EMA【95】
朝からリウイに、午後から『シルバーウェイ』でパーティーです。と言われた途端イーギンは、アンナに会うのか...。と欝気分。
彼女はイーギンと会いたい、イーギンが行かなければ途端、今後の円滑な付き合いや『フェスト』に支障出すほど機嫌損ねて態度横転はわかり切って―更に『フレハーウェグ』も控えている。
「社長...?金曜日にも念を押しましたが、お忘れですか?」
「嫌なことは全部頭の隅に押しやっていた」
笑うに笑えないイーギンの返答にリウイは我慢して顔を伏せた。
「 ...俺も笑いたい。行くのはいいがタキシードを」
「はい。準備しています」
「あ―さてどうするか『ノウヴン』祝賀会か忘年会かアンナ夫人は
その場で新年イベント協賛願いだろう...が、こっちはどこより
先に袖の下情報を掴ませるかな」
「えっ...それってインサイダー... 」
「何だ?何か言ったか?俺には聞こえない...秘書はエミリを」
「社長、本気ですか?」
「俺はエミリを連れるだけだ。アンナには何も喋らない
後どこかで何か動くとすれば双方女史の天才的嗅覚の」
「社長...どうかなさったんですか?今まではそんなこと」
イーギンは笑ってデスク向こうに居たリウイに身を乗り出した。
「リウイ、昨日、考えたんだ。天使について」
「は?」
「好きな人を作らず憎い人を作らず、にいると心の平安がある
好きな人と会えない苦しみはなく憎い人と会う苦しみもない」
「 ...確かに」
「だが、そう言うわけにはいかんだろう
だから憎い人を好きになることにした」
リウイは顔を伏せて下を向き、こっそり噴いた。
「何か間違っているか?」
「えっいえ、ご賢考です。では、好きな人は?」
「それは、好きな人は皆天使だから俺の動向云々の枠外で...
どうしようもない。だから会えない云々も文句言わず従う」
「では会えない苦しみは残ったままですよね?」
「天使に従うは憎い人を好きになって会えると喜ぶよりマシ」
「 ...それ...奥様のことですよね?」
イーギンは咳払いをして、至急エミリにドレス着るよう連絡。と言ってリウイを追い払おうとしたが、リウイは、お伺いした返事を貰ってません。と言った。
「 ...何のこと?」
「私が伺ったのはアンナ夫人への対応ではなく、袖の下とか市場や
権力や信用の僅かでも動く情報の提供など...今まで完全に潔白に
して嫌っていらしたのに?と」
「『リーベ・フロッス』では。会社内と社員教育では当然だ
だが、自分個人についてはそんなことやってきてはいない」
「え」
「ナール相手に完全に潔白やって人脈も使わず巨額稼げるか。俺は
それが善良とも極悪とも言わん。自分には善悪や白黒にボーダー
持たず。判定しない。だが、会社経営はグレーを使って来た」
「あ...社員は、社長のそのグレーにまんまと嵌ってますが」
「そうか?それなら安泰だよ。解り易く言うなら俺は何も下さない
それをするのは俺の顔色を見て欲望を持って勝手憶測で動き出す
人だけ。何だよ、リウイ、今まで俺の横に長くいて今更リウイが
わざわざ驚いたのは相手がアンナだからか?」
「 ...そのようです。失礼しました」
「どういうことかわかったのか?」
「今までは社長はアンナ夫人には、いえ、嫌う人の皆に顔色見せず
思考ひとつ読ませなかったものを、今後はそれを大盤振る舞い?
え...本気ですか?」
「ハハ、富は分かち合お。折角嫌いな人を好きになったのに」
「 ...富は富を吐いた人に戻ります」
「そ。善と徳と富と名声と実はどれも仁義礼智を語り行う人に戻る
実のところ仁義礼智とは何か、悪事も善行もしないグレーのこと
グレーとは身の丈分を毎日誠実堅実の行為」
「嫌う人にケチっていたと...反省の妙ですか」
「そういたことだ。昨日、目が覚めた」
「 ...それは例えば最愛の奥さんがいたとして浮気は有りと?」
「それは意味が違う。白黒善悪は相対するものであって融合すれば
グレーと事勿れ という結果を産み出す。男と女は相対するもの
ではないからソース仮定から違う。男がどの女と融合したって子
が産まれるだけ。それを言うなら男と男 女と女が相対するもの
そこに融合あれば何が産まれる?友情や親睦、人の輪だな」
「 ...すると結果、浮気の場合は女同士に輪が起こる?」
「はは。なあ、リウイ、人の世にそれが古代から続いていたら虐待
や諍い、戦争は起こっていない。グレーの産出は大切。ユリウス
がそれを謳ってそれの出来る人を、ラキスを増やす そのための
『フレハーウェグ』だ。アンナを好き は容易くないが努める」
「社長...仰りたいことがやっとわかりました」
「そうか。よかった。エミリを呼んで?」
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