暑い夏が終わりを告げ、秋の気配を感じる今日この頃です。
秋になると思い出す感情があり、思えばそれを忘れることも出来ず、しかし封印することも置き去りにすることすら出来ず、結果的に今日までその感情とともに歩んできた私がいます。
私の母は、生前美容師だったため、婚礼に出張で出かけることも多く、その日、両親は泊まりがけで遠出する事に以前から決まっていたらしい。私が小学校2年生の秋だったと思います。
私は母が出張に出かけるのが嫌でした。なぜなら、兄が怖かったからです。前の年には、兄に一方的に眼球を殴られて失明寸前になってしまい、母と共に1ヶ月程の通院をしていたこともあり、兄との留守番が恐くて仕方なかったのです。兄の暴力に困り果てた熱心なカトリック教徒だった両親は神父様に相談をしました。神父様は兄にお話をしてくださり、一時的に、兄の暴力も落ち着いたかのように見えました。しかし、両親が出張で出かけた日に恐れていた事が起こりました。『言いつけたお前が悪い』と裏庭にあった小屋に一晩中閉じこめられ、出して欲しいと泣けば泣くほど殴られ一晩中震えながら真っ暗い小屋の中で声を殺して泣いていた記憶が蘇ります。そんな事が何度か続きました。私は、暗闇の中で高窓にこぼれる月の光を見つけ、妙に心も身体も浄化された思いになったことを思い出します。幼いながらも兄に対して抱いた哀れみの思いは、これから先の人生の中で忘れることは無いでしょう。
肌寒い秋になると、温かい母のぬくもりを懐かしく思いだします。きっと、母のぬくもりを兄も求めていた事でしょう。10歳で突然、お兄ちゃんになり甘えることすら、なかなか出来なくなってしまった兄の為に、今日も祈りを捧げます。
どうぞ神様、今日もまた彼の心の平安と安らぎ、そして聖母マリア様の愛情で、彼の心の傷をいやして下さい。
そして憐れみ深い私を許してください。
心に癒しを求める人々に沢山の恩恵と幸せがありますように。
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