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2021.3.18COVID-19【西浦 博(京都大学大学院医学研究科教授|現代ビジネス(2021.3.18: 緊急事態宣言、“解除前夜”に最前線の専門家がどうしても伝えたかった“ある”メッセージ

2021年03月18日 | ⑺_②感染症専門の人《戦争・治安に協力する公衆衛生学|新興感染症コロナウイルス
2021.3.18COVID-19【西浦 博(京都大学大学院医学研究科教授|現代ビジネス(2021.3.18: 緊急事態宣言、“解除前夜”に最前線の専門家がどうしても伝えたかった“ある”メッセージ_コロナとどう対峙する?
午前10:13 · 2021年3月18日

午前6:41 · 2021年3月18日

*カテゴリーを変えるかも。
by龍隆2021.3.18

2021.3.18COVID-19【西浦博(所属機関組織|現代ビジネス(2021.3.18: 緊急事態宣言、“解除前夜”に最前線の専門家がどうしても伝えたかった“ある”メッセージ_コロナとどう対峙する?
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81094
~日本では特別措置法に基づく2度目の緊急事態宣言が年明けの1月8日に発出された。首都圏の1都3県ではそれが2度延長されたが、現在は感染者数の減少速度が少しずつ緩慢になり苦闘している状態である。また病床の占有率の減少も同様で、その中で英国株を中心に変異株感染者の増加が認められている。宣言下で感染者数が下がり切らない中、菅首相は期日となっている21日で宣言を解除することを表明した。

同じ“轍”は踏みたくない…
今、思い出されるのは去年の3月のことだ。月後半の3連休で人出がどっと増え、感染者数の増加につながっていった。私はその連休の直前だった19日、国の「専門家会議」の発表でのことを今も後悔している。当時は北海道の感染者数の動向が注視されており、会議では「北海道では一定程度、新規感染者の増加が抑えられていることを示している」とした。この時、世の中には緩和ムードが短期的に生じていた。
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一方で、これから流行が来る徴候を欧州での拡大や国内への輸入感染者の出現から一部感じ始めていた。振り返れば、あの時もっともっと強く訴えて、出席されていた先輩方の「大規模イベントの再開」に対する意見を翻意させることができればよかった、と思う。危機感を十分に共有できていれば連休を契機とした感染者数の拡大の規模を幾分は小さくできたかもしれない。1年たった今、同じ“轍”は踏みたくない。

また、経済的な視点で見てもインパクトが結果的に小さく済むのは、感染者数を確実に制御可能な範囲に抑え、緊急事態宣言が頻発しない状態だ。しかし、このままで十分に減るようには思えない、と感じている方もいると思う。宣言が解除される見通しの中、私たちは今後このウイルスにどのように対峙していけばよいのだろうか。

宣言を振り返る
p2
2度の緊急事態宣言で見えたもの
同じ“轍”を踏まないために、まずは2度の緊急事態宣言で見えてきたことを振り返りたい。1度目の緊急事態宣言では、強くステイホームが呼びかけられ、一時的にせよ全都道府県が対象となった。官邸オリジナルの判断に基づく学校閉鎖も継続中であった。また、4月から5月は映画館や百貨店などの営業自粛が要請された。
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一方、今年1月8日に発出された2度目の緊急事態宣言では、飲食店に対策を限定はしなかったものの、リモートワークの実施要請などが目立った。他にもイベント開催の制限などが呼びかけられ、間接的な影響として航空機を含む公共交通を利用した移動などが緊急時の対応になった。

実は1度目に比べて2度目は対策を組み合わせながら一定の経済活動を維持している。この組み合わせでウイルスの伝播しやすい冬季にもかかわらず感染者が数千から数百に減ったことは本当に喜ばしいことである。

一方で、直近の感染状況を見れば新規感染が家庭や施設、その他のそれぞれの場で引き続き発生している訳であり、それが極端には減っていない、というのもまた現実である。

「今、日本に欠けているのは?」

感染者数を思うように減らせていない理由はもちろん複合的だ。上記で述べたように、流行対策の「政策の大きな方向性」によるものもあるだろう。しかし、今回は最も日本に欠けてきたものを理解するために、「政府の責任とばかり思ってはいけない」ということを敢えて最初に主張しておきたい。

誤解がないように強調しておきたいのだが、この流行の影響で減収になったり、厳しい生活を強いられていたりする方が多い中、痛みを受けている皆さんがいることを私は科学者の一人としてとてもつらい思いで直視している。

1つ1つ、誰も望んでいなかった過去や未来の姿を心を刺しつつ噛みしめており、もっと専門知や様々な対策を結集して別のストーリーにできなかったのかと苦い思いばかりを背負い続けて毎日を送っている。そうだとしても、この話は伝えておかなければならない。

コロナの「自分事化」?
p3
というのも、感染者数が「減らない」、あるいは、「増える」ということが起こるのは、政策の方向性のほか、「地域住民の協力が思うようには得られなかった」という背景もあると思う。「政策がどこまで効くか」というのは、「どれくらい協力してくれるか」によって大きく左右されるのだ。

つまり、首都圏で減らないのは首都圏で暮らす方々の暮らしの中で、思った通りには感染に至り得る接触を防ぐことが達成できなかった、ということである。と言っても「自粛警察」を発動して、他者を責め立てたほうが良い、と言っているのではない。この感染症は皆で協力しないと防げないことは自明なのである。

