霊感占い師
よう子
「風間さん、いつもスリムですねえ」
「忍者が太ったら、使い物になりませんからねえ」
「何か秘訣が?」
「炭水化物と乳製品を減らすといいですよ」
「乳製品ですか?」
「乳製品は、いつまでも体に残って、代謝が悪くなって太ってくるんです」
「新しい学説ですか?」
「いいえ、わたしの学説です」
「乳製品は、日本人には悪いですよね」
「はい、日本人の遺伝子には、とっても悪いです」
日が暮れようとしていた。
「それでは、わたしは、これにて失礼いたします」
頭を下げ「ごめんなすって!」と言って、帰って行った。
アキラ
「あの人、何番の人?」
よう子
「犬丸さんの隣の、二番です」
「一番は超能力者、二番は風磨忍者。すごいねえ~~」
ショーケン
「三番は、ミミズの博士だしなあ」
「そうだね~~。じゃあ、四番は、ゲゲゲの鬼太郎かな?」
よう子
「残念でした。縁起を担いで四番はありません。五番は占い師のネズミ男です」
「えっ、マジ~~~?」
「はい。猫娘に似ている十八歳の娘がいます。母親はいません」」
「会ったことないけど」
「二人とも、いつも帰って来るのが遅いんです」
「何が猫娘に似てるの?」
「新体操をやってて、動きが、猫みたいにしなやかなんです」
きょん姉さん
「じゃあ、わたしたちも、これで失礼します」
よう子
「どうもありがとうございました」
よう子が、頭を下げると、ショーケンもアキラも頭を下げた。
きょん姉さんとロボット福之助は、セグウェイに乗って帰って行った。
篠原英子が帰って来た。
よう子
「あら、ひでちゃん、お帰り~~」
ショーケンもアキラも、同じように挨拶した。
「昨夜、隆二さん、お風呂で大きな声で泣いてたんですよ」
「何時ごろ?」
「七時過ぎだったかな、お母ちゃ~~ん!お母ちゃ~~ん!って」
「それは変ですねえ」
ショーケン
「それじゃあ、まるで子供じゃない」
アキラ
「勉強のやりすぎで、変になったのかな?」
よう子
「でも、なんか心配だわ」
ショーケン
「よし、俺が電話で聴いてみるよ」
携帯電話で電話した。三分ほどで終わった。
「分かったよ。隆二さんのストレス発散法なんだって」
よう子
「ストレス発散法?」
「辛いときや虚しいときに、子供に戻って大声で泣き叫ぶんだって。そしたら、すっきりするんだって」
「お母ちゃ~~ん!って?」
「何でもいいらしい。子供に戻れば」
「ふ~~~ん?」
アキラ
「インテリは、変なことやるねえ」
よう子
「そうですねえ、そんなの聞いたことも、ネットで見たこともありませんよ」
ショーケンは笑っていた。
「りゅうちゃんの発明だね」
よう子
「ひでちゃん、そういうことだって」
「なあんだ、馬鹿みたい」
みんな笑っていた。
よう子
「ひでちゃん、昨日、ひでちゃんの写真を持ってる六歳くらいの女の子に会ったんだけど」
「ああ、知ってますよ。勝間屋の前を歩いていたら、ママ~~!ママ~~!って言って泣きついてきたんですよ」
「そうだったんだ~~」
「それから仲良しになっちゃって、昨日も、瞑想道場まで会いに来てくれたんですよ」
ショーケン
「ああ、昨日の女の子ね」
アキラ
「近くの子なの?」
「小学校の近くって言ってました」
「じゃあ、ここまでは、ちょっと遠いね」
「そうですね」
「今、親子孫の五人で暮らしているって言ってました。もっと大きな住まいを探しているんだそうです」
よう子
「そういえば、隆二さんが、二階建てのドームハウスをつくるって言ってたわ」
よう子は、スマホに保存してある画像を、みんなに見せた。
「これです!」
アキラ
「何人暮らせるの?」
「十人だそうです」
黄色いほっかぶりをした、黄色い衣装を着た男がやって来た。
「みなさん、こんにちわ。もう、こんばんわ、かな?それとも、間だから、こんにちばんわ、かな」
その男は笑っていた。
よう子
「あら、根津さん、こんにちばんわ」
五番のネズミ男だった。
英子も同じように挨拶した。
「根津さん、こんにちばんわ」
よう子
「もう、お仕事は終わりですか?」
「今日は、体調が悪かったものですから、早めに」
「そうですか」
「こちらの方ですか?新しく来られた方は?」
よう子
「そうです。八番の萩原さんです」
ショーケン
「萩原です。こっちは、同居人のアキラです」
アキラ
「よろしくおねがいします」
根津は、ショーケンをまじまじと見ていた。
「萩原さんって、もしかして、ショーケンの萩原健一さんですか?」
「はい、そうです」
「また、どうして、こんなところに?」
「ロックコンサートで、大衆を扇動したということで、指名手配になり、頭脳警察に追われて、ここに来たんです」
「なるほど、そういうことですか」
「程塚さんと友人だったもので」
「彼も指名手配されていますからね」
「知っています。だからここに来たんです」
「ここなら大丈夫です。コンピュータ政府の管轄外ですから」
「あなたも指名手配?」
「違います違います。ただの占い師です。程塚さんの友人です」
占い師の根津は、ショーケンの顔色を見ていた。
「それより萩原さん」
「なんですか?」
「血管が老化していますよ。もっと野菜を食べたほうがいいですよ。玉ねぎとか」
アキラ「俺は?」
「あなたは、まだ若いので大丈夫です」
「ああ、良かった」
「じゃあ」と言って、根津は自分のドームハウスの方に去って行った。
アキラ
「兄貴、血管が老化してるんだってよ」
「はんとかなあ~~?」
よう子
「彼の霊感占いは本物です」
アキラ
「兄貴は、野菜が嫌いだからなあ~~」
よう子
「玉ねぎもいいんですけど、シナモンやヒハツもいいですよ。血管を柔軟にして若返らせます」
ショーケン
「シナモンは知ってるけど、ヒハツって?」
「インドネシアや、沖縄の胡椒です。
「それ、近くで売ってる?」
「売ってません。ネットなら売ってます」
SF 傷だらけの天使 - 霊感占い師
食後の血糖値が高い原因はどこにある?その一つはグルカゴンの過剰分泌にあり
空戦・袖飛車 & 空戦・石田流 & 高野山ムササビ戦法
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます