花マル農園の日々

農産物評論サークル「花マル農園」のブログです。

「苹果案内」ができあがるまでの話

2022-09-01 12:00:00 | 日記
初めまして!主にツイッターで活動をさせていただいております、農産物評論サークル「花マル園芸」のはたんきょー(@hatankyo1)と申します。趣味で果物をたくさん食べております。

今回はマルシェに出品させて頂きました拙著「苹果案内」についてご紹介させていただければと思います。

苹果案内(りんごあんない)


私は物心がついた頃から果物好きで、それから現在まで果物好きをこじらせております。果物全般に興味があるのですが、その中でも特にリンゴが好きでした。

ここまでリンゴが好きになったのはもちろんのこと、一番は両親の思い出話の影響が非常に大きいかなと思います。幼稚園の頃、両親は私に果物の思い出をよく聞かせてくれました。その中でも印象に残っているのは父が「昔はゴツゴツとした『スターキング』ってアメリカのカッコいいリンゴがあってな!」と教えてくれたことでしょうか。



スターキングは今でもたまに流通する品種で、小さい頃の私も何回かスーパーなどで見たことがあったのですが、自分で買い物ができるようになってからは見つけることも出来ずじまいで、ずーっと気になっていた品種でした。

転機は中学2年生の時にネット通販を利用するようになったことでした。当時はお年玉などお小遣いを自由に使えるようになり、気になっていた品種をまとめて買い込みました。その中にはもちろんスターキングも入っていました。

注文したことすら忘れた頃、長野から5キロの平べったい箱が来ました。「なんだっけ?」と箱を開けるとボワっと甘い香りが溢れ出し、蛍光灯の光に照らされた、黒々と光るリンゴが入っていました。取り出してみると、シュッとしたスリムな形で、お尻部分がゴツゴツとした王冠を逆さにしたような個性的な形だったことを、今でも覚えています。昔聞いた、いかついアメリカのリンゴそのものでした。

包丁で皮を剥き、切り分けると蜜が溢れんばかりに入っていて、味も果汁や甘味、風味も強く上品で肉質も程よく柔らかく「こんなうまいリンゴ、人生で初めてだ!!!」と、かなりの衝撃を受けました。今でもあの味を超えるリンゴにはまだ出会えていません。初めてスターキングを食べた私は「なんでこんなうまい品種が売ってないのか!?」と気になり、そこから消えてしまった昔の品種に強い興味を持つようになりました。このスターキングがなければ、ここまでリンゴにのめり込んでいなかったかもしれません。

それから年月が経ち、私は情報収集のかたわら、ネットで食べた果物に関する情報を発信するようになりました。そのなかで、今では入手困難になった昔の品種の情報についても需要があるらしい、ということがわかったのです。

そこで、私が今まで食べてきた古い品種の感想や歴史をまとめたものを出してみようと思い、できたのがこの「苹果案内」です。ネットでも味の感想や来歴、栽培がなくなった原因などが良くわからないものが多く存在します。そこで、かなりマニアックではありますが全ての品種で資料をもとに大まかな経歴など、実際に食べた感想と果実の写真を掲載しております。

また、今後も現代までのできるだけ多くのリンゴを時代順に紹介したいと思っています。そこで、ぜひ多くの方にいろんなリンゴを見つけていただき、りんごにハマるキッカケの一つになっていただければいいなーと考えてます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

苹果案内(りんごあんない)

ぶどう本の続編が出ました。その名は「シャインマスカットの次に来るぶどうはこれだ!」

2022-08-13 15:08:06 | 日記
初めての方は初めまして、そうでない方こんにちは。

農産物評論サークル「花マル農園」の少年B(@raira21)です。フリーライターのかたわら、ぶどうマニアをやっております。今回はマルシェルに出品した同人誌「シャインマスカットの次に来るぶどうはこれだ!」のご紹介にうかがいました。そう、「また」なんだ。いつもの販促です。よろしくお願いします。

シャインマスカットの次に来るぶどうはこれだ!


