短期海外研修制度の開始で、航空機利用の出張が急増していることを受けた措置。他の自治体でも自粛が行われており、県総務課は「たまったマイレージを私的旅行などに使うこともでき、適当でない」と説明している。
マイレージを巡っては、2008年頃から国家公務員などの取得が問題となり、取得自粛や国によるマイレージの一括管理などが議論された。同じ時期に自粛を決めた自治体もあるが、県は東京に近く、航空機を使って出席する会議や海外出張も少ないため、取得自粛の必要性は低かったという。
一方、県は11年度に短期海外研修制度を導入。全職員を対象に、希望者が1~2週間、海外の行政、市場、教育現場などを経験する内容だ。導入後、欧米やアジア諸国などへの出張が行われ、今年度は10組37人が研修で出張、または出張を予定する。
県が検証したところ、米国に2回出張すると、国内線の航空券に使える程度のマイレージがたまる計算となり、「取得したマイレージを私的に使える状況が広がるのは好ましくない」と判断。昨年10月末に総務課から各部局に対し、国内外を問わず、マイレージ取得を自粛するよう通知した。
マイレージの取得自粛を巡っては、国での議論などを受けて、自治体でも導入が進んでいる。
東京都は06年頃、職員に取得自粛を通知。旅費精算時に取得の有無をチェックしており、制度企画課は「取得の事例はなく、自粛が浸透しているのではないか」とみる。
08年に取得自粛を通知した福岡市では今年度から、航空機利用の出張が多い部局の職員を対象に公務用カードを作らせ、出張の飛行機代削減のためにマイレージをためる制度を試行している。マイレージで公務用航空券を入手できた事例は1件のみで、「正式導入については検討中」としている。
一方、出張での航空機利用の少なさなどを理由に自粛を求めない自治体もある。埼玉県は「東京に近く、遠方への出張も少ない。公用カードの導入も検討したが、たまるマイレージより管理費の方が高くなるので断念した」としている。(石川純)
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