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地球をくるりと一周り

《ちょっと世界一周して来ます。頭もお金も足りないので、無理をせずに行けるとこだけ、行けるとこまで。》

お帰りの仕度 (ブラジル)

2007年04月04日 | Weblog
宿の入り口には大きな錠がついていて、
これを開けるのにちょっとしたコツがいった。

分かってるのに、開かない。

ガチャガチャガチャガチャ
ガチャ ・ ガチャ 開いた! …あと3つ

ガチャ!2つ目のカギは軽くクリアーして、階段を駆け上る。
3つ目を準備しつつ部屋の前に立つと
同部屋の人が中から残りのカギを開けてくれた。

「ありがとう」
実際に感じてる ありがとう の半分にも満たない言い方をして、
自分のベッドに駆け寄る。

2段ベッドの上段が私のスペースなのだが、梯子を上るのも手間に感じ
バックパックを引っ張り寄せ、電子辞書を取り出した。


『脳炎』

【症状】
頭痛、発熱で発症。進行するとさらに高熱となり髄膜刺激症状(くも膜下出血などによって起こる症状。頭痛や吐きけ、嘔吐が典型的。)が出て、さらに意識障害、けいれん、昏睡がみられるようになり、ついには死に至る。

【標準治療法】
有効な抗ウイルス剤がないため、対症療法(症状を抑えることを目的とした治療。かぜの治療などが典型的。)を行うしかない。

【病後の経過】
致命率は患者により異なり、20~50%である。また死亡を免れても、重要な後遺症を残す。高齢者や発熱の長く続く症例では予後は悪い。』

 …ナニ?

 …治療法 ないの?

 …で、 20~50%が、 ナニ?

いや!母は命に関わることはないと思う、と言った。
では?後遺症を、重要な後遺症を残すと言うことか?

「…フッ」 泣きそうになって、声がもれた。

でも今は泣いている場合じゃない。
左手に辞書を持って、今度はゆっくり読み返しながら、
右手でパッキングを始めた。

帰るんだ。 今すぐに。

躍起になってパッキングする私の姿に気が付いた同居人が不思議そうにしてる。

「あたし、帰ります。」
ちょっと気持ち悪い笑顔になってたと思うけど、それだけが言えた。

人に心配かけないように話せる気はしなかった。

旅中に何度としたパッキング。
手馴れたもので、割と早く済んだ。

何より、旅が最後となれば、捨てて行ける物とか、
まだ旅を続ける人に貰ってもらえる物も多かったから、
バックパックにはゆとりがあった。

そうこうしているうちに、同部屋の何人かが戻って来た。



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『脳炎』の情報は、私なりの理解として書いたものですので、
決して正確ではありません。参考にはなさらないで下さい。


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