-コレハ、カナシイヒトタチノキロク(悲しい人びとのつづる3篇の詩)
「かなしい人」
鯰を生け簀で飼ってんだってね、いきだね
粋だね。
江戸っ子だね、寿司くいねぇ。
駅前で一人で大声を上げて笑っているひとをみると、わたしはなんだか遣る瀬無くなってしまう。
今日もまた、家の前の生活道路で一人で会話をしているひとをみた。
寞しい。
「ゆるさん」
むかしむかしあるところに、
"ゆるさん"とよばれているひとがいました。
ゆるさんは、まいにち、はいしゃにかよっていました。
ゆるさんは、じぶんのからだのぶいでいちばん、"は"におもいいれがあり、たいせつにしていました。
それをあらわすかのように、きれいにせいれつした、
まっしろの"は"はぴかぴかにかがやいていました。
ところが、あるひ、いへんがおきたのです。
あさ6じにおきた、はやおきのゆるさんは、"は"にいわかんをかんじたので、せんめんじょにいってかがみをみたのです。
すると、そこには、"は"がすべてぬけおちたじぶんのかおがうつっていました。
それは、りゆうはわかりませんが、よるのあいだ、だれかがゆるさんにいたずらをしかけたのでしょう。
ゆるさんは、だれにいうともなく、こうつぶやきました。
「ゆるさん」
「チーズ」
代わってよ、チーズ。
埋まってよ、姿態。
あなたが恋しい。
欲しくて、たまらない。
悩ましさ。
あなたの死体を慕い、お墓に埋まる。替ってよ。あなたとぼく。千尋。
「かなしい人」
鯰を生け簀で飼ってんだってね、いきだね
粋だね。
江戸っ子だね、寿司くいねぇ。
駅前で一人で大声を上げて笑っているひとをみると、わたしはなんだか遣る瀬無くなってしまう。
今日もまた、家の前の生活道路で一人で会話をしているひとをみた。
寞しい。
「ゆるさん」
むかしむかしあるところに、
"ゆるさん"とよばれているひとがいました。
ゆるさんは、まいにち、はいしゃにかよっていました。
ゆるさんは、じぶんのからだのぶいでいちばん、"は"におもいいれがあり、たいせつにしていました。
それをあらわすかのように、きれいにせいれつした、
まっしろの"は"はぴかぴかにかがやいていました。
ところが、あるひ、いへんがおきたのです。
あさ6じにおきた、はやおきのゆるさんは、"は"にいわかんをかんじたので、せんめんじょにいってかがみをみたのです。
すると、そこには、"は"がすべてぬけおちたじぶんのかおがうつっていました。
それは、りゆうはわかりませんが、よるのあいだ、だれかがゆるさんにいたずらをしかけたのでしょう。
ゆるさんは、だれにいうともなく、こうつぶやきました。
「ゆるさん」
「チーズ」
代わってよ、チーズ。
埋まってよ、姿態。
あなたが恋しい。
欲しくて、たまらない。
悩ましさ。
あなたの死体を慕い、お墓に埋まる。替ってよ。あなたとぼく。千尋。