子ども文庫ぷくぷく

お話会や家庭文庫のご案内のほか、おすすめの絵本や遊びetc.親子で楽しめる情報をお届けします

『おおきなかぶ』

2016-09-30 | おすすめ絵本


『おおきなかぶ』
内田莉莎子再話 佐藤忠良画
福音館書店

言わずと知れた名作、ロシア民話の『おおきなかぶ』。
小学校の教科書にも載っているし、幼稚園や学校の発表会でもよく使われるお話です。
この『おおきなかぶ』、佐藤忠良さんの絵の甘くないところもいいですね。
かえってユーモアが感じられて、子どもの時から大好きです。

昔話の素晴らしいところは、同じ内容が繰り返されるところ。
これは、大人の目線では先が読めて退屈と感じてしまいがちです。
でも、この絵本のように、小さな小さな子がつたない口調ながらも嬉しそうに
…とこしょ!…こいしょ!!
と、読み聞かせに合わせて言っちゃうのは、お話に身を委ねて楽しんでいる何よりの証拠。


繰り返しは、幼い子が話の内容を理解するのを手助けしてくれます。
(大きなかぶは、シンプルなお話なので難しくはないですが)
もう少しストーリーが長い昔話だと、"三匹の子ブタ"や"やまなしもぎ"等、3度の繰り返しがよく出てきます。
これはどの国の昔話にも見られる定番の形式。
繰り返しにより、次の繰り返しへのワクワク感が高まる。
予想通りに繰り返されることで充足感が得られる、のだそうです。

昔話は、語りから始まったもの。
ぜひぜひ声にして聞かせてあげてくださいね。




日本人学校、低学年の子たちは今日は芋掘り遠足です。
大きなお芋を引っ張り出せるかな。
実りの秋、収穫の秋です。お話でも楽しんでみてください。

『あらまっ!』

2016-09-19 | おすすめ絵本


『あらまっ!』

ケイト・ラム 文
エイドリアン・ジョンソン 絵
岩津ちひろ 訳

小学館

中国にいると忘れちゃいやすいのですが、今日は敬老の日。
今月のお話会では、敬老の日にちなんでおじいちゃん、おばあちゃんが出てくるお話をたくさん読みました。
私が読んだのがこちらの『あらまっ!』。
おばあちゃんの家に一人で泊まりに来たパトリックのお話です。

ですが、こちら。おばあちゃんと子どもの心温まる…みたいな"いい話"では無いですよ。
孫はなかなか可愛げのない様子だし、おばあちゃんもとにかく孫を早く寝かせたい。

でも、「ベッドがないよ」と孫が言えば
「あらまっ!」と叫んで走り出し、木を切り倒し設計図を描いてノコギリ、電動ドリルでベットを作り、
「毛布がないよ」と言えば
「あらまっ!」と叫んで走り出し、羊の毛を刈り糸を紡いで毛布がを作る。
紫ヘアーでハンドバッグがおしゃれな、すごいおばあちゃんです。


ぜひ、思いっきり「あらまっ!」と叫んで(?)楽しく読んでみてくださいね。
ちなみに私は、「あんら、んまっ」な感じで楽しみました。

割り箸鉄砲

2016-09-12 | つくって遊ぼう


下の娘が学校で作ってきた割り箸鉄砲。
久しぶりで夢中で遊んでいます。
的を工夫することで、色んなバリエーションで遊べます。

今回は、窓に点数を書いた的を貼って紋切り折り紙で飾り付けて、合計点を競ったり。
ただただ、飛距離を競ったり。
家に飾ってあるモビールの猫を撃ち抜いたり(かわいそ)。

昔娘たちも小さく、まだパーティゲームもあまりない引越したての頃、大きな男の子のいるお友達家族が遊びに来ることになりました。
ままごとアイテムと積み木と絵本…しか無いので何個か用意してお招きしたのがこの割り箸鉄砲と宝探しゲーム。
この時は、百奇(ポッキー)などの厚みの少ない空き箱にオバケやら悪者を描いて貼って的に。
当たるとパタンと倒れるからお祭りの射的気分で楽しめます。
モビールはゆらゆらしてて難しかったり、当たるとクルクル回るのも嬉しい。
糸やテグスでも可愛く工作できるからモビールから作って遊ぶのもいいでしょうね。

割り箸鉄砲自体は写真下が一般的ですが、上は改造型。
威力が高くて遠くまで飛びますよ!

