先日「役者論語」という本を見つけました
江戸時代に出版された名人名言集みたいなものです
芸事の話なので、今に通じるものが多々あります
理解のために、自分で現代語訳してみることにしました
何だか注の付いたのもあるようですが、自分でやったほうが理解もよかろうと思うわけです。
最近復刊したみたいなので、紙で読みたい方は探されるとよいかと思います。
各項目のタイトルは自分がつけたものです
『舞台百箇條』
1「きつぱ」
今の立役のきつぱをまわして。かたきをきめるは。かたち計りにて心のきつぱをまわさず。見物衆にほめらるる事をのみむねにて持てまわすゆゑ。かたきをきめるでなくて。見物衆へ廻すきつぱになる。夫故敵役の身にこたへず。よわみの出し所がはずまぬのみなり。相手仕事なれば我は相手をたて。我も相手にたてらるる様にさえすれば。舞台のおもてしつくりとなる故。自然と見物衆のあつと感ずる場へゆく也。相手にかまわず。我ひとりあてんとするを。孤自当といふ。孤はひとりとよみ自はみづからとよむ。恥べし恥べし。
単語帳
「立役」:芝居で主だった役・役者
「きつぱ」:①刀の刃の付いた部分②相手の説明に反駁してやりこめる
「かたき」:相手・憎まれ役
「きめる」:強くとがめる・なじる
「はずむ」:①跳ね返る②調子付く③荒くなる④気前を見せる
「あつ」:「当つ」→さらす・触れさせる・値させる
「厚し」の変形ならば→①深い・細やかだ②(身分が)重い③はなはだしい・つよい
訳文
昨今の役者が舞台上のやりとりで相手をやりこめることがあるが、心を動かさず、観客にウケる事だけを考えているから形だけになっている。それでは意識が相手ではなく、観客へ向くことになってしまう。すると、言葉が相手に届かず、役の勢いの強弱がつき難くなるだけである。相手があって成り立つものだから、自分は相手を立てる様に、自分が相手に立てられる様にすれば、見せ物になるのである。そうすれば、自然と観客も面白いと感じるものになる。相手のことを考えず、自分だけが目立とうとするのを「孤自当」と言う。孤はひとりと読み、自はみづからと読む。これは恥ずべきことである。
気になる単語は古語辞典からの訳を載せました
こんな解釈がいいんじゃないか?
ってのがあれば、書き込んでいただければと思います
江戸時代に出版された名人名言集みたいなものです
芸事の話なので、今に通じるものが多々あります
理解のために、自分で現代語訳してみることにしました
何だか注の付いたのもあるようですが、自分でやったほうが理解もよかろうと思うわけです。
最近復刊したみたいなので、紙で読みたい方は探されるとよいかと思います。
各項目のタイトルは自分がつけたものです
『舞台百箇條』
1「きつぱ」
今の立役のきつぱをまわして。かたきをきめるは。かたち計りにて心のきつぱをまわさず。見物衆にほめらるる事をのみむねにて持てまわすゆゑ。かたきをきめるでなくて。見物衆へ廻すきつぱになる。夫故敵役の身にこたへず。よわみの出し所がはずまぬのみなり。相手仕事なれば我は相手をたて。我も相手にたてらるる様にさえすれば。舞台のおもてしつくりとなる故。自然と見物衆のあつと感ずる場へゆく也。相手にかまわず。我ひとりあてんとするを。孤自当といふ。孤はひとりとよみ自はみづからとよむ。恥べし恥べし。
単語帳
「立役」:芝居で主だった役・役者
「きつぱ」:①刀の刃の付いた部分②相手の説明に反駁してやりこめる
「かたき」:相手・憎まれ役
「きめる」:強くとがめる・なじる
「はずむ」:①跳ね返る②調子付く③荒くなる④気前を見せる
「あつ」:「当つ」→さらす・触れさせる・値させる
「厚し」の変形ならば→①深い・細やかだ②(身分が)重い③はなはだしい・つよい
訳文
昨今の役者が舞台上のやりとりで相手をやりこめることがあるが、心を動かさず、観客にウケる事だけを考えているから形だけになっている。それでは意識が相手ではなく、観客へ向くことになってしまう。すると、言葉が相手に届かず、役の勢いの強弱がつき難くなるだけである。相手があって成り立つものだから、自分は相手を立てる様に、自分が相手に立てられる様にすれば、見せ物になるのである。そうすれば、自然と観客も面白いと感じるものになる。相手のことを考えず、自分だけが目立とうとするのを「孤自当」と言う。孤はひとりと読み、自はみづからと読む。これは恥ずべきことである。
気になる単語は古語辞典からの訳を載せました
こんな解釈がいいんじゃないか?
ってのがあれば、書き込んでいただければと思います