ありがたいことに、前作「ぶ!どう人誌」がマルシェルで大人気になりまして。

「ぶ!どう人誌」は3年前に作った本なので、「そろそろ続編を出したいな……」と思ってはいたのですが、コロナで即売会が中止になったり、ちょっとそんな気分じゃなかったりして、ついつい3年間ほったらかしにしておりました。ところが今回、想像以上に反響をいただけたので、「乗るっきゃない、このビッグウェーブに!」と、大急ぎで執筆作業に取り掛かったのでした。

8/13(土)に開催された、記念すべき100回目のコミケ「C100」の新刊として頒布したのがこちらの本なのですが、きっと前作をマルシェルでご購入いただいた多くの方々がいたからこそ、無事に完成したのだろうなと思っております。そうじゃなかったら落としてたかもしれません。感謝感謝です。

さて、今回のテーマはタイトル通り、「次世代のぶどうはどれだ!?」という問題提起、そして独断と偏見でそれに回答するという本です。

いや、シャインマスカットっていま大人気じゃないですか。おいしいですよね。わたしも好きです。でも、じつはすでにシャインマスカットの子どもができているって知ってましたか?しかも、その数20種類以上!びっくりですよね。

そこで、今回はわたしが過去3年間で食べたことのあるシャインマスカットの子ども品種15種類と、近年立ち位置を獲得しつつある、シャインマスカットとは関係ない新品種7種類を徹底レビュー!気たる次世代の品種、ネクストシャインを探そうという趣旨です。

いろんなぶどうがあっていいと思うし、わたし個人としては、本来品種間に優劣をつけることは好みません。でも、今回はあえて「有望か、そうでないか」を独断と偏見で書かせていただきました。それには理由があります。

こんなに短期間で数多くのシャインマスカットの子どもができたということは、これもきっと近い将来、淘汰されることになると思うんです。

当然ですよね。数多いライバルを蹴散らして、巨峰やデラウェアはここまで残ってきたわけです。巨峰やデラウェアを超える品種として世に出たはいいものの、支持を得られずに消えて行った品種はいくらでもあります。

シャインマスカットの登場によって、ぶどうに求められるもののハードルが一気に上がったといっても過言ではないでしょう。シャインは世に出てからわずか4年ほどで頂点にたどり着いた、超エリートです。その偉大な親を超えるために生み出されたのがシャインの子品種たち。

すべての面でオール4以上を叩き出す、超優等生のシャインマスカットに勝つためには、欠点を減らしたうえで、これだという特徴をアピールしなくてはいけません。それは味だったり、糖度だったり、香りだったり、粒の大きさだったり。その品種の持つ個性を武器に戦うわけです。

そして、その相手はシャインマスカットだけではなく、同じシャインの子どもたちも当然ライバルになるわけですよね。いくらシャインより大粒だといっても、さらに大粒のライバルがいては意味がないわけです。また、大粒でも味がシャインより悪くてはダメなのです。

「有望でない」とした品種も、決して悪い品種なわけではありません。ただ、戦いのレベルが異次元なのです。その中で、正直ちょっと厳しいだろうな……という判断を下すことも必要なんじゃないかと思います。

なぜなら、戦いに敗れた品種は消えるさだめ。完全に消えてしまっては、もう二度と誰の口にも入らなくなってしまうからです。おそらく、ネクストシャインの座を巡る戦いは過酷を極めるでしょう。数年のうちに、脱落する品種は出てくると思います。でも、「あの品種、最近見ないね」にはしたくない。そして何より「そんなぶどうあったの?」と言われたくないというのがわたしの正直な気持ちです。

確かに、有望ではないかもしれない。客観的に見ると、シャインマスカットに勝つような飛びぬけたものはなかったかもしれない。でも、その品種がこの時代の、ネクストシャインマスカットを巡る戦いの場にいたという事実は、本に記すことで残るわけです。

そして、この評価はあくまでわたし個人が下した独断と偏見。本当にダメかどうかは、あなたが食べてみるまでわからないのです。

どうでしょう。ちょっと気になってきませんか?わたしが「有望でない」と評した品種が本当にダメなのか、確かめたくなってきませんか?多くの人が食べることで、もしかしたら戦いの結果も変わるかもしれない。わたしが「有望でない」と評した品種が、予想を裏切って勝ち残る可能性もゼロではないのです。

しかし、残された機会はあまり多くはありません。おそらく、来年くらいまでではないでしょうか。わたしは第一陣が脱落する日は、もう間近に迫っていると見ています。だからいま、多くの人にこの本を読んでほしい、そして、本当にダメかどうか、あなた自身の舌で確かめてほしい。それがこの本であえて優劣をつけた理由です。

この夏はぜひ、「ネクストシャインマスカット」の座をかけた戦いを目に焼き付けてみませんか。そのお供に、ぜひこの本をお持ちいただければ幸いです。

シャインマスカットの次に来るぶどうはこれだ!


