ねこのミミ

我が家の猫3匹
つよし、ヒロロ、ポポロ

つよしの遺言4 危険がいっぱい

2015-09-10 23:09:14 | Weblog
 つよしは13年の生涯で3度命拾いをする災難に遭っている。その最初の災難は私も仰天するほどの大きな出来事だった。
 それはつよしが私のところで暮らすようになって半年が経ったある日のことだった。私が出先から帰ってきて玄関のドアを開けた瞬間から始まっていた。私はいつものようにつよしが出迎えてくれるものと思っていた。しかし、ドアを開けても、つよしの姿は無かった。慌てて靴を脱ぎ、つよしのベッドを見に行った。そこに、つよしの姿が無く、つよしが寝ていそうな場所を探し回るがどこにもつよしの気配がない。
 ふと、ベランダに目がいった。まさかベランダから落ちたのか。私の住むここは最上階の五階だ。落ちたら助かるまいと思いつつも私は懐中電灯片手に階段を下りていった。つよしが落ちたと思われる場所に行き、「つよし、つよし」と呼んでみた。返事はない。怪我をしてそこらへんに蹲っているかとも思い姿を探してみるが影も見あたらない。どこかへ行ってしまったなら、探し当てるのは不可能と落胆しながら階段のところまで戻ってきて、それでも諦めきれない私はもう一度「つよし、つよし」と呼んでみた。すると、「ニヤン」と私の呼びかけに応える猫の鳴き声。声のした方に懐中電灯を向けると何と、つよしが正座して私の方を見ているではないか。
 奇跡が起きた。つよしはかすり傷ひとつ負わないで、建物の入り口の奥でずっと私の帰りを待っていたのだ。「つよし、おまえ、本当に五階のベランダから落ちちゃったんだね。怖かったね」と抱いて連れて帰ろうとすると「僕はまだ、遊びたい」といって私に抱かれようとしない。30分ぐらい私にじゃれたり、花壇の茂みに入ったりして遊んでからやっと部屋に連れて帰ることができた。
 以来、つよしは独りでベランダに出ようとしない。ベランダに出たいときは私に「ベランダに出して」と言う。そして、私が側にいないとベランダで遊ぼうとしなくなった。試しに、つよしを抱いてベランダの手摺りに近づけてみると「嫌だ、嫌だ」をするように前足を突っ張って手摺りに触ろうとしない。動物にもトラウマはあるんだなと思った。
 手摺りに関しては面白いことがある。つよしは自分から玄関の外に出してとは言わないが、私はときどき玄関の外に出して遊ばせるようにしている。階段の踊り場に手摺りがあるのだが、私が抱っこしてやると、つよしはその手摺りに前足をかけて外の景色を見るのが大好きなのだ。同じ五階の手摺りなのにこちらは落ちた方ではないので怖くはないらしい。
 さて、二度目の災難は一度目に比べれば小さなことだが、いや、まかり間違えば死んでいたかも知れないので、つよしにしてみればとんだ災難だった。やはり私が外出から帰ってきた時のことだった。玄関のドアを開けると、そこに決まってつよしの姿があるはずなのにあのときと同じ、姿がない。今度は何事と思いながら、つよしのベッドを見たら、タオルケットのほつれの中に首を入れたつよしの憮然とした表情で正座している姿が目に入った。要するにタオルケットのほつれがつよしの首を絞めていたのだ。すぐに首に巻き付いているほつれを取り除いてやり、ことなきを得た。
 このタオルケットは私が好きで使っていたものだが、いよいよ古くなったのでつよしのベッドに折りたたんで入れてやったものだった。まさかほつれたところに首を入れて動けなくなるなどと想像したこともなかった。
 思うに家の中といえどもつよしにとっては危険が常に潜んでいるということを教えられた出来事だった。
 最後のつよしの災難とは、これこそ私自らつよしの首を絞めてしまった、とんでもない出来事である。
 水回りのリフォームの工事日が決まり工事会社の人に猫は紐で繋いでおいて下さいと言われて、「はて困った、つよしは首輪が大嫌いだ首に紐をつけるなんて至難の技だ」と思いながらも工事当日、荷物を結ぶビニールの紐を嫌がるつよしを押さえつけて首に巻き付けた。工事が始まり、工具が突然大きな機械音を上げた。それに驚いたつよしが開いていた玄関から飛び出して行った。私は思わず繋いでいた紐を思いっきり引っ張ってしまったのだ。つよしの動きは止まった。たぶん一瞬ではあるがつよしの息は止まったのではないかと思う。工事は二日かかったが、二日目はつよしも工事の人にも慣れ、首に紐は必要なくなった。これで、つよしの災難は去ったように見えたが災難の続きは一ヶ月後にやってきた。つよしの首の周りの毛が根本からポロポロ抜け始めたのだ。私は慌ててかかりつけの獣医さんの元へつよしを連れて行った。獣医さん曰く「怪我をしていますね」私「思い当たることが・・・」と言いかけて気がついた。あの工事の日、私がつよしの首を絞めたのだった。「つよし、ごめん」その声があまりに大きかったのか獣医さんは驚いたような表情をした。
 つよしは、どこが悪くても「痛い」とも「調子が悪い」とも言わない。飼い主が気をつけてやらなければ手遅れになることがある。と肝に銘ず。

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