KEITH【75】
これは...間違いなく?
これを...ユリウスは知っているのか?
そんな俺の心配はなくてよかったかのようにユリウスはフィナから離れて俺をダイニングへ誘い、ジョージアを気にして見れば後姿。
しかし...。
食事中はジョージアに聞こえるのでそのことには触れず、ユリウスの歓喜に付き合う会話だけだった。
しかし、俺がジョージアを気にしていたことはユリウスにあっさり覚られて―突付かれた。
ユリウスが小声で、何だよ?と訊いてくる。
今まで快活に笑っていたユリウスが突然だ。
可笑しくて笑いそうになるのとそんな突然表情を変えてそれで俺が喋ってユリウスがジョージアを見て彼女と目が合ったら、困るのはユリウスだと思うと更に可笑しくなって思わず声を出して笑った。
「何だよ?」
「くく...だって...ジョージアが怒ってた」
俺は終に取っておけなくなって小声で言った。
ユリウスは驚いた顔をして、言葉を失った。
それもまた俺の笑いを誘った。
「何で?」
俺とユリウスは顔の距離を殆ど無くしてユリウスははるかに小さい声にして訊いてくる。
「何でじゃない、フィナに抱きついてたときユリウスを凄い形相
睨んでた。俺が訊きたい。この1年に何かした?あったのか?」
「え... 」
困惑の顔をしたユリウスは全く身に覚えのないと言った様子で考え込んで黙った。
「歓喜の次は陥落?」
「阿呆う、知るか」
「知るか?なら、一方的な?」
「見間違いだろ?シゴト中にじゃれて!とかジョージアなら
そんな生真面目だからそんなんで怒ってたとか じゃね?」
「だといい という希望的観測?」
「何をそんなことの一切!...そんなのはフィナもイオも同じだ」
「ならそれだろ?フィナはユリウスよりサファイアの方が気に
入ってるようだから被害な...あ、フィナの言ってた被害者?」
「 ...やめろ...わかった。もし、仮にそうなら始末致しますっ」
「始末って何だよ、」
「俺を、だよっ」
「何をコソコソ喋ってらっしゃるんですか?」
頭の上からフィナの声がした。
見上げれば...俺とユリウスの頭が上がるのと入れ替わりにフィナは珈琲カップをふたつ載せたトレーを静かに置いた。
「ん、あ―フレディを見ないが」
白々しくもユリウスが偉そうにして場を繋いだ。
フィナは俺とユリウスの前にひとつずつ珈琲を出した。
「そう言えば、ジャーメインの」
「え」
「さっきいらしたんです。ご主人とお嬢様おふたりで。ユリウス様
がまだ旦那様とは会わせないと仰ってましたからフレディが応接
の間に...まだ食事に来ないので、今も、相手をしていらっしゃる
のではないでしょうか」
ルナルーが来てる?!
俺がユリウスを見るとユリウスは俺に、隠れろ。と表情無く言ってフィナに向いた。
「どうして?来ると...いつ連絡あったんだ?」
「突然です。旦那様がここにご到着されたことをご存知だった
ようです。それでご挨拶...そんなことをおっしゃってました」
「到着?」
ユリウスに訊いた。
「新主人はディノウヴォウから来ると言うことになってた
お前がディノウヴォウしか知らないのも都合がよかった」
「もしかして、今朝の?」
「だろうな、妹たちの偵察だったかもな」
「 ...優しい家族愛だな。なら今更出直すも無駄
じゃないのか?俺が馬に乗れないってバレてる」
「あはは、馬に乗れないとかそんな問題?そんなことじゃなくて
お前のこの中身がガワに出るんだっ、それまで会わせられるか」
ユリウスは俺の頭を叩いて笑った。
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