【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

ZEN【248】自分に愛が存在するから

2009-11-12 | 3-4 ZEN




 ZEN【248】


「え...なんというか...混乱して」

「ごめん、5日も眠っていたのに突然、頭痛くなるよね
 今から専門の人がお風呂に入れてくれるそこに行こう」

菊之丞は用意されていた車椅子をベッドに寄せた。

そして、ギプスの足に気遣いながらアンバー
を抱き上げて、車椅子に乗せて―病室を出た。

それは余りにもスマートだったので―アンバー
は、菊之丞に気を遣う間が、寸分もなかった。

ギーガが6時間以上、アンバーの意識が戻るまで、手を握っていた
ので当然骨折も完治しているが、ギプスは、普通に完治のときまで
外されない―ために、ギーガはそのことは何も言わなかった。

そんなことはギーガの効能を知る菊之丞は気付く。

そして益々―アンバーの昏睡は何だったんだ?と思う。

船長の自作自演としか思えなくなってくる。

それは、船長が俺のために?!と嬉しい勘違いをして―
勘違いであろうとそうでなかろうとどうでもよくなる。

純粋に嬉しい。

アンバーは俺の横に居る。

後に拒絶されても―今ここ は天に昇るほど嬉しい。






浴室に向か廊下で―アンバーは菊之丞に、嬉しい。と言った。

双方―気負わずゆったり考える時間は必要だったと思う。

自分が18のままで死なないことなどクルーの話をしよう。

いつ言おうか?と頭を巡って―テラとの会話を思い出した。

長く生きてると...と言っても、たかが30年でも洞察観察もって世を
観ていれば、こいつこのままじゃ堕ちていくだけだなとか見える。

でも、それは、そいつの選択だから余計な口挟まんとこ。となる。

が、その話は脇に置いて、そんな奴がそこから
這い上がれる としたら、どんな場合だと思う?

『いつものように映画観るときのようなラスト予測で考えろ?
 う―ん。ああ、判った。18の俺ではてんで想像も出来ません』

はは、そう来たか。

人の話は聞かない、自己愛自尊心自己弁護強く
自己肯定低い人でも好きな人の言うことは聴く。

そういう人と恋人になった人はそいつと同波長。同類だから
いつも一緒に居て、共に堕ちていく。そんな結果は常お約束。

一方で、そいつにとっての高嶺の花...手の届かないようで届く
話をすることは出来る関係の 好きな人 の話は聴(効)く。

話していて喧嘩腰になっても後の関係は崩れない、信頼ある。

素直に反芻したり話を聞かないになったら
もう今は、好きではなくなったということ。

『断言出来る?...あ...そこに、相手に尊敬があるから...敬愛か』

自分が話を聞き入れる人間は、必ず敬意ある好きな人だけ。

そして人は成長していく。堕ちる方には決して進まない。

堕ちる人は人の話を聴かない...高嶺の花を持たない人のこと。

そんなやつらは団栗の背比べしながら互いを褒め合って底辺
這いずり回って、突き抜けた人を見ては、文句か指導をする。

『そうか...それが間違っていたとしても、堕とは思ってない』

そ。そんな心理を利用するのが宗教。て今はそんな話じゃない。

だから誤解すんな?

好きな人の話は聴く ということは完全同意。
その人に対して、イエスマンになるではない。

相手はそのどちらかをしっかり理解すること。

敬意ある好き が前提で理解しようとするものだ。

『高嶺の花 と思っているうちは理解の距離が遠い、だから
 距離縮めようと理解しようと努め...能動的に話を聴こうと』

そうだ。

今 俺はお前が気になっているコの高嶺の花になれと言っているんじゃなくて、堕ちいく方向を選択しているコでもそのコに好きな人が現れたなら、人は突然素直になったりする。

だからそんなコを見掛けたらそっと気にしてやれよって話。

その話をしたのは何のとき何時だったか―。

話の中の 好きな人 が菊之丞の中で涼しい風を伴って響く。

自分に愛が存在するから―何時話すとか決めなくていいんだ。

好きでいてくれるから何時だろうと理解しようとしてくれる。

自分に愛が存在するから―クルーを言えるとは そういうこと。






ZENもくじ ZEN【249】につづく。





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