またまた、性懲りもなく、小説もどきを書いてしまいました。
たぶん、ラブ★コン ファイナルよりも未来の話しなんですが、どーしても書きたくて。
またもや、18禁です。
でも、おとなしいので許してください。m(..)m
原作のイメージを崩さないようにしているつもりですが、人によって受け取り方は色々ですので、もしイメージが崩れるのが嫌な方は読まないでくださいね。
それでは、スタート!
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大学1年の冬。
大谷は、自分の部屋でうなっていた。
「うーーーん」
目の前に、海坊主のX'masライブチケットがある。
しかも、イブ。
1列目のNo.2とNo.3の特等席。
リサと一緒に行きたい、と思って取ったチケットだ。
高1のときに行ったライブを思い出す。
初めてリサとライブに行ったけど、思った以上に楽しかった。
そのとき、元カノの神崎からの誘いがあって、かなり迷ったが、前から決めていたリサとの約束を優先した。
そしたら、すっごくノリが良くて、気も合って、めちゃめちゃ楽しかった。
いつのまにか神崎のことも忘れていたほど。
いまから思うと、あのとき、リサがオレの心に入りこみ始めたんだと思う。
大谷は、そんなことを思いながら。
海坊主チケットの隣にある、もう1つのペア・チケットを見つめた。
大阪ベイエリアのホテルのチケットだ。
ディナー付き。
部屋はダブル。
もう、恥ずかしいくらいの勝負チケットだ。
、、、、、なんで、こんなモン買うてしもたんや?
そんな気ぃぜんぜんなかったのに。
中尾と鈴木が悪いんや!
大谷は、ひとりつぶやいた。
数日前。
大谷は、ひさしぶりに中尾と鈴木と3人だけで、いつものレストランIKEBEにいた。
リサは、その日、オフのためにいなかった。
中尾「オレ、今度のクリスマス、信ちゃんトコ(注:北海道)に遊びにいくねん」
大谷「おっ。よかったやん」
中尾「せやろー? めっちゃ、楽しみ。まだ見習いやけど、少しずつ交通費ためててん~」
中尾は、にこにこ笑いながら言った。
中尾「そんで、イブに信ちゃん家に泊まるねん。信ちゃんのおばーちゃん、『わたしは離れで寝るから、若い人は楽しく過ごしてね』って気ぃ遣ってくれた」
中尾は、少し顔を赤くする。
鈴木「おめでとう。オレも、イブは塾の後、田中さんと遊びに行く」
鈴木は一浪して、彼女の田中千春ちゃんと同じ大学に行こうと受験勉強をしているところだった。
鈴木くん「夕方からは家に来て、晩ごはん作ってくれる。他の家族は外出するらしい。姉は『田中さんに、しっかり栄養つけてもらいな』って言うてた・・・・」
鈴木も、そこまで言って顔を真っ赤にした。
大谷「へえ~」
大谷は、感心してしまった。
中尾も鈴木も、ちゃんとクリスマスの予定を立てている。
しかも、高校生のときとは微妙に違う、少し大人な感じの予定だ。
中尾・鈴木『で、大谷の予定は?』
2人同時に訊かれた。
大谷「ハモんな、キモいわ! ・・・そやなぁ、小泉と海坊主ライブに行こ思てんねん」
中尾「海坊主? いつもと一緒やん」
大谷「海坊主ライブのどこが『いつもと一緒』やねん! 年に1~2回しかライブ無いねんぞ! しかも、1列目の特等席や!」
中尾「いや、そーいう意味やなくて・・・せっかくクリスマスなんやし、もうちょっと違うイベントもあって、ええんちゃうかな?」
鈴木「そう思う。」
大谷「海坊主のどこが不満やねん!」
中尾「だから、そういうんとちゃうねん」
鈴木「うん、ちがう」
大谷「なんや、それ?」
中尾「あんなぁ、大谷。気ぃ悪うせんと聞いてや?」
大谷「おぅ」
中尾「えーとなぁ。大谷と小泉さん、『まだ』なんやろ? 信ちゃんに聞いたんやけど」
中尾は、『まだ』を強調した。
大谷「ぐっ・・・・」
大谷は、口ごもった。
中尾「付き合いだして、もう1年はとっくに過ぎたよなぁ? そろそろ、ええんちゃうんか?」
めずらしく、奥手な鈴木までうなずいている。
大谷「アホか、オレかてなぁ、それとなく頑張ったことはあんねん!」
中尾「そーなん?」
大谷「でも、困ったような、泣きそうな顔しよんねん。だから、小泉の心の整理ができるまで、待つって決めたんや」
大谷は、ぶすっとした顔で答えた。
鈴木「それ、いつ頃?」
鈴木が、ぼそっと尋ねた。
大谷「ん~、春くらいかな」
中尾・鈴木『ふぅ~~』
中尾と鈴木は、同時に大きなため息をついた。
大谷「なんやねん、さっきから。おまえら、息合わしすぎや!」
中尾「あんなぁ、大谷。いま12月やろ? 春から何ヶ月たった?」
大谷「8~9ヶ月?」
中尾「その間、小泉さんの心の整理ができたか、確認したんか?」
大谷「するわけないやろ!? そんなんしたら、小泉のプレッシャーになるやんけ」
中尾が、鈴木に目配せして、肩をすくめた。
鈴木も、首を左右に振っている。
中尾・鈴木『あり得へん、大谷!』
大谷「おまえら、どんだけハモったら気ぃ済むねん!」
中尾「たまたまやん。
なぁ、大谷。女の子って繊細やし、気持ちなんてどんどん変わっていくもんやで?
