左官職人記

~職人の独り言~

~ 挫折の中の 願いと夢 ~

2017年09月15日 | 日記
第18回全国漆喰鏝絵コンクール、見事に空振り。
今回は自分的には、マイクタイソン並みの一撃を放ったつもりだったけど
あっさりかわされ、ずっこけた…。

慣れてもいい位、挫折をしてきた。
独立をしてから18年、『七転び八起き』所ではない。
時代に合わないとか、手間をかけすぎとか、変わり者とか…。
同業の有力者に、材料を買えなくされたり、裏切られたり、
正しく仕事をしても、安かろう悪かろうの奴らの方が稼ぎや立場が良く
自分が一流と思う左官職人はもう、ほぼ全滅だ。

よく、『そんなに有名になりたいか?』『金にもならない、無駄な事を…。』
とか色々。年が上というだけの同業者の奴らに言われてきた。年が上でも
そんな奴らに敬意ははらわない。むしろ上等。
出る杭を討つと言うならば、キリがないほどの杭をだしてやる。

昔、気弱だった自分を強くしてくれた恩人が『正しい事をしたかったら偉くなれ』
と言われた事があった。その為には他がやらない事、難しい事を不器用ながら、馬鹿にされながらやってきた。
自由でいいなと思われる事が多いけど、その自由には並々ならぬ
覚悟と決意、責任を背負っている

どの世界でもあることだけど、正しい事を貫いても馬鹿を見る事が多い。
でも俺はもう我慢ができない。

左官が見直されてきたと言われても、あくまでも簡易的で正しい事をやってる職人がはたしてどれだけいるのか。昔は多くいた無名でも、一流の左官職人。
自分が『カッコいい』と思った本物の左官職人。

その先人達の復活と、正しくやってきて良かったと思える様に、無駄なあがきをして行こう。





題名『dragon plaster』
前回のブログでも書いた様に今回のテーマは自分自身。
左官は下地が命と言っても過言でない。
今はボード下地が主流だが、本来中塗り土や砂漆喰で下地を塗っていた。
この簡易的な時代では中々使わないし工程も増えるが、丈夫さや耐久性は現代に勝る。
いつも下地になってしまう強い砂漆喰をあえて表にだし、龍を仕上げた。
そして中々願いが叶わぬなら、自身で願い玉を塗ってやると言う行為。
大地を揺るがす怒り、砂漆喰の強さ。

結果は出なかったし、やりきれなさは拭えない。

でも今回以上のステージを自分で用意してある。
そこでまた無駄で無謀な挑戦をするつもりです。