ONCC 日本伝統芸能の魅力に迫る科

日本伝統芸能の全体像を学びます。

仏教・琵琶の音楽

2021年11月13日 | 日記

10月6日(水)以来の開講です。

テーマ:仏教・琵琶の音楽

日 時:11月10日(水)9:45~11:45

講 師:北見 真智子先生

仏教伝来

・古代インドから中国へ ・・・新たな宗教的概念、世界観の相違、儒教や道教などの既存の思想・信仰との折り合い。

・言語の相違:音声の問題 漢語とサンスクリット語の関係

・祈りや布教のために、僧侶が発音する経文が次第に音楽性を獲得し、独自の聖楽として発展

声明(しようみょう):仏教法会の際に僧によって唱えられる声の音楽、中国・朝鮮半島から伝わった儀式音楽

奈良・平安時代

・奈良声明:奈良(南部)の諸宗に伝わる声明。古態を伝える(東大寺、薬師寺、唐招提寺など)

・天台声明:天台宗の円仁が中国天台の儀礼や声明を伝えのちに良忍が大成させた。

・真言声明:真言宗の開祖・空海に始まり、寛朝により大成。

鎌倉時代

・浄土系声明:浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞

・禅宗声明:臨済宗の栄西、曹洞宗の道元

江戸時代

・黄檗宗の隠元

平曲

鎌倉時代

平家琵琶

平家物語の作者は誰か?:ヒントは枕草子にある。

琵琶法師

・琵琶の弾き語りを職業とした僧体(法師姿)の盲人音楽家。中世以来、盲人音楽家(琵琶法師)の活躍が見られる。     貴族社会:14~15世紀、平曲聴聞の記事が登場

寺院社会:法会の際の唱導の一つとして、仏事儀式の中間の休憩時間に、写経の場で、勧進活動として。

武家社会:地方在住の武士たちによる受容。

江戸時代

・盲人組織「当道座」

 徳川幕府は盲人の保護対策として、平曲をはじめ、地歌・箏曲といった室内楽と鍼灸按摩の独占権を当道座に認める。

明治時代

 当道座の廃止:1871年に明治政府により廃止。公的な保護を失い、独力で生活しなければならなくなった。

                       記事:黒木武紀

 

 

 

 


見学会・能楽堂で学び、体感する

2021年10月10日 | 日記

7月14日以来の開講です。

第3回は見学会:”能楽堂で学び、体感する”

日時:10月6日(水)10時~12時

場所:大槻能楽堂

能学堂に足を運び、舞台や楽屋などを見学、実際にステージに上がってその感触を体験しました。

能舞台ご案内人は、大槻能楽堂 事務局長 猪又 宏治氏

2班に分かれて、順次見学と北見先生から説明を受ける。

いざ能楽堂の内部見学へ!

舞台の裏口で白足袋に履き替えて、鏡の間:装束をつけ終えた演者がここで面(おもて)をかけて役になりきる神聖な場所

揚幕:橋掛りの幕口に下げられた五色の幕で、竹竿を使って上げ下げする。

橋掛り:演者の登退場路かつ舞台の延長とも考えられる演技空間。長さや角度は能楽堂によって様々。

本舞台:寸法は京間三間(約6m)四方。板が縦方向に張られているので縦板とも言われる。

鏡板:老松が絵が描かれている。

柱:4本の柱で、演技の上で重要な目安にもなる。

右側面の奥には切戸口:地謡や後見が舞台に出入りする。充分にしゃがまないと頭をぶつけるので要注意だそうです。

我々もここから注意して退出した。

見学後

お二人による対談で、能楽堂のこと、能の見方など語っていただいた。

質問にも応えて頂いた。

次の講義日は:11月10日(水)、午前と午後です。

午前:仏教・琵琶の音楽(僧侶の声楽と琵琶伴奏の平家物語)

午後:能(1)基礎を学ぶ

                                                                                                                                                              記事:黒木武紀


雅楽(平安のオーケストラ)

2021年07月16日 | 日記

再講 4月14日以来の開講です。

第2回 雅楽(平安のオーケストラ)

 講師:大阪音楽大学 北見 真智子先生

 7月14日(水)9:45~11:45

今日の学習テーマの前に、

受講生のご質問:"琴と箏の違い"について映像を交えて解説

 