それを9ヶ月も放っとくなんて、良ぅないと思わへん?」
大谷「『繊細』って、これまた、小泉とは縁のない言葉やなぁ」
大谷は、目線をあさっての方向にやりながら、言った。
中尾「そんなことないで」
大谷「そーかぁ?」
中尾「なに言うてん。そんなん、オレより大谷の方がよぅ知ってるやん」
大谷「・・・・まぁな」
中尾「それに、小泉さん、もうだいじょうぶみたいやで? 信ちゃん情報によると」
大谷は、思わず中尾の方を向いた。
大谷「え?」
鈴木「・・・田中さんも、そう言うてた」
鈴木が、付け加える。
大谷「千春ちゃんも!? ・・って、そういうこと言うキャラやったっけ?」
鈴木「そんだけ、小泉さんと大谷のこと心配してる・・・。やさしいから」
大谷「ノロケかい・・・」
鈴木「そうやなくて」
鈴木は、うつむき加減に言った。
やはり、少し恥ずかしいらしい。
鈴木「小泉さん、ちょっと不安がってる」
大谷「どういう意味や?」
鈴木「大谷があんまり何もせんから、待っててくれてるのか、小泉さん自身がアカンからなんか、分からんよーなってるらしい」
鈴木が、めずらしく長いセリフをしゃべった。
大谷「はぁ!? なんや、それ!」
中尾「オレも、信ちゃんに同じよーなこと聞いた」
大谷「あんのアホ! そういうことは、オレに一番に言わんかいっ!」
中尾は、あきれて天井を見上げた。
鈴木も、驚きのあまり、ぼうぜんとしている。
中尾「・・・なぁ、大谷?」
大谷「なんやねん」
中尾「女の子が、そんなこと自分から言えるわけないやん?
特に、小泉さんみたいな子が」
大谷「うーんん、、、、」
中尾「小泉さん、めっちゃ奥手やん?」
大谷「まぁなぁ」
鈴木が、またボソッと言った。
鈴木「大谷がリードしてあげんと、アカンと思う」
今度は、大谷が驚いた。
大谷「なに言うてんねん。鈴木かて、めっちゃシャイやんけ」
鈴木「オレ、リードした」
鈴木の顔が、ゆでダコのように真っ赤になった。
大谷「えぇ? ホンマ?」
鈴木「ハワイ行ったとき」
大谷「あぁ、あんときか」
鈴木「その後も、がんばってる」
大谷「え、その後? ってことは・・・・・鈴木、受験生やのに、もしかして?」
鈴木は、ゆでダコのまま、下を向いて固まった。
中尾「まぁまぁ。鈴木のことは、ええやん。
ただ、小泉さんのこと思たら、海坊主ライブだけでええんかなぁ?って、気ぃせーへん?」
大谷「なんやねん、おまえら。
オレらが『まだ』なんを、何でそんな気にしとんねん!?」
中尾と鈴木は、チラッとお互いを見た。
中尾「信ちゃんから」
鈴木「田中さんから」
中尾・鈴木『頼まれてん』
大谷「もう、ハモるんは許してくれ・・・・」
大谷は疲れて、がっくりと肩を落とした。
大谷「なぁ、小泉がなんか言うとんか?」
中尾「小泉さんは、何も言うてへん。
っちゅーか、何も言おうとせーへんかってんけど」
大谷「けど?」
中尾「信ちゃんが小泉さんと電話してるとき、ビミョーにおかしいから、ムリヤリ聞き出してん。
そんで、信ちゃんが心配してる」
鈴木「それを信ちゃんから聞いた田中さんも、心配してた」
大谷「はぁ、、、、分かった。こっちで、なんとかするわ」
中尾「なんとかできんの?」
大谷「どういう意味や?」
大谷が、キッとした目で中尾をにらんだ。
中尾が、にやっとした顔で答える。
中尾「大谷、いっぺんタイミング逃すと、結構ずるずると後までひきずるからなぁ」
大谷「おまえ、むちゃくちゃ言うとんな!」
中尾「ほんとのことやもん」
大谷「アホ、オレは決めるときは決める男やっ!」
中尾「ほんまに?
