まじぁらぼ

身近な風景にタタズムまじぁとのねんど達・・・とか・・・
 

三角星人☆

2010-12-25 16:37:40 | Weblog

 

     仕事帰りに、いつも立ち寄る駅前のコンビニ。

     「いらっしゃいませ~」

     えぇ~と・・・
     発泡酒とポテチとメンタイコのパスタと・・・
     それと明日の朝用に何か買っとくか・・・

     つらつらとお弁当のある棚を見やりながらレジへ

     「お弁当温めますか?」

     「お願いします」

     「あ・・・あと肉まん下さい」

     「・・・円です」

     「ありがとうございました~」


     支払いを済ませ店を出るなり歩きながら、いきなり肉まんに噛り付いた。
     アパートまではそう遠くもないのだが、我慢できずに食いついてしまった。

     部屋に着き、電気をつけ着替えもそこそこに発泡酒を開けひと口飲んだ。

     「プハ~  うっ ぐぇっぷ」

     小さなテーブルに、コンビニ袋からパスタを取り出し
     一気に食べ終えると、やっと何だか落ち着きはじめた。

     「はぁ・・・・・・」

     ムチャラムチャラとポテチをカジリ、チュビリチュビリと発泡酒を飲みながら
     見るとは無しにテレビをみていた。

     残り少なくなったであろうポテチの袋へ、再び手を入れると
     今までの薄っぺらな感触とは違った、少しトゲっぽい感触の粒が指先にあたった。

     「何だ? コレは?」

     なんだか良くわからない粒を、目の前につまみ出してよく見ると・・・

     クリーム色したコンペイトウだった・・・

     何故・・・ポテチの中にコンペイトウが・・・

     「何だコレ・・・何かの悪戯か?」

     テーブルの上に置き、よーく観察しようと目を近づけると

     コンペイトウも目を見開いた・・・

     「げっ! な・・・何なんだよコレ!!!」

     余りの事に固まっていると
     コンペイトウはおもむろに喋り出した。

     「お前たちを征服してやる!」

     ・・・

     「はぁ?」

     何かの冗談かと噴出しそうになった。

     「お前たちを征服してやる!!」

     「はぁ? なんでお前みたいなコンペイトウに征服されなきゃならないんだヨ!
      てか・・・なんでコンペイトウが喋ってるんだヨ!!」

     「我々は三角星人である」

     「・・・」

     「お前たちを征服してやる!!!」

     「さっきからそればっかじゃん!大体お前一匹で何が出来るんだよ!
      だいたい三角って言うより、トゲトゲ星人じゃん!!」

     なんでコンペイトウと普通に話しているんだろう・・・オレ・・・

     「ははは・・・我々はこの地球上にもう何千年も前から、沢山の仲間が来ているのだ!
      エジプトのピラミッドを知っているか?あれは我々三角星人が、地球人を操って作ったモノなのだ!」
    
     むむ・・・ 確かに三角星人の仕業かもしれない・・・

     「他にも・・・」

     「他にも?」

     「・・・」

     「もしかして・・・それだけ?」

     「いや!違う!! 我々の体に似せて作らせたコンペイトウなるモノを
      地球人にバラ撒いて洗脳を・・・」

     「コンペイトウなんて普通に見ないしぃ~食べないしぃ~全然ダメダメじゃねぇ?」

     「ウルサイうるさい!!!それもコレも四角星人と丸円星人のせいダ!!!」

     「シカクセイジンとマルマルセイジン~?」

     「そうだ!四角星人は、地球人にビルを四角にさせてはびこりやがって
      角砂糖こそ排除してやったが、まだまだ勢力を拡大していやがる!
      丸円星人は・・・ほら、お前の飲んでるその缶!」

     「へ? 発泡酒のコレ?」

     「そうだ!上下が円になってるそんな所や、さっき食べてた肉まん!
      あんなモノで丸円星人は、地球人を洗脳しようとしているんだ!!!」

     「・・・」

     「断じてマルや四角に負ける訳にはイカナイノダ~!!!」

     「・・・はいはい・・・」

     疲れた体に酒が廻ったせいなのか・・・
     幻聴でも幻覚でもなんでもいいよ・・・

     コンペイトウをヒョイっと摘み上げ鼻先に近づけた。

     「何をするんだ!無礼者! 私をどうか出来るとでも思っているのか?!」

     「どうすると思う?」

     「クソ~~! 何をしようとも、お前は既に我々三角星人に洗脳されているのだ~」

     「あぁ~ そうですか! 言いたいことはそれだけ? 
      んじゃバイバイ!! ゴチャゴチャうるさい奴にはこうしてくれる!!!」

     コンペイトウをそのまま口に放り込んで、奥歯でガリッと噛んでやった。

     生意気にもコンペイトウのくせして、ちょっと苦かった。

     残っていた発泡酒を口に含み、ゴクリっと飲み込んだ。

     ・・・

     テレビの音だけが流れるいつもの部屋に戻った。

     ・・・

     結局なんだったんだ・・・今の・・・

     はぁ・・・やっぱ大分疲れてるんだろうなぁ・・・オレ

     やれやれとゴミをかき集め、コンビニの袋を持ち上げた瞬間・・・


     「ゲッ!!」


     コンビニの袋を覗き込んで固まってしまった・・・


     中には、朝食用にと買ったおにぎりが2個入ったままだった・・・

 

     「ヤラレタ・・・ 三角星人メ・・・」

 

 

コメント (3)
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