社会保険診療報酬支払基金が3月15日に公表した報告書によると、医療機関が提出したレセプトを各都道府県支部の審査委員会が審査する際、同じ事例を審査しても、保険診療のルールに適合していない「査定」とするかどうかの判断が異なる「支部間差異」があった。同じレセプトを複数の支部が審査した際の査定件数などを調査した結果、査定と判断したレセプトの数に最大で約7.5倍の差が生じていた。
審査結果に差異が生じる原因を明らかにするため、山口支部と福岡支部の昨年8月診療分のレセプトを交換し、審査を実施。第三者の立場から千葉支部もほかの2支部のレセプトを審査し、その結果を比較した。山口県内の20医療機関のレセプト約8700枚を審査した結果、査定と判断した件数は山口支部が146件、福岡支部が1101件、千葉支部が583件で、山口支部と福岡支部の査定件数に約7.5倍の差があった。
支払基金は報告書の中で、「査定率が低い支部については適正な審査を行ってはないのではないかという指摘がある」と問題視。
その上で、支部間の差異を解消するための具体策として、▽全国の審査委員会が情報共有して協議を行う体制を確立する▽支部間差異の実態調査を進める▽審査事務の低調な支部に対して本部が支援・指導する―などを挙げている。
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