クリスマスまで、あとちょっとしかないで?
それまでに何とかできんの?」
大谷「・・・・」
鈴木が、口を挟んだ。
鈴木「クリスマスのデートコース考えるのって、結構難しいと思う」
大谷「・・・・なんや、その話の持っていき方は。おまえら、なんか、たくらんでるやろ?」
中尾「あ、ばれた?」
大谷「アホか、バレバレや。もったいぶらんと、さっさっと言わんかいっ!」
中尾「え~とな、大谷と小泉さん向けのデートコース、考えてみてん。
名づけて『クリスマス幸せデート大作戦!』」
大谷「なんや、その古いネーミングは!」
中尾「まぁ、ネーミングは冗談やけど、信ちゃんと田中さんと鈴木とオレで、小泉さんがこれやったら喜ぶやろーって、デートコースを相談してん」
鈴木も、うんうんというように、うなずいている。
大谷は、あきれた。
大谷「・・・おまえら、ヒマやなぁ」
中尾「なに言うてん?
鈴木なんか、受験勉強の合間を縫って考えてくれたんやで?」
大谷「その気持ちは、ありがたいっちゅーか、なんちゅーか・・・けど、やりすぎやろ?」
中尾・鈴木『やりすぎてへん!』
大谷「分かった。分かったから、もうハモるんは止めぇ!!」
中尾「でも、ほんと、自信作やで? 大谷らが、海坊主ライブに行くことも考慮ずみ」
大谷「え」
中尾「ライブ終わって、晩ご飯食べて、夜景見て、、、、って感じで、ライブ会場からちょっとした移動で行けるコースを考えてみました」
大谷「はぁ・・・・」
中尾「しかも、鈴木家のツテで、めっちゃええホテルも格安でゲット!」
鈴木も、ちょっと自信ありげに、またうなずく。
大谷「・・・・おまえら、絶対おもしろがってるやろ?」
中尾「そんなことないで? めっちゃ真剣や」
大谷「どこがやねん」
中尾「だって、真剣にせーへんかったら、信ちゃんが怒んねんもん」
鈴木「田中さんも、機嫌わるくなる」
大谷「おまえら、どんだけ尻にひかれとんねん!」
大谷は、思わずため息をついた。
大谷「ハァ。。。。わかったわ。
そんだけ言うんやったら、今回だけは乗ったる。
夏にバイト頑張ったから、そんときのバイト代が残っとるしな。
どんなデートコースでも、どんと来いやーーーぁ!」
中尾「さすが、それでこそ大谷や!」
大谷「さっき言うたやろ? やるときゃやるんや!」
中尾「それじゃ、具体的にはな・・・・」
中尾と鈴木は、プランを説明し始めた。
その1週間後。
リサは、大谷からいつものハンバーガーショップに呼び出された。
もしかして、、、、、、。
この前、信ちゃんが言ってたこと、ホンマなんかな?
