裁判員及び裁判員経験者の心のケアは、まだまだ不十分です。
相談に回数制限があるなど本当に重い負担を感じている人のためのサポート制度になっていないことが問題です。
元裁判員のストレス障害について取材を受けて今朝の産経新聞にコメントが掲載されました。
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精神的負担どう軽減 「ケア拡充」「辞退、弾力的に」
裁判員が遺体写真や凶器を目にする可能性もある裁判員制度では、当初から裁判員の精神的負担が懸念されていた。最高裁は相談窓口を設けているほか、遺体写真を白黒で表示するなど審理の現場でも負担緩和の工夫が重ねられてきたが、関係者からはケア体制の拡充を求める声も上がる。
最高裁が裁判員経験者を対象に行ったアンケートでは、過去4年間いずれも半数以上が「非常によい経験と感じた」と答えたが、一部で「現場写真は覚悟していない者にとってはきつかった」などと回答。精神的負担を感じた様子も浮かび上がった。
裁判員裁判を担当した経験のある裁判官は、「遺体写真を白黒で映したり、写真でなく刺し傷の位置を記した遺体のイラストを証拠として調べるなどしていた」と工夫を明かす。
裁判員に選任後も、身体や精神に著しい不調が生じれば、申し出て審理から外れることは可能だ。この裁判官は「審理中などの様子があまりにつらそうな場合は、裁判官から『大丈夫ですか? 続けられますか?』と意向を確認することも必要だろう」とみる。
一方、甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑事法)は「証拠はそのまま見せるのが原則で、写真を白黒などに加工すれば犯行の残虐性などの要素が伝わらなくなる恐れがある」と指摘。「遺体写真などを見たくない人については、辞退を現状よりも広く認めてもよいのではないか」と話す。
最高裁が設置する裁判員メンタルヘルスサポート窓口の利用件数は3月末時点で230件。うち172件がメンタルヘルスに関する相談だった。217カ所の提携先で5回まで無料カウンセリングが可能で医療機関の紹介も受けられるが、紹介例は4件にとどまる。
最高裁の竹崎博允(ひろのぶ)長官は会見で「必要があれば今まで以上のケアを講じていくことも考えねばならない」とも言及。市民団体「裁判員ネット」代表の大城聡弁護士は「カウンセリングの回数制限をなくすなどのケア拡充に加え、審理中も各高裁に臨床心理士を常駐させるなどの環境を整える必要がある」としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130507/trl13050722000001-n2.htm