宙の色、風のささやき

「発信するアドラー心理学」として、「あなたのためにできること」を一緒に考えていきます。

名残の雪に

2012-03-28 04:37:30 | 徒然

誰もいない家にひとり帰るのが嫌だな、
と思うことってありませんか。

ご無沙汰しました。
セレンディックの森崎千秋です。


いつもの窓辺の定位置で
毎日必ず待っていてくれたナッティ。
ナッティと暮らして7年の間。
あたり前になっていて気づかなかった。

あの子のいなくなった家に
帰るのが辛くて、胸が苦しくて。
でも、あの子はこれまでずっと
私たちが帰るのを待っていてくれたんだなぁ。

そう言えば、
誰かを「待つ」のが、あの子の運命だったかも。
もとはと言えば、飼い主に捨てられて
とある道筋で
朝晩行き交う車をじっとみている犬がいることが話題になり
心あるボランティアさんによって保護されたのがナッティ。

発見されてから保護されるまで
ほぼ7、8カ月の間
毎日同じ交差点で車を見送っていたナッティ。
ご縁があって、ボランティアさんから譲られた大切なナッティ。
おちゃめで美人で優しい子。



ずっと老犬になって
やがては老衰なんて漠然と思っていたのに、
ちょうど1年前に骨肉腫という骨の癌に罹ってしまった。
犬にとっては最も過酷な病気らしい。
悩みつつも、痛み止めだけで
なんとか現状の暮らしを一日でも長く楽しませよう。
そんなふうに家族で決めた。

あれから1年。
ナッティは本当によく頑張ったと思う。
彼女の遺骨をみた時に心からそう思った。
彼女の骨は、もうぼろぼろだったから。
こんなになるまで、頑張ってくれた。
そう思ったら
「代受苦」という言葉が真っ先に浮かんできた。

私たちが受けなければならない痛みや苦しみを
もしかしたら彼女が変わりに背負ってくれたのかも知れない。
そう思ったら
感謝の気持ちが溢れて来た。
彼女の恩に報いるためにも
嘆いたり、悲しみに沈んでしまうことのないようにしよう、と決心した。
悲しくて、何も出来なくなってしまうのは、
ナルシスとで自分勝手なんだと気がついた。
可愛そうな自分に浸るのは、自分に気持ちがむかっているだけ。
本当に悲しくて、悔しくて、苦しかったのはナッティなのだから。

それでも、日ごとに寂しさが募る。
大声で泣く。
誰もいない部屋で名前を呼ぶ。
思い浮かぶのは、
尻尾を振りながら
私をなだめるように舐めに来るナッティの顔ばかり。

ずーっと待たせてばかりでごめんね。
ナッティが逝く朝、西の空に大きな虹がかかったね。
あの虹の向こうで
また待っていてくれるかな。

ナッティを送った日は冬日だった。
風花が舞い落ちて
時折強く吹く山からの風に
雪が吹き付けて
空も山も泣いているようだった。
名残の雪に送られて
家族思いのナッティらしく
誰ひとり困らせずに逝ってしまったね。




おやすみ、ナッティ。

どこにも行かずに、待っててね。



これまでナッティに寄せていただいた
たくさんの愛情に感謝申し上げます。
すやすやと眠るナッティを最後に。

ありがとうございました。
  



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4 コメント

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Unknown (南アルプスのY.S)
2012-03-28 07:40:02
ご無沙汰しております。
先日のセミナーで「天寿」というお話を聞きました。
誰しも持っている天から授かった寿命。
今、ふと思い出しました。
まだまだ寒いですね。
お元気に又、M.Sにお出かけ下さい。
天寿 (森崎 千秋)
2012-03-29 04:26:41
南アルプスのY.Sさま

ご無沙汰しております。

生きている限り
天寿があるのでしょうね。
人も物も出来事も
大切にしていきたいです。

ありがとうございました。
代受苦 (yukari)
2012-04-06 06:01:37
やすらかな寝顔ですね。
代受苦
私の母も
そうして逝ったのかな

どこまでもやさしかった
なっちゃん
今までたくさんのやさしさを
ありがとう
代受苦 (森崎 千秋)
2012-04-09 00:00:40
yukariさま

そうですね。
病気になってからは、困惑顔が多くなりましたが、
この時は、楽しい夢でも見ているように
すやすやと気持ちよさそうに眠っていました。

失う悲しさは、いよいよ募ります。
yukariさんも、そうですか。

生前、可愛がって頂きましたね。
ありがとうございました。