Peace and Democracy

平和と民主主義の情報紹介(s-mituru)

沖縄戦・集団自決の歴史を学ぼう

2005-06-21 | News
○沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会/○沖縄県教職員組合/○沖縄県高等学校障害児学校教職員組合/○民主教育をすすめる沖縄県民会議/○沖縄県歴史教育者協議会/○沖縄平和ネットワーク/○沖縄人権協会/○沖縄県憲法普及協議会 の8団体が、沖縄戦での「集団自決強要」を否定し教科書からの削除を主張する自由主義史観研究会の動きに抗して、緊急シンポジウム「『軍隊の支配する世界』~沖縄戦の『真実』にせまる~」を開催しました。「戦争する国づくり」に向けて歴史教育をゆがめ、戦争の真実を隠そうとする動きを見過ごすことはできません。「沖縄タイムス」の記事を紹介します。
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沖縄タイムス 2005年6月20日(月)より
◆「集団自決」書き換え懸念 揺らぐ教科書の沖縄戦記述/8団体がシンポ◆
 県内8つの平和団体が主催する緊急集会「『軍隊の支配する世界』~沖縄戦の『真実』にせまる~」が19日、約 120人を集めて那覇市で開かれた。旧日本軍による「集団自決強要」を否定し、教科書からの削除を主張する自由主義史観研究会の活動を憂慮して企画された。軍の統制下で発生した「集団自決」の背景に焦点をあてながら、沖縄戦の教訓を伝えていく教育の重要性などについて、熱心な発言が相次いだ。
 安仁屋政昭・沖国大名誉教授は講演で、「部隊長の直接命令がないから、軍命による『集団自決』はない」とする同会の主張に対し、沖縄戦の戦場が、民政の機能しない戒厳令に似た「合囲地境」だったと指摘した。
 「役場の幹部が『集団自決』に言及したとしても、住民が『軍命』と受け取るのが事実関係から適当。個々の命令の有無でなく、大局的にみる必要がある」として、軍政下の軍と住民の位置づけを強調した。
 琉球大教育学部の山口剛史講師は「沖縄戦で何を学ぶか」と題した報告で、「集団自決強要は虚構」と結論づける同会の模擬授業を例に、教育現場から反論するための視点を示した。
 会場発言では、沖縄戦の教訓の「ゆらぎ」や教育現場の問題点にまで視点を広げた。
 沖縄戦体験者が「皇民化教育で自ら進んで死ぬことを徹底された。教育の恐ろしさを痛感する」と述べると、小学校の教員は「自分よりも国を重視する教育が進んでいる。現場で上にものが言えない状態がつくられている」と戦前の教育との類似性を指摘した。
 「集団自決」の史実の書き換えの動きを「『沖縄戦の真実』という過去の問題ではなく、教育基本法の改正や教科書採択など現在の問題としてとらえるべきだ」との声や、有事を想定した国民保護計画を例に、「沖縄戦の『集団自決』などの教訓を住民保護最優先の立場から生かしていくべきだ」との意見もあった。
 集会は最後に、「集団自決強要」の削除を求める動きに抗議した上で、教科書や出版物に沖縄戦研究の成果を記述するよう求めることを決議。教科書採択への関心や沖縄戦の認識をさらに高めていくことを確認した。
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※「合囲地境」戒厳下では、すべての地方行政・司法事務が軍の管理下になり、各種裁判も軍によって裁かれることになります。 さらに、昼夜の別なく、家屋建造物に立ち入り検査、強制退去などが可能となります。

DAYS JAPAN 7月号から

2005-06-19 | Books
◆トピックス「イラク ○掃討作戦と自爆攻撃に追いつめられる民衆」◆写真/スコット・ネルソン、シルワン・アジズ、アテフ・ハッサン、ラファルグ・フレデリック
○イラクで車爆弾による事件が5月だけで143件に達し、4月末の移行政府発足以後のイラク人死者は少なくとも700人を超えたそうです。アンバル州のカイムでは5月7日から米軍による大規模な掃討作戦が行われ多数の民間人が虐殺され、6000人もの避難民がでましたが、多くの負傷者が治療を受けられないままに置かれ、報道機関も閉め出されているということです。米軍主導のイラク「民主化」は大量殺りくの様相を呈しています。暴力の連鎖を断ち切るために、米軍はただちにイラクから出て行くべきだと思います。(mituru)

◆特集:戦後60年◆
1.憲法 靖国 自衛隊
○9条の原点とは何か 文/石川文洋 
 …私はいくつかの国の戦争を取材して、「(1)生命がいかに大切か (2)戦争は多くの民間人を犠牲にする (3)軍隊は民間人を守らない (4)軍隊のある限り戦争はなくならない」 ということを実感した。日本の敗戦後に定められた憲法9条の精神は、多くの人の共感を得た。戦争の悲劇を肌で感じていたからである。…(「DAYS JAPAN 7月号」から抜粋)

2.住民たちの沖縄戦
○沖縄住民たちを殺したのは誰か 文/大城将保
 …日本軍が最も神経をとがらせたのは防諜である。住民が敵の手におちれば、友軍の情報が敵に筒抜けになる恐れがある。軍司令部からは住民のスパイ取り締まりを厳重にせよという指示がなされていた。日本兵には通じない沖縄の方言を使用したり、敵の宣伝ビラを拾ったりしただけで、「スパイとみなして処刑する」という警告が発せられ、実際に各地でスパイ容疑を口実にした住民虐殺が多発した。…(「DAYS JAPAN 7月号」から抜粋)

★日常生活に流されて、世界で起きていること、日本が置かれている立場などに目が向かなくなると、「無関心な国民」を置き去りにして政治の暴走が加速してゆきます。フォトジャーナリズム月刊誌 DAYS JAPAN は、見えなくさせられている戦争の事実と真実を私たちに知らせ、警鐘をならしてくれます。(mituru)

未来をひらく歴史

2005-06-05 | Books
 日本、中国、韓国の研究者・教師らが歴史認識の共有をめざして3年間・10回の国際会議を重ね、共同編集した近現代史の入門書が『未来をひらく歴史』です。高文研から5月末に発行されました。
 2001年「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が出現し、日本だけでなく中国、韓国でも強い反対運動が起こりました。その中から、批判するだけでなく歴史認識の共有が必要だという声があがり、日中韓の研究者、教師らによって2002年3月に第1回「歴史認識と東アジアの平和フォーラム」がひらかれました。フォーラムのなかで日中韓の共通の歴史教材を共同でつくることが話し合われ、各国にそのための委員会が組織されました。2002年8月ソウルで第1回国際会議が開かれ、2005年1月の第10回(東京)まで国際会議を重ねました。
 アジアと世界の平和を築くために歴史認識の共有は今とても切実な問題になっています。多くの教育関係者と関心のある市民が、この本を読んで、考え、行動していくことが求められていると思います。

未来をひらく歴史