日本初!?ぶどうの同人誌。その名は「ぶ!同人誌」

2022-07-14 12:00:00 | 日記
初めての方は初めまして、そうでない方こんにちは。

農産物評論サークル「花マル農園」の少年B(@raira21)です。フリーライターのかたわら、ぶどうマニアをやっております。今回はマルシェルに出品した同人誌「ぶ!同人誌」のご紹介にうかがいました。早い話が販促です。素直ですみません。

ぶ!同人誌


元々、オタク文化とはきわめて近いところにいたのですが、アニメやゲームにはいまいちハマれず、「オタク気質ではあるけど、オタクというほど何かに熱中しているわけではない……」という微妙な立ち位置で長年生きておりました。

ところが、30歳を過ぎてから知り合った友人が評論同人誌を作っていたことがきっかけで、こういう世界があることを知ったんですね。「そうか、アニメやゲーム、鉄道といったわかりやすい趣味でなくてもいいんだ!」と。

そう、じつはわたし、大のぶどうマニアだったんです。

遡ること10年前の2012年。旅行やドライブが好きだったわたしは、たまたま山梨県は勝沼にぶどう狩りに行ったんですよね。そこで出てきたぶどうが「サニールージュ」。これに大きな衝撃を受けたんです。



粒のサイズは巨峰よりひと回り小さいくらい。味はデラウェアに近いんだけど、巨峰のようなコクもあります。

デラウェアって、おいしいけど粒が小さくて面倒じゃありませんか?いちいち取って食べるのがダルいし、たまに花のカスが口に入って苦い。味はいいけど、とにかく面倒くさい。そんな風に思っていたんです。

ところが、このサニールージュときたら、デラウェアっぽい味で、粒は大きく食べるのが楽。こんなぶどうがこの世のなかにあるんだ!ああ品種改良の偉大さよ。科学の勝利。人類の勝利!そんなことを考えていると、ぶどう園の人がさらにこう声をかけてきたんです。

「来週になれば、またぜんぜん別の品種が出てきますよ。うちには40種類以上のぶどうがあるんで、ぜひ『マイ・ベストぶどう』を探してください。

そんなことを言われると、ついつい気になってしまいます。これ以上のぶどうがあるかもしれない。結局、1年で4回そのぶどう園に通ったのでした。ぶどうマニア誕生の瞬間です!

それから10年。さまざまなぶどう園や直売所、スーパーで見たことのないぶどうを食べては、さらにおいしいぶどうを探し求める日々が始まったのです。

ぶどう愛があふれるあまり、苗屋のカタログを集め始め、「おいしいぶどうの子はおいしいに違いない」と血統まで調べるようになりました。国や県のぶどう関係の論文にはだいたい目を通し、新品種がないかと品種登録のホームページを探し求め、ぶどうの布教に繋がらないかと、匿名でWikipediaのぶどう関連のページをひたすらに加筆修正したこともありました。

そうか、これを同人誌にすればいいんだ!

10年の間に介護士から建築士を経て、フリーライターになっていました。文章は自分で書けます。写真を撮ったり、データを集めるのはオタクですから苦になりません。気付けば、この本ができていました。



多くの人に、ぶどうのことをもっと知ってもらいたい。ぶどうの多様性を知ってほしい。そんな一心で書いたのがこちら「ぶ!同人誌」です。

わたしがこれまで食べた100品種近いぶどうのなかから、厳選した21品種のデータとレビュー。そして4本のぶどうコラムが載っています。ぶどうはスーパーでよく見るおなじみの品種から、ぶどう狩りに行かなきゃ食べれないような珍しい品種まで。
目でも楽しめるよう、色や見た目に特徴のある品種を中心に選びました。

コラムは「マスカット=緑のぶどう?」「シャインマスカットの奇跡」など、「考えたことはなかったけど、言われると気になる」「ちょっと明日話したくなる」ような内容を中心にまとめてあります。

これさえ読めば、ちょっとぶどうに興味を持てる。そんな本になったらいいな、と思いを込めて作りました。

ぜひぜひ読んでいただけたら嬉しいですよ。

ぶ!同人誌


現在、8月に行われるコミケ100に向けて、ぶどう本の続編を執筆中です。こちらもコミケ終了後にマルシェルに出品する予定ですので、ぜひお楽しみに!

・お知らせ
ぶどうマニア(消費者代表)として、楽天の運営するメディア「ソレドコ」の「天下一ぶどう会」に参加し、ライターとして記事を書かせていただきました。

断言しよう、「ぶどう」の沼は楽しいぞ! ぶどう界のすごい3人で怒涛のトークを繰り広げた【天下一ぶどう会】

同人誌の内容もちょこっとだけ紹介されていますので、よかったらぜひ読んでみてください!