『岸辺のヤービ』

2016-09-10 | 児童文学への扉


『岸辺のヤービ』

梨木香歩 作 小沢さかえ 画
福音館書店

『西の魔女が死んだ』『裏庭』などの作者、梨木香歩さんによる珠玉の長編童話「マッドガイド・ウォーター」シリーズの第1弾。

本を手にしてみたその時点で胸が高鳴ります。
まず、外箱。
『ライオンと魔女』も『はてしない物語』もそうですが、 "外箱を外して読む" というのは、 "今からお話の中に入ります" と、無意識の中行われる儀式なんでしょうね。

鮮やかな、でも落ち着いた色調の画が全面にあるのですが、背表紙やタイトルのフォントは、昔から長く親しまれてきたお話のような風合いを持っています。
そして、覗いてみてやっと気がつくのですが外箱の内側にまで絵が!
贅沢ですねぇ…ため息が出そう。


そして、本題。
お話は、水辺に住むクーイ族という小さな小さな生きもの達と、彼らが生きる自然とが、瑞々しいまでに語られています。
今回、当面は私と上の娘のために、と入手したのですが、なんと気づけばまるまる一冊読み聞かせで読みきりました。
下の娘がお話を知りたがったからなんですが、聞く方がよりお話の世界が楽しめる、と言って普段はもうあまり夜の読み聞かせに付き合わない上の娘も、毎晩のこの時間をとても楽しみにしていました。
絵本でも、声に出すと読みにくいなって感じる本はあったりするのですが、このお話は下読みも無しに読んでいるのに、するりとこの世界に入れる。
主人公が語るような口調で記したお話、という形を取っているからでしょうね。
そして何より文章が素晴らしいからでしょうね。


ぐいぐい引っ張っていくような大冒険はないけれど、大事に丁寧にこの世界を楽しむ心地よさ。それを親子で共有したように思います。
続編が楽しみ。


夏から秋にかけての今読んでほしいお話です。

『ふたりはともだち』

2016-09-08 | おすすめ絵本


『ふたりはともだち』

アーノルド・ローベル作 三木 卓訳
文化出版社


初版1972年。知っている人ならもちろん知ってるこれぞ素敵なお話。
がまくんとかえるくんの物語です。

我が家の娘のようにかえる好きの子はちょっと少ないかもしれないし、淡い茶色とモスグリーンで彩られた絵は本当に素敵なのだけど決してポップではないから、初めての子やお母さんたちには手にとってもらえないかもしれない!と思ってのご紹介です。

作者のアーノルド・ローベルさんは、きっとかえるが大好きで(好きな人から見れば、このデフォルメされていないかえるの絵に愛情を感じるのだとか)、おしつけがましくないユーモアがあって、心優しいお人柄に違いない。
訳者の三木 卓さんも、暖かみとチャーミングさを兼ね備えたこの素晴らしい翻訳からして、きっと素敵な方に違いない。と想像せずにはいられません。

夜、子どもが寝静まった部屋でひとり読み返してみます。
がまくんのとぼけたかわいらしさに心の中でつっこんだり、かえるくんの大きな愛情に心が温まったり。
読んでいると、ひとりでに、ものすごくにっこりしているのです。
絵のたくさんある童話です。
小さい子よりは、小学生くらいの子の方が良さが噛み締められるかな。

どうぞ、ぜひお試しください。