日光東照宮の修復のために運ばれていた5000両分の金塊が徳川家の葵の御紋の入った旗指物かざした一味に襲われ、盗まれてしまう。「暴れん坊将軍」はオープニングのあとのシーンがとても大事なので、油断できない。
実はこの旗指物(今でいえば飲食店の店頭にあるのぼりみたいな形状)は、5年前に旗を運搬中に同心が殺されて、盗まれたものだった。金塊強奪現場に挑戦的に置いてあっただけに、明らかに吉宗への謀反の始まりと思われた。旗が戻ったのはいいものの、悪の芽は絶たなくてはならない。捜査を進めると、5年前に不祥事を理由に罷免された当時の作事奉行で今はヒラ旗本の稲葉が浮かんだ。父の吉宗憎しの意を汲んだバカ息子は、5年前に旗を盗んだ張本人で、それを使って金塊を盗んだのだ。
殺された同心の息子・平助(加藤純平)は、町娘のお糸(井澤明子)と町人として暮らしながらも、父親の仇を追っていた。火消し「め組」に出入りする16歳のお糸は徳田新之助とも知り合いになる。そして、自分と平助の身の上を話す。
新之助は、平助とも本音で話し合う。
そうこうしているうちに、旗本のバカ息子に襲われた平助は目つぶしを食らってしまうが、お糸の献身的な介護を受け、お互いの愛情を確かめ合う。
あるとき、お糸が偶然触れた仏像が金塊の隠し地下室の蓋を開けるという展開が解決への活路となり、金塊は発見され、そこに現れた吉宗は悪者を即成敗。まだ目の見えない平助を導いてバカ息子を斬らせ、見事仇討ちを果たした。
平助は、1か月ほどで目が見えるようになり、公儀として働くことになった。
終盤に、いいモノが殺されてしまうという悲しい筋書きがなかっただけに、いつもよりもさわやかに見終わった。