まあ普通に考えて、デビューのためには、一定以上のストーリー力と画力があるというのは最低条件だと思いますが、私はなぜ自分がデビューできたのか、編集者の人に聞いてみたことがあります。
というのも、デビューの場合は事前にすでに担当がついてることが多いのですが(投稿した作品が、有望だと認められると担当がつき、デビューを目指して2人で作品を作る)、自分はその出版社は初投稿だったから担当はついてなかったし、デビューした雑誌には、それほど自分の作風はあってない感じだったから、なぜ採用されたのか謎だったんですよ。
ギャグっぽい作品だから、変な漫画だなあと自分でも思っていたし(笑)。
そしたら答えはこれ↓
編集さん:「確かにちょっと変わった漫画だけど、人を面白がらせようとして描いてるのは伝わる。プロは、人を楽しませようとする姿勢が大事だから、その点で、君はプロに向いてると判断されたんだよ。」
ということでした。
おお、たしかに人を面白がらせようとして描いてたな!と思って、作者の漫画を描く姿勢って、意外と人に伝わるもんなんだな~~と感心した覚えがありますね。
その後、しばらくの間漫画の描き方の先生をやって生徒さんの作品をたくさんみてたとき思ったんですが、やっぱりその人がどういうつもりで描いてるか、って意外と伝わるものですね。
なんだか投げやりになってんな、とか、途中であきたな、とか、自分の中に世の中に対するなにかもやもやしたものがあってそれを作品にぶつけてる感じ、とか、自分のキャラクターに興味ないのかな、とか、もうほんとに読者とかどうでもよくて(むしろ嫌いで)、自分のためだけに描いてるな、という感じとか。
別に私は超能力とかないけど、なんとなく漫画からそんな感じがするわけですよ。
それで、不思議とそういう漫画って、絵とか技術はうまくても、あまり入賞はしないんですよね。こちらとしては、せっかく作者は頑張って作ったんだし、入賞してほしいなあとは思っているのですが。
…まあしかしそんなことをいいつつ、私も自分の漫画でマイナスのエネルギーを感じたことがあるわけですが(笑)
あるとき、本屋で誰か立ち読みしたのか、雑誌が広げてあって、それでチラッと見えた漫画が、見た瞬間理由はわからないけど、「感じ悪っ!」と思ったのね。
それでよくみてみたら、自分の漫画だった、と。 あ もちろんそれ人気なかったです(笑)
そのころ人生や仕事でいろいろあったため、なんかいろいろ頭にきてて、「これでも読みくされ!」って感じで描いてたと思うんですよ。絵とか、
ストーリーの出来とかは、まあプロの水準には達していたと思いますが、なんだかとりあえず感じは悪い、と。
漫画って時間かけて一生懸命作るから、割と自分の念というか思考が、目に見えないエネルギーが作品に強く入っていて、それで読者も、マイナスっぽい気持ちが一杯入ってるものは、読み手はそれを感じ取って、なんだかわからないけど好きじゃない感じがするのかもと思います。
読者を喜ばせようという気持ちは、一種の愛のエネルギーだから、愛情を向けられると、読み手ももなんとなく好ましく思うんじゃないかな。普通の読者も編集さんもね。(それで私の変な漫画も採用された、と。)
まあ、初心者はとにかくまず漫画を何本か仕上げること自体が重要だから、自分さえ楽しめる内容であれば何でもOKだと思うのね。
だけど、中~上級者で本当にデビューを狙うとかいう人は、自分も気に入り、なおかつ、読者にも喜んでもらえるように作品を作ろうと心がけるといいと思いますよ。
よく、「読者にこびて作品を描きたくない!」とかいいますが、あれとは違うんですよね。
こびるって計算でしょ?それをやると自分にとってお得だから、相手の機嫌をとるのがこびる、ですよね。
結局自分の利益のためだけにやってるから、そこに人への愛はないわけで。
それに対して、「このキャラできるだけ魅力的にしよう!読者もきっと気に入ってよろこんでくれるかな?頑張ろう!」とか、「ここの山場、すっごく面白いアイデアを考えよう!自分も描くのが楽しみで、なおかつ読者をあっと言わせて楽しんでもらえるものを描くぞ!」と思いつつ作品を作るのは、人への愛情が入ってるから。
愛情を向けられると、基本的に相手もこちらを好ましく思うわけで。(ストーカー問題とかは別の話ですよ)
そんなわけで、プロを目指してるけど、行き詰っている人は、自分がどういうつもりで漫画を描いているのか、一度冷静に考えてみてもいいんじゃないかな。
案外そういうところに原因があるのかも知れませんよ。
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れな