ハンバーガーショップへの道を歩きながら、リサは、信ちゃんとの電話を思い出した。
信ちゃん「あんな、リサ」
リサ 「なに、信ちゃん?」
信ちゃん「大谷くん、近々、リサをクリスマスデートに誘うと思う」
リサ 「あ、そーなん? うれしい、、、って、なんで、信ちゃんがそんなこと知ってんの?」
信ちゃん「ダーリン情報や」
リサ 「あぁ、そうなんや」
信ちゃん「でな、絶対、断ったらアカンで?」
リサ 「え? 断るわけないやん」
信ちゃん「お泊りデートでも?」
リサ 「お泊り・・・・って、、、ぇええ!!!???」
リサは目が点になった。
信ちゃん「そう。お泊りやねん。大谷くん、気合い入れてきてるで?」
リサ 「そ、そんなん、急に言われても・・・」
信ちゃん「アホ。ぜんぜん、急ちゃうやろ。
付き合い出して、どんだけたっとんねん。
だいたい、『大谷から、ぜんぜんアプローチないね~ん。あたしがアカンのやろか?』って、悩んでたんは誰や!」
リサ 「それは、そやねんけど・・・・」
信ちゃん「うれしないの?」
リサ 「うれしーけど、何て言うか・・・・」
リサは、うれしいような困ったような表情を浮かべた。
春からだいぶ時間がたって、心の準備もそれなりにできていたし、淡い期待も少しはある。
でも。
リサ 「・・・・なんか、大谷とあたしって、そういうの似合わん気ぃせーへん?」
信ちゃん「はぁ? いまさら、なに言うてんのよ?」
リサ 「だって彼氏彼女になっても、凸凹漫才コンビなんは変わらんし」
信ちゃん「ええやん、仲良うて」
リサ 「でもさー、ぜんぜん色っぽい雰囲気ないねんで?」
信ちゃん「アホかぁ! そんなもん、どんなカップルかて色っぽくなんねん!」
リサ 「そーなん?」
信ちゃん「千春ちゃんと鈴木くんとこ、『純粋培養』って感じするやん?」
リサ 「うん」
信ちゃん「でも、あんたらに比べたら、1歩も2歩も先に行ってんねんで!」
リサ 「うぅ。。。。。。そー言われると・・・・。」
リサは、ハワイ旅行を思い出した。
詳しくは知らないが、千春ちゃんと鈴木くんの『初』は、やっぱり、あの旅行のときだったらしい。
あたしなんか、大谷と一緒のベッドで寝るだけ(ほんとに寝るだけ)でも、緊張してなかなか寝つけへんかったのに。
信ちゃん「早いのがええってワケやないけど、あんまし待たせたら、大谷くんかてかわいそうやで?」
リサ 「別に、待たせてるわけちゃうし。」
信ちゃん「なに言うてんのよ。めちゃめちゃ待たせてるやん!」
リサ 「だって・・・」
信ちゃん「だっても何もないっ! このままやったら、いくら大谷くんかて、ふらふら~っと大学で知り合った女の子と浮気すんで!」
リサ 「えぇ! それはアカン!!!」
リサは、不安そうな、情けなさそうな顔をする。
信ちゃん「じゃあ、覚悟決めんかいっ!」
リサ 「は、はい!」
電話のこちら側で、思わずリサは”きをつけ”の姿勢をとった。
大谷がハンバーガーショップで待っていると、リサが店に入ってきた。
大谷「よぉ、遅いで」
大谷は、少しぶっきらぼうに言った。
リサ「ごめーん、、、、って、まだ待ち合わせ時間の3分前やん」
大谷「アホ、オレは15分前に来とったっちゅーねん」
リサ「早すぎやわ。いつも、もっと遅いやん。どしたん?」
大谷「オレは、いっつも早いわ!」
リサ「よぉ言うわ」
大谷は、少し顔をしかめた。
しもた。
確かに、こんな早よ来るんは、オレらしぃない。
気合い入り過ぎや。
リサは、椅子に腰を下ろして言った。
リサ「そんで? なによ、話って」
大谷「あ、あぁ。イブの海坊主ライブ、席取れたで」
リサ「やったぁっ! どこどこ? 何列目?」
大谷「アホ、オレが席とって最前列やなかったときがあるか? 席番号No.2と3や」
リサ「えらい、大谷。すごい、大谷! 大谷大明神さまさまや~!」
大谷「拝んでもええで?」
リサ「ははぁ、ありがたき幸せ~」
リサは両手をすり合わせて、拝むフリをした。
大谷「うむ、素直でよろしい」
リサ「この前、アルバムが出たばっかりやからなぁ。アルバムの曲中心かな?」
大谷「たぶんな。でも、『おさかな地獄』も絶対やるで!」
リサ「うんうん、あれは外せへんよね。あたしは、『しょうがねえぜ』もやって欲しいなぁ」
大谷「そやな! あれもええよな!」
そうやって、ギャーギャーと2人は盛り上がっていた。
表面上は。
内心、大谷はリサを誘う口実を必死で探していた。
泊まりデート、なぁ。
『小泉、オレといっしょに真夜中の夜景を見ないか?』とか言ったら、マイティみたいやし。
キモい。
『ライブ終わるの遅いから、ついでにどっか泊まっていこうで』ってのは、どうや?
