めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

いそがしい日(後篇)

2015-12-18 17:52:01 | ちょっとしたおはなし



突如姿を現した、謎の巨大メカ。
あまりの驚きにギラファノコギリ・軟骨外野手はただ立ち尽くす。
コクピットの監督は勝ち誇ったように云う。
「こういうときのために密かに開発しておいたのさ!」
そして、
「これでも喰らえ‼︎」
軟骨目がけ、巨大メカの砲撃がはじまる。コクピット下にある2本の砲身が火を噴く。
轟音とともに軟骨の周りにいくつもの火柱があがり、瞬く間にあたりは火の海に。
あわてて逃げだす軟骨。こう見えて盗塁王にだってなったことがある、足には自信があった。火柱の間を縫うように、走る。
監督は歯噛みする。
「くそっ!こうなったら、これだ!」



巨大メカの口から、それまで火を噴いていたものよりも大きな砲身が顔をだす。
「これで終わりだぁぁぁっ!」
監督は大げさな身ぶりで発射ボタンを押した。
眩しい光が巨大砲身から放たれた。光は空を切って、軟骨へと一直線に走る。
さすがの軟骨も逃げきれなかった。
地割れが起こるほどの大爆発!
「わー‼︎」







勝利を確信した監督は、ギターを取りだし、弾きはじめる。
『夜霧のシルエット』を。
もの悲しい音色があたりにひびく。

そして、
監督の頬にはひとすじの涙が……


吹き飛ばされた軟骨は、給食センターに墜落……
翌日、センター長に就任した。


おわり





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