いきなり始めるのもなんですからウララなりの雑談を。
題名はACTIONにしました。気取ってヤーンの。まあいいじゃないですか。
それと、車好きが書いてるんですから車がよくでてきます。
スポーツカー特集やらウララ日記やらは続けまっせ。御安心。
さて、もう話すこともないから、すんごく恥ずかしいし緊張もするけども・・・
あーーーーーーほんとに チャラチャラの私が・・・ 真面目な文を・・・ 今更後戻りもできんし・・・
ヨシ!覚悟!!!!!
___________________________________________
序章
___________________________________________
ある蒸し暑い夏の夜、明石海峡大橋を車で渡るお婆さんがいた。お婆さん、名前は山野和子という。目的地は徳島のこの春結婚したばかりの息子夫婦の家。
和子さんの前にトラック。和子さんは追越車線へ。抜き去る。その後しばらく追越を走っていると前の方でミニ渋滞が。みてみりゃトラックがトラックを追い越しにかかっている。やれまあ。死んだ旦那が「80km/hを81km/hくらいで追い越すんじゃ」とか言いよったが、あの人も大袈裟な人だったし。しかしのろいネェ。待ってられんな。そうこうするうちやっと抜き終わったようで和子さんもスロットルを踏み込む。スピードメーターは80から100、100から120へ。
63歳だからなんだい。あたしは速いのがいいんだ。去年、息子にもう歳なんだからスピードを守りなよ、と言われた時に返した言葉である。今は64だがやはりスピードが好きだ。メーターをみな、125・・・130・・・135・・・
制限速度+40迄なら捕まっても免停にはならないそうだから・・・と言っても制限速度は80。まあいいわ。和子さんは思う。
この車も、買うときいろいろあったわねぇ。息子はせめて500にしとけ、あっちの方が安いというし、私は嫌だよアバルトでないと、あたしゃパワフルなのがいいんだ、だいたい100万増えるだけだろ、なんて言い争ったっけねぇ。結局私が「あたしのことなんだからあたしが決めるわっ」って、アバルトの595、しかもコンペティツィオーネになったのよ。MTだし、安くはなかったけど嬉しいわ。
諒太も、優しい子なんだけどねぇ・・・ あんなにいうのも私のこと心配してくれてるからなんだろうし・・・ まあ、それでも私は飛ばすけどね。
回想に浸りつつ追越車線を走っていたら前にシルバーのトヨタが。ノロノロと追越車線を走っている。どうしましょう。左から抜いたら煽り運転になるし、でもこいつの後ろにくっついてノロノロ走るのも嫌だし・・・昔はライトをアップにしたりしてたけど、今じゃ無理よ。逮捕されたくないし。
エイッ、仕方ない!左にレーンチェンジしようとウィンカーを出すとトヨタが左に移った。まあ危ない。和子さんは右車線をそのまま走りトヨタを抜かす。
和子さんの駆る595は淡路島を抜けるところだ。
淡路島といえば、玉ねぎが美味しかったねえ。眺めも良かった。和子さんはそう思いつつ回転を合わせシフトダウン。
車は大鳴門橋に入る。和子さんはギアをトップに入れスロットル全開。回転系の針が跳ね上がり、レッドゾーン手前で跳ね返る。スズキの軽を抜きさりトンネルへ。野太い排気音に包まれる。速度計は130km/h。前方に緩やかなカーブ。和子さんはスロットルを戻しつつ抜けていく。
鳴門ICを降り国道11号へ。対向車線にパトカー。和子さんは慌ててスロットルを戻し、パトさんが通過したら再び加速。ヘヘン。しばらく南下して松茂町の方へ行く。笹木野の方に息子夫婦が住んでいる。
松茂中学校の前を通り右に曲がれば、その家が見えてくる。
サイドブレーキをひき、ギアをリバースに入れて停車。和子さんは車から降り、呼び鈴を押す。
ピンポーン。反応なし。あらおかしいわね。事前に二人に言ってたのに。ドアノブを引っ張ると扉は開いている。マア、鍵くらいかけなさいよ。泥棒がくるわ。呆れつつ息子を呼ぶ。これも反応なし。ハハン、アレ、してんのかしらね。だとしても、返事くらいしてよね。もう一度呼ぶ。「諒太、諒太ァ」反応なし。嫁の名も呼ぶ。これも反応なし。和子さんは二人の部屋へ。明かりがついている。「開けるわヨォ、いいの?」
バタン
キャアアアアァァァァァ
息子の嫁が猿轡をかまされ手足を縛りつけられて横たわっている。和子さんは咄嗟に縄をほどき、猿轡を外し嫁を助ける。嫁の彩子さんはフラフラしながらも和子さんに何があったか話し始めた。
1時間くらい前かしらね・・・主人と話してたら、いきなり男が二人入ってきたのよ。音楽かけてたから物音に気づかなかったのね。そのうち一人は知らない顔だし、主人も怪訝な表情をしてたわ。そいつは髪を赤と紫の縞に染めてた。
ー 趣味悪いわね、そいつ。もう一人は、知った顔だったの?
いいえ、そいつはお面を被ってたのよ。節分の鬼のお面。だから顔がわかんないの。私を縛ったのは、縞髪のほうよ。何も言わずに縛ってた。私、いきなり入ってこられたもんでびっくりして。そばではお面がピストルで私たちを脅しつけてたし。どうやって入ったのかしら・・・窓を割ったのかしらね・・・
ー 諒太は?諒太はどうしたのよ?
諒は・・・攫われたわ
ええっ!
縞髪が「こいつを攫う、明後日午後2時丁度に徳島線鴨島駅南口まで1000万円もって来い、地図を置いていく、もし来なかったらこいつを殺す、警察に知らせても殺す・・・
和子さん!ちょっと!しっかり!
あまりのショックに和子さんは気を失った。