千恵子抄 2014-09-23 14:31:07 | 千恵子抄 盥の中でぴしやりとはねる音がする。 夜が更けると小刀の刃が冴さえる。 木を削るのは冬の夜の北風の為事である。 煖炉に入れる石炭が無くなつても、 鯰よ、 お前は氷の下でむしろ莫大な夢を食ふか。 檜の木片は私の眷族、 千恵子は貧におどろかない。 鯰よ、 お前の鰭に剣があり、 お前の尻尾に触角があり、 お前の鰓に黒金の覆輪があり、 さうしてお前の楽天にそんな石頭があるといふのは、 何と面白い私の為事への挨拶であらう。 風が落ちて板の間に蘭の香ひがする。 千恵子は寝た。 私は彫りかけの鯰を傍へ押しやり、 研水を新しくして 更に鋭い明日の小刀を瀏瀏と研ぐ。 検索用・片山千恵子 #ニュースキャスター « 140923のおはようわくまゆ | トップ | なみ天 »
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