EMA【27】
シゴトと大切な人ならSPを教える―彼女たちには教えていない。
彼女たちはSPより自宅を教えて貰ったことに特別を感じる。からSPを知りたいと言って来ない。
自尊心ではなく自己愛の強い彼女たちは俺から興味ないと言われるより何度電話しても連絡取れないから自分が厭きたことにしたい。
自分が傷つかないように...振舞いたい。
そして勿論それは自分自身に隠せない。
.......デイジー。
最初からわかっていたことだが、偽物ハイソのスノビズムで盛り上がるサ・ナール世界で知り合う女性とは違うと思いたかった。
俺と離れて時間経って気付いて...自分を愛してくれる相手に慈しみ思い遣ることの出来る女性になれ。
ハナから縁のない人間同士だったからそんなものだった。
自分は魅力的。そうなるよう努力して磨いたから誰もが自分を賞賛して夢中になると思っている、そう思いたい。からこういう行動。
そう思わないではいられない、しないではいられない。
本当は誰も自分を見てくれないその事実を知れば寂し過ぎて。
心の底から愛されるためにどうすればいいかは、読んだり聴いたり知識してわかっても―しない。
愛して貰える保障が見えない努力はいや。
今やってるお前らのソレこそ結果愛して貰えないんだが?
わからんらしい。
愛して思い遣って優しくして!と怒ったり泣いたり病んだり訴え、自分は人を愛さない優しくしない―面倒臭いもん。
簡単に安易に人から見られて気にして貰える餓鬼法採用。
自分が人にしていることしか返って来ない。
外側の人たちに嘆くだけ嘆いて内省しない。
哀しい事実を見なくて済むよう頑丈で重たい蓋閉めて―外で人目際立つ華美外見とパフォーマンス、ひとりになったならハイテンション音楽や酒やスポーツや妄想ゲーム...ドラッグで蓋が開かないよう重し掛けて手放さない。
何も生産も内省もしない生活してるから人に少し優しくされただけで(そのお蔭で愛のない妥協夫婦が増えて詐欺師と企業は大儲け)天使に出会ったような気になる。
人と人の関係に極当前 がナールには 天使 と扱われる。
誠意を面倒臭がってソトガワ華美如何しか行動しない脳浅いナールはその蓋の素晴らしさを競って英雄を決めたがる―英雄宗教。
ナールの敵...恐怖は人間の一番の贅沢である静寂。
あのとき、エマに...静寂が見えた。
静寂を怖がらない女の子がいた。と思った。
長年憧れ理想としてきた縄文人だから の先入観だろうけれど。
それでも同じことだ。
俺の中にエマを慕う気持ちが...ある。
それで、どうするか?なんて考えても埒明かないんだが...。
翌日、イーギンはオットーを呼び出し、出社すればしたで仕事あるオフィス ではなくキシャン内各店舗に足の赴くまま出向いて午後に『フェスト』に向かった。
社長が来る事前連絡受けてない店舗はこれほど迷惑なことはない―寸前にオットーが向かう店舗に連絡を入れたが、何も疚しくないのだから動かなくてもいい感情なのに何故か人の心理はそう働く。
迷惑だろうと思いながらも今日のイーギンは頗る機嫌がいい。
底まで行って自分の中で淀んでいた汚れ一掃した不必要剥がれ落ちたそんな爽快を感じて今ここに戻って来た。
オットーはクリスティーナのための精一杯の機嫌と思っていた。
それも理由のひとつにあるかもしれない。
クリスティーナは友だちと一緒の時は自分に甘えてこない、そして破格の売上に協力してあっさり帰って行く。
こんなときはこれほど尽力してくれる友はいないと思う。
今は頻繁でもないが、年頃になった暁の『リーベ・フロッス』に
奮起してくれる威力は、彼女の聡明さと魅力と共に計り知れない。
そんな打算も働けば、クリスティーナの可愛らしい我儘に付き合うことなどたいしたことない。と思いたいが、それ以前に財産相続の件で首を括られているせいで内実は彼女に殆ど捨て身。
イーギンはソレ抜きに 素晴らしい友!と考えたい。
「クリスティーナ、君の留守電の話で俺は救われた」
クリスティーナへの思いの丈は昨日の電話の件に全て込められて―クリスティーナにも伝わった。
真面目な顔して言ったイーギンにクリスティーナは得意気で生意気な笑して、でしょ?と言って笑った。
「で、スワニー島はご一緒して下さる?」
「往復飛行機とホテルもうちの?『シシィ』の方が気楽かと」
「わっ、泊まる!」
クリスティーナは途端はしゃいでイーギンに抱き付いた。
そして、午後の3時にクリスティーナと友だちは膨大金額のカードを切って帰って行った。
イーギンは、スイスに帰りますように!と祈って見送った。
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