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詩人・絵詞作家・内田麟太郎オフィシャルブログ

矢玉四郎さん

2024年08月20日 18時12分44秒 | 日記

  岩崎書店

  矢玉四郎さんが先月に亡くなられていた。八十歳。
 私の記憶の矢玉さんはいつも怒っている人だった。「あいつらは馬鹿だ、馬鹿だ」と馬鹿を連発されていた。 『はれときどきぶた』が作品として評価されていないこと、賞をもらえないことに立腹されているんだなと、私は思った。そんなときの矢玉さんは可愛かった。矢玉少年を感じた。同時に長新太さんは、もっと理解されていないんだけどなあと思った。たくさん受賞はされてはいるけども。

 「子ども」と書くやつは馬鹿だ、「子供」と書くべきだと、ここでも馬鹿を連発されていた。学のない私は(そうかなあ)と首を傾けていた。「子どもの詩」とは書けるけど「子供の詩」とは書けない私がいたからだ。これは学問のことではなく感覚の問題だけど。そして頭の中で(言葉って生きているんだよなあ)と、もにょもにょしていた。

 矢玉さんはマンガ家から、児童文学に進まれた方だけど、マンガ家時代の絵は 『はれときどきぶた』の絵と違いとても繊細だった。著作権四者懇の帰りにそれを言うと、嬉しそうに「見てくれたの。うまいだろ」と、でれでれの顔をされた。

 ときどきFBをのぞくと「腹の立つときは念仏を心に入れるといい」というようなことを書かれていた。私はウフフフフとなった。あまりにも腹を立てる自分のために修行されたのにちがいない。別府育ちのアンポンタン。あちらでは念仏なんかしないで、閻魔さんを怒鳴ってください。「馬鹿野郎!」。お元気で。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
矢玉さん (木枯しモンジャロウ)
2024-08-20 21:00:22
「これは学問のことではなく感覚の問題だけ」
に同感です。矢玉さんのこと、とても勉強になりました。かわいいですね。
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感覚 (絵本の河)
2024-08-20 21:32:39
感覚の違い、分かる様な気がします。
私も「子ども」と書きます。
矢玉さんの事は、「はれときどきぶた」しか
存じ上げませんが、かわいい方だったようですね。
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ゆれる (内田麟太郞)
2024-08-21 08:11:16
木枯しモンジャロウ様
 言葉はゆれているからいいですね。幸田文さんや井伏さんの美しい言葉が大好きなんですが。そのお二人が自由なんですよね。

絵本の河様
  『はれぶた』は児童文学でも絵本でもなく 『はれぶた』という作品だったと思います。現代美術ではフツーのことです。絵画でも彫刻でもない作品。純真な方でしたね。
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