香港やシンガポールのようなアジア地域や欧州連合に属する諸外国では「連帯」が呼び掛けられ、他者を褒めたたえながら、手を取り合って流行の制御をしようとする動きも見られてきた。

「一億総評論家」的に物事を斜に見るのではなく、この流行を制御するのは自身らであるという「当事者意識」を持った対応が実は極めて重要な役割を果たすのである。しかし、現状は「当事者意識」よりも、主権者である私たち1人1人が他者に頼りすぎた構造になってしまっていると考えている。

例えば、私たちの意識の中で、感染者数が思うように減らないことについて、すべて首相や首長などの責任だと思っていないだろうか。また、その状況が変わらないといけないことについて、専門家に任せるべきというような依頼心が強くはないだろうか。

リーダーの「言葉」は届いているか…
ではなぜ、そのような状態になっているかというと、1つには政治家や行政の「発信」不足とメッセージの不達があると考えている。

「自粛を要請する」形での緊急事態宣言の成功は、主体が市民にある、ということが前提である。政治家のメッセージが国民に届き、要請への協力が十分に得られれば得られるほど新たな伝播は少なく済むし、そうでなければ感染者数は思うようには減らない、ということはこれまでにも述べた通りだ。
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いまの自粛が何のためにあるのか、具体的に誰にどうして欲しいのか、延長や解除をどう考えていて未来をどう見通しているのか、目標やゴール地点は何であって、だから何をするのかなど、伝えるべきは山ほどある。それを首相が飽きられてしまうくらいに語り尽くさないで、皆にどうしろと言うのだろう。

今までの宣言時や延長時の会見では到底不足している。私は1年前から政策を決定する政治家と国民のコミュニケーションの問題、つまり政治家の発信の仕方に対する懸念を伝えてきたが、抜本的な改善へ導けてないことを申し訳なく思っている。残念なのは、それどころか逆影響を起こすことに“熱心”であることだ。細部を振り返ることは有益でないので控えるが、「声が届かない理由」というのをしっかり見つめた上で次の戦略を立てないといけない。

「心」に届ける…

まだ遅くない、必要な「心に届くメッセージ」
政治や行政はどうすればいいのか。これまでに、西村担当大臣や尾身分科会長を代表として、様々な情報が発信されてきた。加えて、日々、新型コロナウイルス感染症の伝達事項はあふれかえっている。でも、残念ながらカギとなる情報が、多くの方にとって咀嚼される形、心に届くような形で伝達されていないのではないだろうか。

事態を改善させる1つの案としてリスクコミュニケーション(リスクについて政治、行政、専門家、市民などの間で情報交換を行うことで、相互の意思疎通を図ること)のプロたち多数で固めたチームを構築し、国民に具体的に理解してもらえる工夫や模索をしてもらえないものだろうか。主権者である国民にメッセージが届き、国民が国のあり方を決める本来あるべき姿になっていただきたい。

またコミュニケーションは様々な段階があり、「正しい情報の伝達」だけにしても、色々な方法があると思う。米国ではファウチ国立アレルギー感染症研究所長が歯に衣着せぬ言い回しでトランプ前大統領と不協和音を立てつつも、科学的に正しい情報の発信をすることに徹してこられた。
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これが日本でできないのは残念でならない。政治との信頼関係の維持が科学者からの発信とパッケージになっており、そういう政権運営側のどうしようもない謀が過去の常識になる必要があるのだろう。
 
地域では良い例はある。ある都道府県の首長は、本人の政策判断の科学的な是非はともかくとして、記者会見の場では顔をひきつらせながらも質問がなくなるまで座って返答に応じる。すると、少なくとも、首長が頑張っている姿勢が地域住民に確実に届いているのである。全力で努力している姿に人の心が動かされている良い例である。
今こそコミュニケーションのプロチームを形成して激的な変化を考えられないか。政治家が直接大胆に発信することに加え、さまざまな方法があると思う。例えばもっと漫画やテレビドラマなどのメディアを活用し、堅苦しくなく、高齢者にもわかりやすい新型コロナウイルス感染症に関するストーリー仕立ての話を展開できないか。中国のテレビドラマ「在一起」は医療従事者の活躍と連帯を熱く描き、多くの若者が胸を熱くした。

メッセージが届きにくい層にはより一層SNSを活用して工夫して伝える方法もあるだろう。英語圏のTwitterでは個人による予防策の発信が全関連発信の半数を占める。(DOI:10.21203/rs.3.rs-195119/v1)

最も重要なところで、余りに動きが遅いように思うのは私だけだろうか。政治がうまく発信すれば国民も変わっていくと信じている。まだ遅くはない。

PERSON 西浦博
2002年、宮崎医科大学医学部卒業。英国、ドイツ、オランダ、香港などで感染症数理モデルの研究に従事。2013年帰国して東京大学准教授、北海道大学教授を歴任し、2020年8月から京都大学大学院医学研究科・教授。2020年2月からは厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策本部においてクラスター対策班に参画。現在もアドバイザリーボードに参加。
(引用終わり。5,000文字)



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by龍隆2021.3.18
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