GALE【336】
間もなく白旗サイン出していたこの海賊船をラプチアナ隊が包囲。
リータスに、今から乗り込む。と連絡して来た。
ドルーイルはリータスの命令に従って部下全員に、抵抗すれば殺されるだけだ、降伏だ。と告げた。
ラプチアナ隊は海賊船に横付して一斉に乗り込んできた。
その瞬間【真夜中の騎士】クルー全員がサジして消えた。
ブリッジに居たラピスやルビー、セージも姿を消したが、ギーガはドルーイルを絡め取るようにその体を掴んでリータスと共に残る。
乗り込んできた軍人は次々と海賊連中を捕獲、数人はやや抵抗したが、難なく収めて―ラプチアナ艦に搬送して行った。
船底から開放されて船内に散らばっていた人々は突然の軍人出現に驚くも、事態を覚って抵抗する人も少なく再び船底に集められた。
「リータスっ!」
ブリッジにラプチアナ隊員が数人、銃を構えて現れて―ブリッジに居たドルーイルの部下全員を捕らえて行く。
「! ...何故【真夜中の騎士】?!...お前はギーガ...?!」
隊員たちはデータでしか見たことのない【真夜中の騎士】の船長の実物を目に、逃げずにドルーイルを捉えて凛と涼しく立ってこちらを見ているギーガに驚いた。
「リータス...これは...?!」
ギーガはドルーイルを楯に見せ掛けて最悪の瞬時どう出るかわからないドルーイルの体を封じて確実にラプチアナ隊に引き渡した。
リータスはギーガが自分を本当に【真夜中の騎士】に案内するか、今まだ疑わしく―どうするつもりだ?とギーガに寄った。
「待て。寄るな。こいつの処理を、その軍人たちに告げろ」
リータスはギーガの言うとおりにラプチアナ隊にドルーイルの処遇を託して、自分は【真夜中の騎士】に行って来る。と告げた。
リータスがギーガに向くとギーガは、着いて来い。と言った。
「まさか?!...リータスっ!」
引き止めるラプチアナ隊員たちにリータスは、後を頼む。と言ってギーガが進む方向に続いて歩いて行った。
リータスに触れるサジをギーガはしなかった。
ドルーイルの海賊船にラプチアナ艦から繋がるタラップを歩く。
「待て、そっちはラプチアナだ」
「いいから早くしろ。人に見られる」
言ってギーガはラプチアナ艦に移動した。
「お前は...そう、何もかも知っているのか」
「煩いよ?クリスティーナのためだ。誰が案内するかっ!」
「視察ではない」
「視察されても何も掴めんて。そんなことを言ってるんじゃねえ」
「では何だ?」
「【真夜中の騎士】はクルー以外には忍者屋敷と同じだ。お前が
ひとりで歩き回れば、船のトリックに嵌って命を落とす。10年
お前に触らないように逃げ続けてきたのに自殺されて堪るか!」
「 ...はは。それは感謝する」
【真夜中の騎士】の中のトリックについてはエヴァから説明を受けて先刻承知だったが、それは言わない。
そんなことを心配するギーガに頭が下がると思って妙に絆された。
そう悪いやつじゃなさそうだが...。と思う。
しかし、こいつは何重もの顔を持つ。と思い出して思考を改めた。
【真夜中の騎士】のブリッジではクルーたちがディスプレイに映るふたりを観て楽しく騒いでいた。
ブリッジ奥の船長席に慌ててサジして現れたエヴァがいた。
「瓢箪から駒、かどうなのか?リータスはどう出るのだろう」
「 ...リータス...何か...変わった」
「軍人になっていたとは驚きだが...ラキスだしガキじゃないし?」
「が、鉄星会の瓦解策も別方面でやり直し美味しい汁もパァ」
「あら、私のせいだと言いたいの?」
「いや?スリリングだ?」
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