妻は病気になり後見制度に入る切っ掛けになったのは、亡き父から相続した市街化調整区域の農地は開業医が購入することになり、4人姉妹の共有名義の農地を転用して開業医へ一時的に賃貸した駐車場を、不動産売買の契約に代理人を立てる必要からです。
その売却代金は少しで譲渡所得税も支払い、病院の入院から介護施設へ入所してから、時は流れて9年程で介護施設の入所費用などで底を突きました。
それでも、それまで駐車場として不動産賃貸をした約1年間の収入分と、申請し認定された障害基礎年金の振込が1年間分程あり、ある程度の残高はありました。
預貯金の残高が無くなりかける前に今度は亡き母の相続(遺産分割)を開始するとの、共同相続して指名されていた遺言執行人の長女夫妻から依頼された、司法書士からお知らせと書類が届きました。
しかし、遺産分割協議書と遺産目録はなく協議の証明にと、署名捺印用の証明書が同封されているのみでした。
私は根拠となる書類を要求したら遺言公正証書が送られて来ましたから、この旨を家庭裁判所へ電話にて至急に連絡をしました。
家庭裁判所の担当者よりのアドバイスで署名捺印用の証明書は返送しないで、成年後見人ハンドブックのQ&Aを読み、被後見人の財産を守る事を優先することにしました。
他の3姉妹は協議の証明書に署名捺印して返送してあるとのことでした。
私は家庭裁判所へ本人の母が死亡し遺産分割の必要が生じた旨と、署名捺印用の証明書と母の遺言公正証書の写しを添付して報告しました。
そして、私は相続税対策で相続した小さな畑を売買したり、亡き父が生前にお世話になっていた不動産売買の仲介人に紹介された、司法書士に遺産分割をする協議の件を依頼しました。

弁護士のホームページによると遺産の相続分は、成年後見人として法定相続分以上と書かれてあります。
遺産相続の手続きを成年後見人として、全遺産の公平な資産評価額を把握して適正な遺産を受け取るべく且つ、ベストな方法を調べる必要上から司法書士には全遺産(不動産)を調べてもらい、必要な評価の方法には不動産売買の仲介人と、会計士事務所に勤めている親戚の者に相談しました。
固定資産評価の方法については路線価が公平で簡単だとの事でした。
尚、長女夫妻は亡き母の生前中にアパート賃貸の建設費に多額の借り入れをされて、母名義の大半の不動産物件は母が承諾の上で、担保(根抵当権に設定)になっていて苦しい状況でしたが、評価額は相殺されて低くなり大幅に譲歩してはどうかと、不動産売買の仲介人から有望な妥協案を示されて決めました。
そして、妻は介護施設に入所して何かと費用が嵩みますから、不動産を分筆し直して相続分を貰うよりも、金銭を受け取る方法を優先するが妥当との結論に至りました。
私は「遺言公正証書」の内容を尊重して、さらに母が亡くなる前から殆ど寝たきりの状態となり、自宅で訪問介護を受けて長女夫妻が面倒を見ていた事も考慮して、遺留分の請求をするのがベストだと考えました。
この相続手続きは何回か説明する遣り取りで、半年程を経て妥協した遺留分請求の提案に何とか応じて頂き、母の相続による遺留分としては父から相続した分の半分以下となりました。
本件の譲歩案を当初は厳しいと難色を示されましたが、長女夫妻から依頼された司法書士からも説得して頂き渋々と応じられたそうです。
そして、正式に司法書士より遺留分減殺請求をして頂き、妻名義(妻の氏名+成年後見人+私の氏名)口座への振込で受け取りました。
弁護士のホームページによると、遺言公正証書の存在と誰が亡くなる前から面倒を見ていたかで請求分に相違が生じて、それらを尊重して考慮すると法定相続分と遺留分の中間あたりに譲歩して、妥協案を示し請求をした事例があります。
しかし、本件は弁護士に依頼していませんから、費用が不要で遺留分の請求でも良しと見るべきです。
私は成年後見人として、家庭裁判所へ亡き母に関する不動産などの全部事項証明書及び、評価倍率を記載した固定資産評価証明書と、亡き母の預貯金の残高証明書と、遺留分減殺請求書と、遺留分減殺請求に関する合意書と、本人(被後見人)の預貯金通帳と、司法書士の費用の請求書の写しを添付して経緯と詳細の報告をしました。
そして、年月は経ちその遺留分の金銭も既に底を尽きました。
昔の人は「何時迄もあると思うな親とお金と」言いましたが、正にその通りだと実感しました。
しかし、私は預貯金が多く有る訳でもありませんが、何も心配はしておりません。
生活に必要な費用は必要な時に必要な分だけが、不思議にも入って来ると感じているからです。