中国で大気汚染のドキュメンタリーがネット上で公開され、社会現象となるほどの反響を巻き起こしていると先週お伝えしましたが、わずか1週間で、この映像が視聴できなくなりました。中国共産党が意図的に規制したとみられています。
国営の中国中央テレビの元記者・柴静さんが、先月末にインターネット上で無料公開したドキュメンタリー。
<石油大手幹部への質問>
「なぜ環境問題について社会的責任を負わないのですか」(元中国中央テレビ記者 柴静さん)
PM2.5発生の原因を作っている企業や社会の構造などに鋭く切り込む内容が反響を呼び、動画サイトの再生回数は公開から4日が経った時点で3億回を突破。大手ネット通販では、空気清浄機の検索が急上昇するなど、社会現象ともなっていました。そのドキュメンタリーが6日夜から中国の各動画サイトで視聴できなくなってしまったのです。
「内容に事実が多すぎたからじゃないですか」(北京市の住民)
「政治的な理由があるかもしれませんが、私の口からは・・・」(北京市の住民)
現在、北京では日本の国会にあたる全人代が開催されていて、柴さんの動画が見られなくなった翌日には、陳吉寧環境保護相の会見がありました。
「大気汚染の責任は主に企業にある」(陳吉寧環境保護相)
もともと環境科学の専門家だった陳氏は、柴さんの作品を公開直後に絶賛していました。
「彼女は市民の環境への意識を喚起した。尊敬に値することだ」(陳吉寧環境保護相)
会見では大気汚染に関する質問が相次ぎましたが、柴さんのドキュメンタリーには誰も触れませんでした。中国共産党が国内のメディアに対し、関連の報道を禁じる通達を出したためとみられます。
会見後、我々を含め、質問のチャンスを与えられなかった外国のメディアがコメントを求めて一斉に駆け寄りましたが、陳環境保護相は足早に会場を後にしました。
「見られなくなって、大気汚染問題への人々の関心はかえって高まると思います」(北京市の住民)
陝西省の西安では8日、大気汚染への対策を怠った政府の責任を追及するデモが発生しました。中国政府がいくら規制をしても、既に3億回以上再生された柴さんのドキュメンタリーが今後もたらす影響は、計り知れません。(09日17:37)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます