアートセラピーを提供したりの日々が続いた。


そして、彼女は地元に帰ることを決め、今月末で東京をあとにする。


昨晩は、さっちんを愛する仲間たちが集まり送別会が催された。


驚くほどの大人数で、彼女がどれほど愛されていたのかが伝わってくる、温かい送別会だった。





さっちんの人生が、また新たに始まっていく。



いってらっしゃい。








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2 コメント

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Unknown (さっちん)
2012-10-23 08:38:16
「この人なら信じれる気がする」
しばしばの児童文学のBlogを読んで、クエストの自己分析に行こうと決意してはや6年。私の直感は見事に当たりました。
感謝しきれないくらいの思いでいっぱいです。ありがとうございました。
またデュエットいたしましょう。
「始」の書をもって、出立いたします。
ハジマリ (しばしば)
2012-10-30 05:06:01
オワッテ、ハジマリます。
そして始まって、また終わりが来ます。
そうやって僕たちは、心を成長させていく。
場所が移ろうが、人が変わろうが、心はずっと一緒です。
デュエット楽しみにしています。

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