雅楽とは

歴史背景と変遷

雅楽の日本化

 多くの系統にわかれ、楽器の種類も多く、煩雑であったものを、平安期に入ってから約50年後、仁明天皇(833~850年即位)前後の頃に全体を整理し、雅楽の日本化を目指す。

貴族の教養としての管弦

 「遊び」と「御遊」について 『源氏物語』第一帖「桐壺」紹介

左方右方の分立

 管弦、舞楽を唐楽(左方)と高麗楽(右方)にわける

左方:平安時代中期以降、日本風に整備された

   中国系の音楽

右方:平安時代中期以降、日本風に整備された

   朝鮮系の音楽

映像を交えて、左方の舞楽:左舞 右方の舞楽:右舞の解説

左右対称性

 平安京の全体像と朱雀大路~「大内裏」・「内裏」を映像を交えて解説

 左右近衛の官人、楽家の誕生など

日本人による作曲・作舞

 新たな声楽ジャンルの誕生へ

 

3ヶ月振りに開講した日本伝統芸能の魅力に迫る~

これからの予定は

 8月4日:仏教・琵琶の音楽

 8月25日:能(1)基礎を学ぶ

             記事まとめ:黒木武紀


第1回概観・日本伝統芸能と出会う

2021年04月18日 | 日記

開講

第1回 概観・日本伝統芸能と出会う

講師:大阪音楽大学 北見 真智子先生

4月14日(水)9:45~11:45

音楽学と諸科学

 音楽学と諸科学(4つのグループ)を見る。

ことばのルーツを思い起こしてみましょう

 千秋楽

 ろれつが回らない

日本の芸能・音楽史の中での区分

一般的な日本史区分とは少し違うところがあります。

芸能とは

 「演劇・舞踊・音楽などの芸術に加えて、普通「芸術」の語では統括されない民俗芸能や大衆的な演芸などを含めた概念」

(平野昭)

民俗芸能とは

 「主として神祭、魂祭、農始め、厄払い、雨乞い、農作祈願などの民間祭祀ないし習俗にその地区の共同体を構成する人たちにより

催される」(本田安次)  

      ・・・古来人々の生活と密接に関係してきた。

どこまで遡ることができるか?

日本の古代の芸能・音楽

 縄文・弥生 古墳時代    飛鳥・奈良時代     平安時代

 ①固有の原始音楽 ②国家的規模の音楽文化 ③貴族社会の芸術音楽

 ※朝鮮半島や中国大陸からの音楽の流入

 当時の芸能や音楽の様相を知る手がかり

  ・主に楽器など音楽にかかわる遺物

  ・古い伝承や記録(古事記、日本書紀、風土記、  

   万葉集など編集された文献等)

 ①固有の原始音楽:木製琴

  埴輪:弾琴像 角笛 太鼓 四つ竹

 ②国家的規模の音楽文化

  国風歌舞または上代歌舞

  神々や祖先をまつる祭典、もてなしの宴、死者をとむらう儀礼の場で

  行われる歌舞

※朝鮮半島や中国大陸からの音楽の流入

・朝鮮半島三国の音楽(5世紀)

 三韓楽(高句麗、百済、新羅)の伝来

・中国の音楽(7世紀)

 唐楽に関する具体的な記述

・大宝律令(701年)

 「雅楽寮(うたまいのつかさ)」の人員「唐楽七十二人」

 吉備真備が音楽論書「楽書要録」を持ち帰る(735年)

正倉院には聖武天皇の遺品はじめ、東大寺の寺宝、文書類など約9000点を収納。奈良時代創建以来、原型のままで保存されている。

伎楽(ぎがく)(呉楽(くれがく)とも)

 ・仮面(伎楽面)をつける無言の音楽舞踏劇。寺院芸能として盛んに

  行われた。

散楽(さんがく)

 ・唐から伝来。

 ・奇術、曲芸が一体化した雑芸ともいわれる芸能

 

 

新しいことを学びたいという受講生の期待通り、初日の映像を交えての講義で、日本伝統芸能の歴史・全体像を楽しく学ぶ事が出来たと思います。次回からいよいよ具体的な芸能テーマについて学びます。

次回講義は、5月12日(水) 

テーマ:雅楽(平安のオーケストラ)

                            

                               記事作成:黒木武紀