社会医療法人こぶしブログ

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私の本棚 今月読んだ本

2019-02-15 14:06:10 | 千歳こぶしクリニック

「タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源」

ピーター・ゴドフリ=スミス著 みすず書房

 

 著者は哲学者で練達のダイバー。無脊椎動物の中で唯一、頭足類(タコやイカ)が、ヒトやトリとはまったく異なるルートで複雑な神経系を獲得してきたことを、私は本書によって初めて知った。タコは極めて好奇心旺盛な生き物であり、その腕には中枢からは独立して作動する神経系があるという。またある種のイカにはエピソード記憶のようなものが観察されるという。神経系は感覚と運動のループを仲介する役割を担いながら、多くの能力を進化させてきた。まるで地球外の知的生命体のようなタコの神経系の研究は、これからもヒトの意識や感情や記憶の起源を考える上で大きな刺激を与えてくれるだろう。またタコは二歳くらいで急速に老化して死んでしまうという。老化のメカニズムの研究にもタコは極めて興味深い生き物である。

 

千歳こぶしクリニック 院長 寺岡政敏

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