二泊三日の尾道旅行、二日目。
湿った朝、むっくりと目を覚ます。
寝ぼけ眼で階下のレストランを覗くと、モーニングはちょうど5分前に終わったばかりという。
昼食にはまだ早いので、屋上で時間を潰すことに。
相変わらず雲は厚いが、昨日よりも明るく、気温も高い。
熱中症に気をつけなくっちゃ。
宿のチェックアウトを済ませ、足早にしおまち商店街へ。
お目当ては、汐待亭さんのあいかけカレー。
欧風カレーとチキンバターカレーのハーフ&ハーフ、私はやさしい酸味の欧風カレーが好みだった。
相方はものの5分で飲み干して(!)ので、デザートもいただくことに。
食後の一杯は、エスプレッソ・レモネード。爽やかなのでゴクゴク飲めちゃいます。
フェリーの出航時間まで、船着場を散策する。
14:00ごろ、再び尾道港に。
お目当ては、大林宜彦監督の尾道三部作のひとつ『さびしんぼう』のロケ地である。
作中の名の通り「西願寺」というお寺へ向かう。
急峻な斜面をヒィヒィ登る。年季の入った瓦屋根の住宅が、所狭しと山肌を覆っている。
もはや再開発しようもない、人々の暮らしが細かな網目として土地に根付いている。
滴る汗を拭いながら、例の階段を仰ぐ。
藤田弓子演じるパワフルでセンシティヴな母親をふふっと思い出しながら、鳥居をくぐる。
だが、誰もいない。ガラン、としている。
相方が鐘を鳴らす。振動音が長く尾を引くほどに、静けさが際立つ。なんだか寂しい。
下山する。
現界芸術を探すのも、旅の楽しみである。
尾道駅前のアーケード街へ。土曜日だったが、シャッターを下ろしている店が目に付く。
喉も乾いて無言になってきた頃、良さげなカフェを見つける。
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店内にはムーミングッズや書籍があちこちに。
ムーミンを読んだことがない相方に、即席ムーミン講座を開く。
いっとう好きな『ムーミンパパ海へ行く(Pappan och havet)』のあらすじを熱弁すると、
「なんだか寂しいね」と一言。
西願寺の静けさが再び胸に迫る。尾道は寂しさと手を取り合った街なのかもしれない。
この日は福山に宿を取っていたため、山陽本線に乗る。
アパートを改装した客室は、さらりとした木材家具とデニムのアメニティが感じよく配置されている。
そして夜ご飯は、尾道ラーメン。いや尾道で食べんのかい。
ごはんに唐揚げまで付けてモリモリ食べていると、ラーメン(単品)を啜るお兄さんたちと何度も目が合う。
旅先くらいたらふく食べさせてくれやと自分に言い聞かせ、完食。
豚骨ラーメンで育ったはずだが、醤油ラーメンが一番好きである。
ごちそうさまでした。
よく歩き、よく食べた一日であった。
尾道旅2日目、おしまい。
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