EMA【265】
「それはいいのよ、あ、社長の出るパーティーに潜り込む?」
「どうやって?恋人か知り合いないと無理でしょ。しかもそれ本末
転倒。他に何かない?デパートの平場に現れるとか。はははっ」
「あ、今夜...ああ...そういえば」
今夜?!と皆が反応してジュンを見た。
「火金の7時から11時。皆知ってるものと...
内緒なのか?いや、そんなことはないか」
「何っ早く言いなさいっ」
「あ―パスティアント高校の理事をやってる繋がりで体操クラブが
あって、器械体操メインだけど体幹やヨガまで、よくわかんない
けどたまに顔出してる。スポンサーかどうかそういうことと思う
聞いてないけど。そこ行くと 平場で会う になる?社員も何人
か通ってるよ。そうだ、乗馬クラブもあった」
皆一斉に、え゛え゛―っ!?と驚いた。
「見に行って良い?」
「見に行ってって入会見学とか普通じゃね?」
「スー、行くしかないっ!」
スーに言ったダイアナにジュンが、社長に用事?と訊いた。
「何でもないっ。女子会話!」
「あそう...急用ならまだ時間あるから行けば?リウイが社長に
今夜こそは行って下さいとか言ってたし...いないかもだけど」
皆で騒ぎ出して場は、行く と決まったらしく慌しく動き出して―エマはその様子を呆然と見ていた。
「あれ、エマは行かないの?ハハ、入ったばっかりで社長に
興味ないか。よかった。静かになる。飲もう!グラス空!」
ジュンがエマに言ってバーテンダーのことろに行った。
ダンスフロアでは多くの社員が騒いでいたが、エマの座るテーブルはさっきまで3つも占めていた社員はぐっと減ってひとつに治まる程度、ドロシーと他に数人になって―急に寂しくなった。
ドロシーをステージで目にする―相当歌が好きなんだ。
一曲歌い終わってテーブルに戻って来たかと思うと『リーベ・フロッス』社員ではない人の席に浸透して行くドロシー―こんなところに飲みに来るというのはそういうことかもしれない。
テーブルに残った人と歓談しながらドロシーを微笑ましく眺めているとジュンが赤いカクテルを持って、はい。とエマに渡して横に座った―自分は氷入の琥珀色のグラスを持っていた。
気のせいか―常にジュンが横にいる気がする。
あっそうか...褒めて欲しい...それ待ってる?
「静かになった。深夜になって後ろは余計賑わい出したけど
ね、何で社長話題なの?女子が寄ると社長話題ってこと?」
「私は何も分かりません。出勤2日目で何もかも初めてで
お祝いのジュンの栄転先が社長室だから話題が向くとか」
「成程...俺、社長に憧れて必死で勉強して入ったんだ」
「憧れ...て?」
高校生の頃、大企業のどこでもいいから成功するって思ったとき『リーベ・フロッス』て企業もいいな程度だったけど、その会社がある日突然アパレル業界だけではない経済界トップクラスとなったことを経済誌で読んで興味沸いた。それが出会い。
何をどうしたんだ?って調べ捲ったら...て社会未知の高校生だから経済誌やHP見ただけだけど、何のことはない、よくあることだ、社長が代っただけだった。
新社長は一族縁故じゃない株筆頭。投資界有名人で若い。しかし、投資上手くても経営出来るとは限らない、ビギナーズランと言うか一瞬のわっと出た派手な花火と思ってた。
ところが、社長は根底から覆して経営全て変えた。
今までの遣り方ひとつも残さなかった。周りの古い腐った者が文句出すと冷酷斬捨と財力威圧で盛り上げた。
フツウは穏便に時間掛けて話し合って説得懐柔が賢いと言われるし勝利しようとすればそれしかない。ところが貫いた。
社長の第一は社員報奨。自分の名誉は考えない。内部留保芳醇還元して低所得社員が社長賛美...社員全員が自分の会社を好きになる。
社長はこれを社長とCEOの違いだと言って社長体制に変えた。
社長の信念は凄い。それと俺様性格。社員第一の軸はぶれない。
そんなことの経験のない幹部連中の不安無視して実行と強要で周りが思ってもなかった歓喜成果、最初の評価無視して実行する強固の姿勢...倣うって決めた。
うちに入るためにどうしたらいいかわからなかったがロセッティア大卒は絶対有利、だから猛勉強して合格してアパレルも勉強した。
イーギン・スペンサーに近付くことしか考えてなかった。
スーツとか靴とか持物全てが『リーベ・フロッス』雑誌で見てショップに電話して調べて真似した。勿論オーダー以外。
俺みたいに大衆に真似されるためにわざと表に出るときは主力商品を着ているわけだから店は丁寧に教えてくれる。
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