3104な毎日~旅はつづくよ


晴れ…いつでも心に3104
     
    そしてどこにだって共に旅しよう…

私のアマツカゼ

2008-04-07 10:05:16 | 舞台 大野智

客電が落され一斉に息をのむ瞬間…

開幕ベルは鳴っていただろうか…記憶にない…

緞帳がスルスルと上がり何やら野太い声が凪をいざなう…

一瞬の静寂の中その人は現れた…

そこにいるすべての目がその人に集まる…

凪と呼ばれたその人は大野智のはずなんだ…

 

足音一つたてることなく階段をゆっくり下りてきて舞台中央に立つ男…

目線をやや上目に定めて正面を見据えている…この人が凪なんだ…

 

戦乱の時代にいただろうか…

亜麻色の髪を逆立てた…こんなにも美しい孤高の戦士が…

それは息をのむ圧倒的な存在感で光を放った凪の姿だった…

 

私は固まるからだと同時にかたく握りしめたこぶしで

訳もなく流れる涙を拭っていた…

なんだったんだろう…あの時の涙は…今もその訳はみつからない

あまりにも哀しげなあの凪の目に一気に引きこまれていったのだ…

 

全身を耳にして凪の声を待つ…

その言葉は何だったのか正確には思いだせない…

ただ低く抑揚のない声だった…その声が真っすぐ心に沁みるていく…

 

この人は…大野智ではなくなっている…

モチロン演技している訳だから…それはそうなんだけど…

演技している?そんな次元ではない気がする…

そこには大野智は完璧になく…ただ凪なんだと…

 

アマツカゼの記者発表の時の写真を見て…

『凪降臨』と書いたことがあったけど…

今まさにそう思う…この人には凪がまさに降臨しているのだ…と

 

激しい殺陣の連続に…その一太刀ごとに鋭さが増していく…

瞬きも出来ないほどの速さで繰り広げられる殺陣の数々…

これでもかと見せ付けられるその動きの美しさに圧倒される…

 

こんな動きをする人に誰もかなわないんじゃないかな?

一寸の狂いもなくプログラミングされたサイボーグの動きに思えてくる…

もはや人としての動きの限界を超えているところで魅せる美しい殺陣…

どれだけの筋力が精神力が集中力があの動きを支えているのだろうか…

 

参ったなぁ…こんなにありとあらゆる才能を見せ付けられて…言葉を失う…

この人を表現する言葉が見つからない…

昔関ジャニ∞の横山くんがこの人をこんな風に言っていたのを思い出した。

『大野はズルイ!あんなに普段ボォ~っとしておいていざとなれば踊りも歌もめっちゃうまい

ほんま…なんやねん…みてて腹立つわぁ…あいつはズルイ!!』

ホントにその通りだと思う…ズルイよ大野智!!(笑)

普段の猫背で滑舌の悪い緩慢な動きの眠そうな大野智…

彼のリアルはどこまでも果てしない…

 

このアマツカゼ最大にやられたのが…あの声…

一貫して張ることはなくあくまで自然な声…

その声が絶叫に変わる時…

その声が涙とともに哀しみにくれる時…

 

いつもの甘い甘い声ではなく…艶を重ねた声…

なんて声で叫ぶのですか…たまりません…

その声が…絶叫する凪が…ただただ愛しくて号泣です…

あなたの声にやられて…

出来ればこの耳を今すぐふさいでしまいたかった…

今聞いた凪の叫びを…

私の中に封じ込めてしまいたかった…

 

人としての思いを取り戻していく凪の…その度に流した涙の意味が…

無念の涙が…悔恨の涙が…思慕の涙が…

そのひとつひとつがあまりにも美しく心に沁みて…涙そうそう…

その人の涙が粒になりハラリと流れ落ちる瞬間を観た…

感情の溢れるままに流れ落ちる美しい涙に感動していた…

涙とともに絞り出される切ない声が…この胸に刺さり痛みを覚える…

 

ただ一度…ほんの一瞬瞬きする間の微笑み…凪の唯一の笑顔だった…

この笑顔が…風助への扉を開いた瞬間だったんだなぁ…

ほんとに…あっと言う間の一瞬の…深い深い笑顔だった。

あわてて私は心のシャッターを押したけれど…この笑顔…とどめておけるかなぁ…

 

この舞台で演じられた虱という役に私はまだ見ぬ風助の姿を重ねていた…

虱の想いを継ぐことになる風助のありようを思い浮かべていた…

風に成りえずに虱として生きたこの人の思いを…

凪→虱→風……

凪の止まった時を虫として生きた虱が身を呈して風へと変換していった…

作り手のもっと深い想いがあるなら聞いてみたい…

虱自身はホントに風を目指していたのか…

虱は虱として生きる人生を選んでいたんじゃないのだろうか…

 

 

最後に風の帆をまとい見上げているであろう

凪の天つ風…

握ったこぶしにさらに力を込めて胸を張る…

その凛々しい眼差しははるか空をながめ…

人として通いはじめた血潮がその唇に色を添える…

観る者のすべてを圧倒して舞台に立ち尽くす凪が…

今心の中に風の種を抱く…

 

復讐も哀しみも自ら興す風に飛ばして…浄化していく…

凪から風助へと変わりゆく姿を魅せてくれた…

 

まだ見ぬ風助へと私の思いも飛ばされていく…

できるものなら…このまま風助へと変わりゆく凪の姿を追いたい…

今この凪を演じた先にある…風助の姿を求める…

今この時からはじまる…センゴクプー風助の姿を見てみたい…

 

 

 

ホントにいろんな思いをくれて魅せられ続けた舞台でした。

こんなに愛しさに胸が鳴り涙がこぼれ…ありとあらゆる神経で集中した舞台でした。

大野智と言う人に憧れと尊敬と思慕の念が止みません…

大野智くんに私の持てるありったけの想いで称賛を…

ありがとうございました。。。

 

 

本日東京公演最終日ですね…

あなたの歌うアマツカゼは聴いたその場で消えて行ったけど…

あの日のアマツカゼは吹き過ぎて行ってしまったけど…

あの時のあの歌を聞いたこの想いは今もここにあります…

今日は今日のアマツカゼが吹きますね…

 

私たちはあなたが起こしたそれぞれのアマツカゼに今も吹かれています…