・・・・ライブ、終わるの9時やん。
めっちゃ早いやんけ。
『モーニングコーヒーを一緒に飲もう』・・・って、古すぎやし、脈絡ないし。
ちくしょう。
なんて切り出しゃええねん!
「・・・大谷? 聞いてる?」
ふと気づくと、リサが眉間にシワを寄せて、そう言っていた。
大谷「・・・・あ、あぁ。聞いてんで」
リサ「うそつき。うわの空やん」
大谷「そんなことないわ。めっちゃ真剣に聞いてるやんけ・・」
心なしか、大谷の声が小さい。
リサ「ほんまかいな?」
大谷「ホンマや」
リサ「じゃぁ、さっき、あたしが何訊いたか言うてみ?」
大谷「・・・・え、えーと」
リサ「ほら、わからんやん。うそつきーー」
大谷「やかましい。ちょっと、聞き逃しただけや」
リサは、心配そうな顔をして尋ねた。
リサ「今日の大谷、ちょっとおかしいで。なんか悩みでもあるん? それやったら、言うてよ」
大谷「悩みなんか無い」
リサ「でも、なんか隠してそうやん」
大谷「別に、なんも隠してない! おれは、いつも、めっちゃオープンや!!!」
リサ「そーなん?」
大谷「おう」
大谷は、少し横を向いて、ぶっきらぼうに言った。
リサ「わかった」
リサは、大谷の目を真正面からじっと見つめた。
リサ「そういうことにしとこ。そんで、話し戻すけど」
大谷「ぅん?」
リサ「ライブのあと、晩ごはん、どうするん?」
リサは、じぃーっと大谷を見つめて尋ねた。
大谷「え?」
リサ「だから、晩ごはんやん。一緒に食べる?」
大谷「・・・ぉお、そりゃ、もちろん。一緒に食べようで」
リサ「わかった。家族には、晩ごはんいらんって言うとくわ」
大谷「ん。」
リサ「そんで。」
リサは、口をキッと横一文字に結んで続けた。
リサ「その後は、どーすんの?」
じぃーっと大谷を見つめる。
大谷「え・・・・」
リサ「その後やん、その後」
大谷は、ちょっと驚いてリサの顔を見なおした。
真剣な顔で、じっと大谷を見つめている。
あいかわらず、口は横一文字に結ばれたままだ。
しかし、よく見ると、額には汗が浮いており、頬も少し赤い。
耳たぶも、なんだか赤いような気がする。
大谷「小泉・・」
リサ「なに?」
大谷「・・・いや、なんでもない」
コイツも勝負に来てんねんな。
なぜか笑いがこみあげてきた。
なに、超真剣な顔して訊いとんねん。
大事なことなんは、分かるけど、真剣すぎや。
口がヒラメみたいに、横にびよーんと伸びとる。
あかんなぁ、オレ。
小泉をこんな顔にさせてしもて。
大谷は、くっくっと小さく笑いはじめた。
リサは、ポカンと口をあけた。
リサ「・・・どしたんよ、大谷。急に笑いだして」
大谷「わりぃ、わりぃ」
リサ「あたし、なんか変なこと言うた?」
大谷「いや、なんも言うてない」
そう言って、大谷はしばらく笑いつづけた。
リサは、釈然としない顔で黙っている。
大谷は、ようやく笑いが収まると言った。
大谷「なぁ、小泉。25日は、なんか予定あるん?」
リサ「別にないよ? 学校、もう冬休みやし」
大谷「じゃあ、ライブのあとは、朝まで一緒におろうや。
イブは大すきなやつと、ずっと一緒におりたいしな」
大谷は、口を大きく横に開いて、ニッと笑った。
リサ「う、うん」
リサは、大谷の笑顔にドキマギしながら答えた。
(続く)