EMA【234】
頭痛が来そうなくるくる回る点滅照明が一瞬過ぎて闇の回転速い
繰り返しの中、クリスティーナを探せば、ダンスフロア真中壇上。
そして、すっかり出来上がっている様子。
クリスティーナの男友がロータスに寄って勝手に話をし出した。
「クリス、1年前に現れて意気投合して友だちになった。毎晩じゃ
ないけど、ほとんど毎晩ここで一緒に飲んでる。誰かがコクった
けどあっさりNO、軟派もよくされるけどあいつ巧く擦り抜ける
ホント上手い。あんたはクリスを軟派?」
「成り行きだ。いい年して街中で軟派するか」
「俺らより結構年上?いくつ?」
「 ...30過ぎてるよ」
「えっそうは見えない!モデルだから?」
「誰がモデルだよ」
「クリスがそう言ったぜ。ポンコツ乗っててイケてる!」
擦れ者の集まりか。そんな風体のクラブだが...クリスはそうは思えないが、どうしてこんな場所に屯する連中と?
「うそばっかだ...彼女がどこの誰か知ってるのか?」
「知らねえよ、ここじゃ誰もどこの誰かなんて名乗らない」
「そうか。そらいい場所だ」
9時頃『ラッシー』に入ったが、ロータスはその後クリスティーナと接触することなく只管待って―やがて12時を回った。
そこでクリスティーナを捕まえ、帰ろう。と言ったが、クリスティーナはロータスを擦り抜けて、次の店よ!と連れて行った。
そこには『ラッシー』の友だち半分以上が付いて来る。
たまにならまだしも、毎晩こんな風に飲み歩くなんて他にスルコトないのかよ?と思えて仕方ない。
泥酔クリスティーナに自宅を教えて貰えないので送れず、放置出来ない。と言うより、さっきの出会い頭の衝突は実は傷を負っていて頭や体に後遺症でも出たら。と思うと放って帰れない。
ロータスは付き合うこと長時間―クラブ3軒梯子の末。
外の空の色はまだ暗かったが、時刻は朝6時。
テンション高く陽気に騒ぐクリスティーナにただ付き添っただけ―喋るもなく接触もなく時間だけが過ぎた。
『ラッシー』からここまで来た友達、途中参入友達、入ったその店にもいた古株友達は流石に朝は減っていた。
朝まで遣ってる最後のクラブのテーブル席は10、客はカウンターに2人とテーブル席が3つ埋まっているだけで静かだった。
そろそろ眠いはずのクリスティーナは未だテーブル席で最後まで残った男女3人とはしゃいでいる。
クリスティーナの友達から、最後まで居てクリス狙ってる?彼女は落ちないぜ。と度々冷やかされてロータスは輪の中からひとり離れ―カウンター席に居てクリスティーナを眺めていた。
元気良過ぎ...感心する。19はそんなもんか...。
「さて、なあ、帰ろう!クリス、お前んち遠いんだろ?
始発とかあるローカル電車だったよな。駅まで送るよ」
輪の中の男が立ち上がってクリスの腕を引き上げた。
聞こえたロータスは、始発待ち?何で言わなかった?と思った。
しかし、クリスはその男から剥れて、ありがとう、アーサーに送って貰うから!と言ってロータスに寄って来た。
途端クリスからアルコールの匂い―頭から酒を被ったみたいだ。
やっと車に乗せるとクリスティーナは途端もじもじし始めた。
「何?...眠いんだろ、寝ていいよ。その前に自宅を言え」
「あ...付き合ってくれてありがとう。ごめんなさい」
「はあ?自宅を言わないからだ。今頃今更だ、何を謝る」
「あの、本当に!」
「いいから。自宅はどこ?」
「その前に...私、今の店によく行くわ?また来る?」
「はあ?!俺は...今夜は用事がなくなってたまたまヒマに
なったから付き合えたが、いつもは体も時間も空かない」
「じゃSP教えて。電話いいでしょ?体空いたら会おう?!」
「俺は軽いことはしない」
「また会いたい、それ言いたくて...言えなくて...それでこんな時間
まで...ごめん付き合わせちゃった...本当に悪いことしたわ。お礼
がしたい、いえ償いと言うか...お願い」
「それ違う、クリスを撥ねた俺、だから改めてクリスの家に
訪ねるつもりだった。だから自宅......SP貸せよ。入力する」
「あ―私、持ってないの。いえ、忘れてきちゃって」
「 ...そう。じゃ教えて。俺のに入力しとく」
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