さて、尾道旅も最終日。
尾道といいながら、旅の締めくくりは、大阪へ。
出発前、福山の宿アンカーホテルで朝食をすませる(宿泊者には全員ついてくる!)。
映画でみるブルックリンのような内装だ。
地元の「ザ・スタンダード・ベーカリー」さんのパンと「池口精肉店」さんのソーセージを使ったホットドッグ。
BLTサンドも選べたけど、旅先ではジャンクに決めたいところ。
......これはおいしい。ソーセージの香ばしい肉汁をクラフトコーラでさらりと流し込む。至福。
私は全粒粉パン、相方はクロワッサンをカスタム。持論だが、ホットドッグには控えめで肝の据わったパンが合う。
フンフンご機嫌に部屋へ戻ると、予約していた新幹線の出発時刻が10分後だと知る。
慌てて福山駅に走る。福山城、ゆっくり見たかったなぁ。
後ろ髪を引かれながらも、新大阪へ心を弾ませる。
お目当ては、「関西クィア映画祭」。
上演は夕方からだったので、落ち着いて過ごせるカフェを探す。
海外のマンガやバンド・デシネが豊富に取り揃える「書肆喫茶mori」さんにたどり着く。
ひっそりとした路地裏にひょこっとたたずんでいた。
台湾のイラストレーター・高研さんの『緑の歌』をお供に、シトラスティーを飲む。
仕草の機微があまりにリアリスティックで静かに心揺さぶられる。
「はっぴぃえんど」をはじめとする日本のロックバンドが好きなひとにはたまらない作品である(私は全く明るくない)。
下巻は買って読むことにする。
ふと顔をあげると、相方が指で何かを示している。「M」の字を空に描いているようだ。
......マクドナルドだ。どうやら腹が減って仕方がないようだ。
結局、一時間足らずでカフェを出て近くのモスバーガーに。
「仕方ないなぁ」という表情をしつつ、わたしもモリモリ食べましたけどね。
ここから映画の時間まで別行動をとることに。
わたしは書店巡りに繰り出す。
人通りに当てられて、ふと横道にそれると偶然にも好みの店構えの書店さんが。
画集やカタログ、インテリアデザイン、雑誌などソフトからハードまでを幅広く取り揃えている。
店主の方と色々とおしゃべりしているあいだじゅう客足は絶えない。
そろそろお暇しようかなと思ったところに、面白そうな古雑誌を引っ張ってきてくださる。
その名も「The Meditation」。1970年代のヒッピー文化を遺憾なく発揮した精神文化誌である。
横尾忠則想定のどぎついデザインに負けることなく、内容も骨太だ。
ヨガや瞑想の方法からアメリカのスピリチュアル・サークル実践者、今西錦司(!)と横尾忠則の対談など、
極限にまで振り切っている。
国会図書館のアーカイブを確認する限り3年間で廃刊しているようだ。
古本はこんなトンデモと出会えるからたまらない。
映画の上映が近づいてきたので、心斎橋シネマートに向かう。
今回観たのは、国内コンペティション部門。
最優秀観客賞を選ぶために五つの作品から一つの作品に投票する。
わたしは生殖補助技術の倫理性をミニマルに問うた「少し未来のある部屋で」に投票した。
妊娠にまつわる意思決定と行動に男性がどう参与するのか。SF的な設定から逸脱的に想像することができる示唆深い作品だと思った。
悲しいかな、この旅も終わり。
プチ夏休み、のびのびと羽を伸ばすことができました。
年末までボチボチがんばりましょう。