図録241・テート美術館展 光
ターナー、印象派から現代へ
令和5年に国立新美術館で開かれた展覧会の図録です。イギリスのテート美術館の作品を光というキーワードで集めた美術展です。多様な視点から光を捉えています。
Ⅰ 精神的で崇高な光
・光の創造(ジョージ・リッチモンド、1826年)天地創造です。
・善の天使と悪の天使(ウイリアム・ブレイク、1795~1805年)ブレイクは白人を善とする宗教観を持っていたようです。
・アダムを裁く神(ウイリアム・ブレイク、1795年)
・大洪水(ジェイコブ・モーア、1787年)
・陽光の中に立つ天子(ウイリアム・マロード・ターナー、1846年)印象派の先駆と言われ、物理的な光を深く研究した画家が精神的な光を描きました。やがて自分が裁かれることを暗示しているそうです。
・噴火するヴェスヴィオ火山とナポリ湾の島々を望む眺め(ジョセフ・ライト・オブ・ダービー、1776~80年)
・トスカーナの海岸の灯台と月光(ジョセフ・ライト・オブ・ダービー、1789年)
・ポンペイとヘラクレネウムの崩壊(ジョン・マーティン、1822年)
・無垢なる幼児達の勝利(ウイリアム・ホルマン・ハント、1883~84年)2歳以下の男児を殺せと言うヘロデ王の命令から逃れようとする聖家族と、殺された幼児たちを描いています。殺された幼児たちは点からの光で輝いています。
・愛と巡礼者(エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ、1896~97年)
・私の妻の庭(ジョン・ヤング=ハンター、1899年)
Ⅱ 自然の光
・ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に腰かける少年(ジョン・コンスタブル、1825年頃)
・ハリッジ灯台(ジョン・コンスタブル、1820年)
・風景(風車)(ジョン・リネル、1844~45年)
・湖に沈む夕日(ウイリアム・マロード・ターナー、1840年頃)
・陰と闇ー大洪水の夕べ(ウイリアム・マロード・ターナー、1843年)
・光と色彩(ゲーテの理論)ー大洪水の翌朝-創世記を書くモーセ(ウイリアム・マロード・ターナー、1843年)
・ドーセーットシャーの崖から見るイギリス海峡(ジョン・ブレット、1871年)ドーセットシャーはフランスの対岸だがドーバー海峡とは離れている。
・露に濡れたハリエニシダ(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1889~90年)
・エプト川のポプラ並木(クロード・モネ、1891年)
・ポールヴィレのセーヌ川(クロード・モネ、1894年)
・ビイの古い船着き場へ至る小道(アルフレッド・シスレー、1880年)
・春の小さな草地(アルフレッド・シスレー、1880年)
・ペールオレンジと緑の黄昏ーバルパライソ(ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー、1866年)
・水先案内人の居る桟橋、ル・アーブル、香住がかかった曇天(カミーユ・ピサロ、1903年)
・ヨットの行列(フィリップ・ウイルソン・スティーア、1892~93年)
・浜辺の人々(フィリップ・ウイルソン・スティーア、1888~89年)
・モレ=シュル=ロワン(アルマン・ギヨマン、1902年)
Ⅲ 室内の光
・室内(ヴィルヘルム・ハマスホイ、1899年)
・室内、床に光る陽光(ヴィルヘルム・ハマスホイ、1906年)
・母と子(ウイリアム・ローゼンスタイン、1903年)
Ⅳ 光の効果
・講義のための図解65・監獄の内部(ウイリアム・マロード・ターナー、1810年頃)ターナーは絵画技術の講義をしていました。光学に基づく実験的な絵も沢山描きました。
・講義のための図解66・監獄の内部(ウイリアム・マロード・ターナー、1810年頃)65も66も遠近法の解説です。
Ⅴ 色と光
・正方形賛歌のための習作 光り輝く(ヨーゼフ・アルバース、1963年)似たような作品が沢山有り、この写真が本当に対応しているかどうか不明。
・アダム(バーネット・ニューマン、1951年)何故アダムなのかはわからない。
・黒の上に薄い赤(マーク・ロスコ、1957年)
・スゥイング(ワシーリー・カンディンスキー、1925年)
Ⅵ 光の再構成
・ナタラージャ(ブリジッド・ライリー、1993年)
・カラーサイクルⅢ(ピーター・セッジリー、1970年)
・トラック、鳥、風(ジュリアン・オピー、2000年)
Ⅶ 広大な光
・レイマ―、ブルー(ジェームズ・タレル、1969年)
この展覧会にはインスタレーション作品も多数展示されていて、図録にはその写真も掲載されていたが、分かり難いので省きました。
ひかりと言えば真っ先にカラヴァッジョやレンブラントを思い浮かべるが、彼らの作品は無かった。テート美術館のコレクションの傾向なのかどうかは分からない。